無名小説スライム編(46)
「どえ―――!?」目の前にあったのは城だ。
だが、海の中にあり、苔が生えている。
「というか誰もいないのか?」俺は周りを見たが、暗くて何も見えなかった。
城がぎりぎり視界に入るほどだ。
「いや、居るのだが…見せるか…」急に体が熱くなってきた。
というか、どちらかというと何かが体内に流れてくるような感覚だ。
「これが、魔力か?」竜が相手なので、強気でいる必要がある。
さもないとなめられて殺されると思う。どうしてそう思ったのかはわからない。
「それで…周りには誰も…ん?」一瞬、目の前を何かが通った気がした。
何か、大きなものが、通った気がしたのだ。
「何だ?」それを見るのは、目を凝らす必要もなかった。
前を見て目を凝らしていると、真下から現れたからだ。
1つの目が。
その目は俺の10倍はあった。
『・誰だ・』その声は海の底から聞こえるような低くて響く声だった。
俺は数秒間の間、固まって動くことができなかった。
その響きが体を凍らせたのだ。戦おうとしても勝ち目はない。0パーセントだ。確実に。
「た、ただのスライムです…」つい敬語を使ってしまった。
その目はどうやら竜の目だったようだ。
少し右を見ると、もうひとつ目があり、城の中に消えていった。
あんな小さな城の中に、こんなのが何匹もいるといえば思えない。
だが、中に入ってみるとどういう意味かが分かった。
地面に大きな穴が開いていたのだ。
この城は全く意味がなかったのだった。
「まあ、これは敵を近づけないからな」どういう意味かはわからないが、とりあえずはどうでもよかった。
俺は中に入ると、俺をさっきから加えている竜に訊いた。
「どうして俺はここに呼んだんだ?」すると、後ろから声が聞こえてきた。
後ろといった理由は普通にそこが口だからだ。
「ほう、お前は気づかないのか?」俺は全く言っていることがわからなかった。
俺のいったいどこがすごいのかがさっぱりわからなかった。
「お前は今、生きている。それがおかしい」俺はそれを聞き、驚いた。
「いや、どうせ息をしないんだから…」それを聞き、竜は驚いたように止まった。
「そうだったのか…息をしなくていい生き物もいたのか…」どうやら海の中から出てたことがないので、海以外の情報を持っていないらしい。
なので、海の中で皆いい生き物が海の中でいるのを見て、驚いたという。
「なるほどね…まあ、俺も驚いたけど。こんな海底にこんなリュウがいたとはって」
俺は前を見ると、意外なものを目にして、ひっくり返りそうになった。体は動かすことができないのだが、顔はひっくり返すことができる。
コメントをつけるとしたら、一切いい気分ではない。
海の底でひっくり返るような気分だ。まだ、鼻の中に水が入らないのはうれしいことだ。
まず、鼻なんてこの体には存在しないのだが。
「これが、」俺は固まっていた。
目の前から感じ取れる魔力でだ。
「我が神だ」目の前には、小さな竜がいた。
だが、その竜から感じ取れるオーラは膨大だった。
こんなものが外に出てくれば多分地球は死ぬ。
「へ、へ~…」俺は目を瞬きして見届けた。
目の前で起こっていることを。