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「…」目の前で見たものはあっけにとられるものだった。
それこそ、目の前には大きな門があったからだ。
ドアベルに見えるボタンを押すと、声が聞こえてきた。
「あの…」私はそっとマイクっぽいところに問いかけた。
すると、その中から声が聞こえてきた。
「あ、すぐ門を開けるからね」少しすると門が横向きに開いた。
さっきまで見えなかったものが見えた時には、一瞬気が遠くなりそうだった。
目の前には公園があったのだ。
というか、公園ではない。それは確実にわかっている。
遠くを見ると、遠くには大きな建物があった。
その方角から何かが走ってきた。
「お待たせ!」彼女は私の横で止まった。
私は周りを見ながら彼女に案内され、家の中に入った。
家といっても家ではないと思う。
言い方を変えれば城だ。
城ではないが、小さな城だった。
「それで、どうして家に呼んだの?」私はわざとという言葉を使った。
彼女は一つの部屋に入ると、私を呼んだ。
「これ」彼女が見せてきたのは服だ。
端から端まで服がずらりと並んでいた。
「いい服を選んでほしいの」私は慌てて首を振った。
そんなこと、できるわけがない。私はそんなことなど、一切機にしたことがないのだ。
ある服を着ていくだけだった。
「そういわずに!」彼女は全く私の言うことを訊かなかった。
私はため息をついて、付き合うことにした。
それ以外に選択肢がなかったようだったからだ。
「どれがいいと思う?」選べる種類が多すぎて、私は目が回りそうになった。
だが、深呼吸してみていくと、色々と派手すぎなのが見つかった。
私からして、派手すぎるのは少しいやだと思う。
なので、それは少し外しておいた。
それから、白いシャツを彼女に着てもらい、シンプルなパーカーを着てもらった。
わざと、裾が少し長めのを選んだ。
今までで人がかわいいといった人はそういうのをする人が多かったからだ。
スカートは少し長めにしようかと考えたが、彼女のような人は中ぐらいがいいだろうと思った。
だが、念のためにその下にはできるだけ短い、短パンをはかせておいた。
「後は…」やはり服以外も綺麗に整える必要があるだろう。
私はショルダーバッグを手に取った。
黒い奴がいいのかもしれない。
「これでいいかな?」私は彼女を鏡の前に出した。
そこまではやっていないと思うが、彼女が喜んでいるように見えたので結果オーライだ。
「というかこれってデートをしろっていう格好じゃない?」私は首をかしげた。
それが前提で頼んでいるのかと思っていたからだ。彼女は急にもじもじとし始めた。
これが人間の面倒なところだ。
「そ、そんなのを急に…」私は彼女を無理やり押して、外に出した。
彼女はボーっとしてしまい、まともに前を見ていなかった。
もう少しで引かれそうになったことが何回あっただろうか。
もしも家から学校がもうちょっと遠ければ、彼女は引かれ、死んでいたかもしれない。
「それで、読んでるんだよね?」私は念のために訊いておいた。
彼女は正気に戻ったらしく、強くうなずいた。
昼休みにこっそりと手紙を入れたらしい。
それを見てくれたのかはわからないみたいだけど。
「とりあえず行ってみるか…」私達はそのまま歩いていった。
学校につくと、学校の裏庭に行った。
こっそりと覗いてみると、そこには一人の少年がいた。
私も知っている人だ。
彼は私を一度助けてくれた不思議な人だ。
「それじゃあ、あとは頑張ってね」私はそのまま立ち去ろうとした。
だが、肩をつかまれ、止まってしまった。
「へ?」