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依頼人:brilliant_sさん

そうですね・・「夕暮れの人気のない公園」は如何でしょう?

何かと再会するとして、思い出なのか人なのか、それともタイムカプセルのような記憶に残るものなのか?・・・という感じで。

よろしくお願いいたします🙇✨


ギギギ… ブランコが風で揺れる。
ここは誰もいない、忘れ去られた公園。
手入れする人もいないので、汚い。
誰も来ないので、空っぽだ。
砂幅は飛んできた土が積もり、滑り台はボロボロで滑ることもできそうにない。
勇逸残っているのはブランコだけだ。
錆びていて、あまり回らないが、座るほどならまだいける。
だが、毎日、毎月、毎年待っても来ない。
目の前を通る人もいない。
無理もない。ここに入るには路地を通らないといけない。
しかも、その先は行き止まりで、この公園のためにだけ作られたような路地だった。
だが、公園は毎日、毎月、毎年、誰かが来ると信じて待っていたのだ。

誰かが現れるのを。

「フ~」俺は会社からよろよろと歩いて出た。
この会社はブラック企業といってもいいような会社だ。
朝から晩まで働かせておいて、毎日の給料はたったの1万円。
もう夕方だ。娘ともろくに遊べない。
他のところに移ろうかとも考えたことはある。何度も。
だが、少し難しそうだ。
この会社以外、いいところがないのだ。
そう言ってしまえば、ここが一番ましということになる。
なぜかというと、ここ以外に俺が好む仕事がないからだ。
「もっといいところはないのだろうかな…」よろよろと帰っていると、足がもつれて地面に倒れた。
「いたタタ…」すると、100円玉が坂を転げ落ち始めた。
100円といえ、大事なお金だ。俺は必死で追った。
あれを使えば運よくラーメンいっぱい買えるかもしれない。
俺は必死で追った。追っておっておった。
すると、どうしてかほんの少し角度が変わり、路地に飛び込んでいった。
「なんでだよー!」もう少しすれば坂が終わり、止まるというのに路地に入ったおかげでもっと坂が現れた。
俺は必死で追った。だが、追っている以外に違う感情が現れた。
懐かしみだ。
「ここは…」ようやく坂が終わり、100円玉が止まって地面に倒れたので拾い上げると、目の前に公園があった。
まるで何年も手入れされていないようだった。
ブランコは風で揺れるたびにきしんで、滑り台は滑れそうにない。
砂幅はもう土幅だ。
「懐かしいな…」俺はつぶやいた。
ここは昔にいつも着ていた場所だった。
あれから何年たったのかも覚えていない。
最近は仕事、仕事、仕事でここに来ることができなかったからだ。
「いったいどうなったんだ…?」そこは本当に忘れ去られていた。
誰もいないし、生き物もいなかった。
「綺麗にするか…」俺だけではそこまでできない。
だが、砂幅だけならできるだろう。
俺は砂幅の上にある土を払いのけ始めた。
数分経つと、大体はのけることができた。
まだまだのけるところはあるだろうが、大体はできたと思う。
「そういえば」数年前に友達とやったことを思い出した。
確かここら辺に… 俺が草むらの中を探っていると、向こうから声がしてきた。
「あ、」俺が後ろを振り向くと、そこには懐かしい人がいた。
「海人!」俺は目を光らせた。「なんでここに?」彼の髪が少し揺れた。
「だって…」だが、彼が何かを話す前に他の人が現れた。
「お待たせー、あれ?わー!久しぶり~!」そこには春香がいた。
彼らとは10年ぶりだ。彼らとは毎週のようにここへきて、遊んでいた。
「ひっどいことになったなー」彼らは公園を見てため息をついた。
「久しぶりに着てみよーって着てみたのだが…ここまでになってるとは…」俺たちはどうにかここをきれいにしようかと話し合っていた。
「とりあえずは友達を呼ぶか」俺たちはスマホを取り出した。「もしもし」俺たちは10人呼んだ。
彼らは全員昔、俺たちとここで遊んでいた人たちだ。もっといたのだが、他の人たちは連絡先を知らない。
「ひっでーことになった」この場を見ると、全員がそう言っていた。
「それなら俺がどうにかしようか?」一人がそう告げた。
俺たちは彼の案を聞くと、うなずいた。
彼の案はこうだ。
「俺たちが一人、1万円だけ払う。そうすればここを治すことができるだろう?俺は5万円払うよ」すると、口々にだんだんとお金がたまり、しまいには一人が最低4万円払うようになった。
そこまでここが好きだったということだ。俺たちはすぐに公園の持ち主のところへ行き、お金を渡して取引をした。
彼がもらったのは55万円だ。そのお金を使って公園を新しくして、人がもっと入ってこれるようにしてほしいという取引だ。
持ち主は頷いてくれた。
「よっしゃ!」その後、集まった俺たちはパーティーを開いた。

それから数日が過ぎた。
ピーンポーン
ドアベルが鳴った。
「何だ?」ドアを開けてみると、そこには誰もいなかった。
ただ、そこには箱が一つあっただけだった。
「こ、これは!?」そこにあったのはタイムカプセルだった。
俺たちが一人一人何かを入れておいたタイムカプセルだ。
開けてみると、おもちゃや本、ゲーム機のようにいろいろなものは言っていた。
だが、その中で覚えのないものが入っていた。
1枚の紙だ。それを入れたものは誰もいなかった。そのはずだ。
その髪には少し汚い文字でこう書いてあった。
『あ・り・が・と・う』その時、俺は思った。
ああ、あの公園がまた復活したらいいな、と。

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