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「お前は俺が必ず殺す」先生の目はさっきまでより怒りが増していた。
その部屋は普通の部屋を広くして、少し多めに物を置いたような部屋だった。そして一番目に入ったのはドアの近くで地面にはめ込まれていた水槽だった。しかし、その中は殻で、何も見えなかった。
「ほほう」奥から声がしてきた。忍差と金木は周りを見たが、誰も見えなかったし、気配も感じなかった。
「さてと問題だ。俺は今、どこにいるか」そう聞こえると、迷いもなく後ろに向いた。「どいてくれ」先生は2人の方に歩きだした。
「?」2人は意味が分からなかったが、いうことを聞きどいた。「お前は…」水槽の前に来ると、思いっきり水面をたたいた。「ここだ」めちゃくちゃ大きい水しぶきが起き、完全に水が水槽の中から消えた。
「よくわかったな」中から一人の男が出てきた。水の中から出てきたはずなのに、男は全く濡れていなかった。
「さっきまではいなかったのに…」金木と忍差は不思議そうに水槽の中を見ていた。そこには二とつの人が一人、丸くなれば入れそうなぐらいのまた小さな水槽が入っていた。
「理科の授業で習わなかったか?」2人はプルプルと首を横に振った。「おかしいな…そういやああの時にはお前ら、いなかったか」思い出したというように手をポンとたたいた。
「いつか教えるから今は…をッと」急にパンチが来たので受け流した。「よっと」先生は次のパンチも軽々とよけた。「こっちに集中だ」先生は深呼吸をすると、前に進んだ。
急に明るくなったかと思うと、変なことを言い出した。「今日は、僕の名前は忍座と申します。あなたの名前は?」「…」男は何も話さなかった。イラついたのかもしれない。忍座先生のなれなれしい態度に。
「楽しく話す気はないようですね。それではあなたは必要ありません」先生はビュンと風を切りながらパンチを繰り出し、男の腹へ命中させた。
「彼はここのボスではないですね」忍座先生は倒れている男をちらりとみると言った。
「本物のボスに行く」そこで急に壁がぶち壊れた。「必要はないみたいですね」「侵入者は誰だ!」
大声で大きな男が回転しながら飛んできて、足から着地した。「侵入者は僕達ですけど」先生は静かに言ったが、
「お前かー!」と、向こうは大声で言ってきた。「そうですよ、「お前」です」2人の真ん中には火花が散っていた。
「あのー…」金木が横から何かを聞こうとすると、「黙れ!」と二人が叫んだ。「はい…」金木は引っ込んだ。
「お前はいったい何をしに来たのだ?」「お前こそ何をしているのだ?」2人は笑いあっているが、裏では全くの真反対だった。
「…」ぴょこりと座っている2人はぼーっと見ていた。「「マジか」」2人は はー、と深いため息をついた。

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📖上鍵です『|上鍵《じょうかぎ》と呼んで』小説家🛜lvl目標1000フォロワー・わがままだけど欲しい