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「は~…」私は部活でため息をついた。
岸田先輩は心配してくれた。
「どうしたんだ?」だが、その喜びはすぐに壊された。
「これでもいる?」彼は手を差し出してきた。
その手には何もなかったのでどういうことなのかが理解できなかったが、すぐにどういうことかわかった。
「大丈夫ですって!」私は慌てて手をぶんぶん振った。
彼が言ってるのは…、手をつなぐということだ。
多分。
「へ?」彼は首をかしげた。
彼は自分の手を見ると自分からびっくりしていた。
「ああ、ゴメン」彼が手をポケットに入れて取り出したのはハンカチだった。
「ほら、額に汗が出てるよ」彼は私のほっぺたを指出した。
私は慌ててほっぺたについているなみ…じゃなくて汗を拭きとった。
「というかなんでそこまで疲れてるんだ?」先輩に訊かれ、私は顔を真っ赤にした。
「な、何でもありません」私は目をそらした。
日曜日のことを私は忘れることができなかった。忘れたかったけど。
日曜日にはおばあちゃんと追いかけっこをしていた。
もう73歳だっていうのに、化け物だ。
私よりも早く家の中を逃げ回って、しまいには道の中も走り去っていった。
おばあちゃんはぴんぴんとしているのに私はへとへとだった。
おばあちゃんが何度もあの写真を飾ろうとして、それを私が止める。
それがずっと続いた4日間だった。
もう疲れた以外何も考えることができなかった。
今日の授業、どうしよう…

チャイムが鳴ると、私は教室に戻り、椅子に座った。
だが、頭はぼんやりとしたままだった。
もしもクラスメイトに呼ばれなければ出席で返事するのも忘れるところだった。
「は~…」私はまたため息をついた。
「お、いい写真取れた」横から声が聞こえてきた。
今は昼休みで、屋上にいた。
いったい誰かと思いきや、岸田先輩だった。
「ってか先輩、スマホを学校で使ったらいけないじゃないですか!」だが、彼は鼻で笑っただけだった。
「ふん、分かっていないね。この学校は一切使ったらいけないといっていないのだよ」普通なら使ったらいけない。
だが、この学校でその話題が現れたことはなかった。確かに彼が行ったことは正解だった。
「でもー!」だが、彼の耳にはもう届いていなかった。
「これを壁紙にしようかな…それともロック画面にしようか…」先輩は私のボーっとした顔を眺めていた。
私は奪い取ろうとしたが、彼はするりとよけた。
ちょうどその時、彼はフェンスにぶつかり、スマホが落ちていった。
「あー!」彼は慌てて舌を見ると、急にほっとした顔をした。
一体なんだと私も下を見てみると、そこには一人の先生がいた。
先生は手に籠を持っていて、その中には服がぎっしりと詰まっていた。
勿論その上にはスマホが置いてあった。
「おい!」先生は下から叫んできた。
すると、先輩の顔が青ざめた。
「何度学校でスマホを使うなと言ったらわかるんだ!これは金曜日まで没収!」
やっぱり使ったらいけなかったんだ…先輩はどたどたと階段を下りていき、先生にしがみついていた。
「お願いします~、今回だけは~!」だが、先生は全く動揺しなかった。
「だめだ。もうすでに何度行ったと思っている」どうやら今まででも何回もこんなことが起こったらしい。
私も気を付けないと…すると、ポケットから私のスマホがするりと落ちて、服の詰まっている箱の中に入った。
「あ…」「これも没収だ!」

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