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中に入ったとたんに、目の前の景色がころりと変わった。
さっきまでは真っ白なバッグだったが、今は無限に続きそうな滑り台だった。
どんどん落ちていくと、しまいには空中にいた。
地面に落ちたかと思うと、そこはスライムのように簿呼ぼよな地面だった。
立ち上がるのに少し苦労したが、僕たちはその場から去っていった。
いったい誰が来るのかわからないからだ。

「やっぱり…」一人の少女は家に帰り途中、方向転換して駆け出していった。
「…」彼女はある家の二回に侵入すると、地面に落ちているバッグを手にとった。
緊張しながらもつばを飲み込みながら、袋を開いた。その袋はただの袋にしか見えない。
この中に入れば何と言われるだろうか。彼女はそう考えて背筋が凍ったが、そんなこと関係なかった。
彼女は助けたい。助けになりたい。借りを返したい。それだけだった。
彼女は袋の中に飛び込むと、消えた。

「…」僕と七海は角からその先を見た。
そこには二人の男性がいて、どう見てもここで働いている人だ。
ここで見つかればやばいことになるだろう。
「なあ、そっちはどうだ?」僕たちは耳を傾けて彼らの話を聞いていた。
「こっちにもいない、いったいあいつはどこに行ったんだ…」どうやら警備員のようだ。
僕たちのことを探しているわけではないだろう。
僕は七海のほうを見て超小声で訊いてみた。「ないか時間を止めれるものはない?」
彼女は音を立てずに指を鳴らすと、腕時計が現れた。「この針を動かさなければ止まるけど…多分無理だと思う」
試してみたが、やはり無理だった。腕時計の針は無理やり指を押しのけて進んだ。
無理やりでも止めようとしたので、その痛みで腕時計を落としてしまい、音を立ててしまった。
普通のところならそこまで音は立たないだろうが、ここは廊下と同じだ。音がとても予行響く。
彼らはそれに気づいたらしく、僕たちの方向に走ってきた。
「今の音は…絶対ここら辺に誰かがいた。探しに行くぞ!」彼らはそのまま駆け出していった。
「危なかった~…」僕はマントから頭を出してため息をついた。このマントは羽織った人が見えなくなり、運よくほかのものも見えなくなる。
どうやらこれはまだ使えるようだ。どうしてかはわからない。
「とりあえず道が空いたから行くよ」僕たちはできるだけ音を立てずに駆け出していった。
すると、向こうからも足音が聞こえてきた。
その足音が聞こえた僕たちは慌てて角などに隠れようとしたが、もうそんな余裕がなかった。
七海が取り出した道具をすぐさま使った。
すると、大人に変わり、殺気の二人と同じユニフォームを着ていた。
向こうの角から現れたのは強そうな男性で、目はつりあがっていて、めちゃくちゃ怖かったが、優秀であるということはメラメラと分かった。
「お前たち、ここで何をしている。早く奴らを見つけるのだ!」「はッ!」奴ら、というのはいったい誰のことなのかわからないが、なんか事件が起こっているのは確かだ。
僕たちが男性の横を通りかかろうとしたとき、僕たちは止められた。
「な、何でしょうか…」嫌な予感しかしなかった。「見ない顔だな…ID番号は何だ?」
「あ、IDですか…」僕が戸惑っていると、七海がフォローしてくれた。「私は二四〇四番で彼は二四二四番です」
すると、彼は警戒心をやめ、笑った。「まあ、頑張ってくれたまえ」
彼が遠くに行き、僕たちが角を曲がると僕は壁にもたれかかった。「はー、緊張したー」
僕は今頃きついたことだが、防犯カメラが全く見当たらなった。もしも結構大事な場所なら普通は防犯カメラを張り巡らせているだろう。
「隠しているかもしれない。気を緩めないで」僕は頷いた。
