「うまくいったね♪」私はにやりと笑った。
見つからないようにこっそりと証拠を隠滅していった。
だが、家庭科室と音楽室に置いてあるものは明日回収するつもりだ。
現れるのが誰なのかはわからなかったが、誰かが来るのは確実だった。
「でもあいつが現れるなんてね」彼のことはそこまで知らない。
だが、知っている。なぜかというと、彼はクラスを盛り上げる人だからだ。
彼を敵に回すのはやばいと思ったが、この時以外にチャンスはないと思い、やった。
そして、それは大成功だったようだ。
「よかったー」私は一瞬間違えてしまい、隠れる羽目になった。
彼は一応バカではないので、気づかれると厄介だと思った。
私が考えた方法はこうだ。
まずはスピーカーをこっそりと家庭科室にスピーカーを置き、反対側の音楽室にも一つ忍ばせておいた。
音楽室のほうが見つかっても怪しまれないだろう。
そして、パソコンを開いた。
それにあるソフトを入れて、一番手前に画像を開かせるようにした。
ロック画面でも、それは発動する。
それを私のテーブルに乗せておいた。
もしもその席が私だと分かっても、それだけで証拠がないはずだ。
パソコンの名前も変えておいた。
小さな防犯カメラを教室に設置して、私はその場を立ち去った。
両方のかいだんにも設置しておいた。これでどっちに照らせばいいのかがわかる。
後は小人の予言通りに誰かが来るのを待った。
少し防犯カメラを眺めていると、もちろん誰かが現れた。
それは勿論、“彼”だった。
私はさっそく準備に取り掛かった。
いい形に切り抜いた凧を空に挙げたのだ。
だが、風がなければ困る。なので、屋上に紐を括り付けておき、うまくいくようにしておいた。
彼は思った通り、パソコンを開いた。
そして、その画面にあったもので驚いた。
そのまま校庭から見て右の階段を下りていったので、私はちょうどいい時を狙った。
防犯カメラを見ていると、彼はちょうどいい月の位置でできた不気味な影に驚いていた。
後は紐を切り、壁にくっつけるだけだった。
その後は私がもう一つのほうも切っておき、階段を上ってパソコンのところまで行くということだ。
だが、その時に或る間違いをしてしまった。
それは、足音を立ててしまったということだった。
それはやばいことだった。
今は誰もいない廊下、足音はマイクのように聞こえてくる。
だが、私が教室に入ると慌ててパソコンを開き、次の計画を行った。
足音をスピーカーから流すということだた。
だが、さっきの足音が少し問題だった。彼は気づけるかもしれないからだ。
足音が違うのを。
彼は今度はこっちに走ってきた。
私は慌ててパソコンを席に置き、一番最初に見えたもの、ロッカーの中に入った。
そこには小さな穴があったので外が見えた。
彼は入ってきて、周りを見た。
その時、私はにやりと笑った。
もしも失敗した時にはプランBを実行するのだった。
窓には縄を落としておいた。
だが、それはどうしてか布に見えてしまう縄らしく、落とせばもっとそう見えてしまう。
不思議だ。
「これを使って逃げたのか!」そんな声が聞こえてきた。
それを聞いていて、私の心臓が鳴りながらも笑いをこらえた。
ここで笑ってしまえば気づかれる。
彼はそのまま教室を出ていき、階段を猛スピードで降りていった。
多分私が設置しておいた縄のせいで、下にいるのかと思ったのだろう。
私はほっとしてロッカーから出た。
その時には考えてなかったことが起こった。
ロッカーが音を立てたのだ。
『ギーッ』という音を。
だが、彼は帰ってくる気配もしなかった。
「うまくいったね♪」私は誰かに問いかけるように笑みを浮かべた。
その後は簡単だ。静かになった学校で仕掛けたものを全て取り除くだけだった。
ある動きをすれば屋上に取り付けた紐は外れるようにしておいたので、ほとんどを取り外すことができた。
音楽室と家庭科室の中にあるスピーカーはまた今度、取りに行くつもりだ。
「さてと、帰るか」私はとことこと歩いていった。
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