元の姿に戻るとしたとき、僕たちの後ろから誰かが曲がってきた。
「あ!」その人は知っていた。
なんでここにいるんだよ! 僕は心の中でどなった。
その人・彼女を追うと、彼女は逃げた。
その少女といえばここに来る前、家に帰らせた彼女だ。
七海も僕の後ろを追ってきた。男性の姿で見るとちょっと気が散る。
問題は新たに表れてきた。向こうのほうから違う人たちが現れた。
彼らも彼女に気づくとこっちに走ってきた。
このままでは彼女がつかまってしまう。
と、おもたっ時、七海の手に何かが見えた。
黒い球だ。彼女はそれを投げると、白い煙を出しながら爆発した。
煙幕だ。僕は煙の中から少女を見つけると、手を引いて反対方向へと走っていった。
「わ!なんだ!?」
「見つけ出せ!」
僕たちは彼女の手を引いて角を曲がり、そのまま走りだした。
彼らは追っていなかったので、とりあえず元の姿に戻って透明マントを羽織った。
目の前を彼らはかけていった。
このマントの悪いところといえば片方からは反対側にいる人が透明に見えるが、もう片方からは普通のマントにしか見えない。
だから、どこまで遠くに行ったかはマントの端から目を光らせないといけなかった。
見ていたところではもう誰もいなくて、安全だと思った。
だが、それは大きな間違いだったようだ。
僕たちがマントを外すと、目の前にあの男が立っていた。
顔は少し険しい顔だった。
僕たちは彼にはめられたようだ。
あの時、もう知っていたのだろう。
僕たちは彼に連行され、牢に入れられた。
僕たちが牢に入ると、彼もいっしょに入ってきた。
その牢屋の中には何個も牢屋があり、誰もいなかった。
誰も入ろうとは思わなかったのだろう。こんなバッグの中には。
その中にあった一つの牢屋へ僕たちを押し込むと、ドアを閉めて鍵をかけた。
「そこから一人出してやる。もしも俺に一度でも触れることができたのならばここから出してやろう」
そういうと、彼はスマホを取り出した。
やはり普通のスマホにしか見えない。
「あれは警備官だけが持てるものだと思う」
彼が話していたことはわざと僕たちに訊かせたいのか、少し大きめな声だった。
「ああ、捕まえた。心配するな、俺がどうにかする。…は?そんなことどうでもいいだろう、あいつはめんどくさい奴だからな…ああ、分かった。それじゃあまた今度」
彼が電話を切ると、僕たちのほうを見てきた。「さてと、誰が出てくるんだ?」彼はドアのかぎを開けた。
僕が行くと言おうとしたが、その前に少女が声を上げた。「私が行く」僕は目を丸くした。
「危なすぎる、僕が言ったほうがいい。君を巻き込みたくはない」すると、彼女の雰囲気が変わった。
「あなたは私の恩人です。死なせたくはない」彼女はするりとドアの反対側に行くと、ドアを閉め、ロックを壊した。
いったいどこからそんな力が現れるのかわからないが、今はそんな状況じゃなかった。
あまりに自然なことだったので、反応に少し遅れた。「おい!待て!僕が行く!開けろ!」
彼女は一瞬だけ僕のほうを振り向いたが、また歩いていった。
「くそ!」僕は鉄のドアを力いっぱいたたいた。「今は彼女を頼るしかないのよ」
七海も悲しい顔をしていた。「どうにかここから出る方法はないのか?」僕は七海に迫った。
だが、七海はきっぱりと首を振った。「この壁は特殊な道具で作られているみたい。私の道具はどれも通用しないようにしているらしいよ」
「出る方法とすれば一つだけ、彼女が彼に勝つこと」僕は歯を食いしばった。
なんでこうなったんだ… その時、思い出した。
こうなった第一原因は僕だ。僕があの中に入ろうといったからなんだ。
「ごめん…」僕はつぶやいた。「大丈夫だよ、蓮田のせいじゃない。しかもほら、彼女も人間並み以上の身体能力を持っているみたいだよ」
僕がフェンスの反対がを見てみると、彼女は男の攻撃を全て見事によけていた。
「まあ、出会ったときフェンスの上でしゃがんていたということからおかしいとは思っていたよ」
七海は少女を見た。「彼女はもしかしたら彼以外の身体能力を持っているのかもね」
だが、彼女は全く攻撃を仕掛けない。よけるのに夢中のようだ。
彼女は一瞬隙を見せた。男はそれを見逃さない。彼は強烈なパンチを繰り上げた。
彼女はすれを腕で受け止め、飛んでいった。
「グッ!」彼女はそのまま壁へと吹っ飛んだ。
壁に突っ込み、埃が空中に飛び上がった。
「か…ったね…」彼女は頭から血を流してよろよろと立ち上がった。
彼はまだ気づいていないのか、首を振った。「そんなわけはない。まだ私には触れていなぃ…あ」
彼はやっと気づいたようだ。だが、僕も七海もまだどういう意味なのか分かっていない。
お互いの顔を見て、ポカンとしていた。
「私は君の拳に触れた。それは君に触れたということになるよね?」
男は自分の手を眺めると、怒りのままに地面を殴った。
地面には大きな穴ができて、これを彼女が受けてただじゃ置けないのは普通にわかる。
「手加減していたでしょ」彼女は男に言った。「なッ」男は首を振った。
「もしも今のが私に来ていれば今頃私の腕は九十度以上に曲がっていたよ」彼女は少し赤い腕を見せた。
傷だらけだが、折れてはいなさそうだ。
「お前たちには負けた、さあ、出ていくがいい。もう戻ってくるな」
彼はドアをぶち明けた。「もう鍵は不要だ。あそこのあいつがぶっ壊したからな」彼は向こうに立っている少女を指さした。
僕はその場を離れていった。最後に一言残して。「その約束は少し守れそうにないよ」
僕たちはそのまま廊下を走っていくと、窓が見えた。その窓から見えるものは外だった。
そこには普通の家が立ち並んでいた。「…」七海はその街を眺めて何かを思い出しているかのような目をしていた。
「あれが何か興味を奪い取ったか?」僕が訊くと、彼女は普通の彼女に戻った。「わからない、でもまあ、行ってみたらわかるでしょ」
彼女はガラスを割ると、身を乗り出した。「それじゃあ飛び降りるよ!」僕も外を見てみると、そこは町から百メートルほど高いところにあった。
「いやいやいや、無茶でしょ!こんなところから飛び降りたらしぬよ!」だが、その時にはもう遅かった。僕たちはもう落ちていたのだから。
「ギャー!」僕は叫びながら落ちた。「女子かよ」七海と少女はまったくビビっていなかった。七海は何かあるだろうが、彼女はいったい何を考えればここまで冷静に入れるのかがわからなかった。
「これを飲み込んで!」彼女は薬を渡してきた。「次はありったけ息を取り込んで!」僕は飲み込むと、息を吸い込み始めた。
普通は二秒ほどで吸い込めなくなる。だが、今回は違ったらしく、僕の腹がどんどん大きくなった。
どうしてかはわからないが、服までスライムのように伸びていた。
だんだん落ちる速度が緩まって、ゆっくりと地面につくことができた。
「助かった…」僕が息を吐き出すと、元の姿にも土た。「一回しか使えないってところが悪いしいいんだよね」
もう一度息を吸ってみたが、もう二秒しか吸えなかった。
そこは森の中で、街の方面に歩いていくと、そこには普通に人間が住んでいた。僕たちと同じ、人間が。
だが、僕たちとは違う世界だった。いろいろなことが自動でできて、自由な世界だった。
七海が持っていそうな道具ばかりが使われている。「七海はここで生まれたのかもね」
彼女につぶやいたが、彼女の耳には届いていなかった。「ここが…私で私が生まれたんだ…」聞こえていなかったのかがわからなかった。
彼女は駆け下りていくと、入ろうとした。何かの透明な壁に止められた。

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