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僕の書く小説|使用禁止道具|初めの3700文字

この小説は今作っている#創作大賞2024用の小説です。
作り終わるかはわかりませんが、初めの3700文字を紹介したいと思います。
読んでくれると嬉しいです。


一人の少年がベッドから起き上がった。
今日もいつもと変わらない、一日だ。
彼は台所に行くと、食べ物が用意されていた。
お父さんは会社、お母さんはどこかに出かけている。
彼は毎日家で一人だ。
だが、それが日常なので彼はそこまで気にしていない。
今日も同じような日常になるはずだった。
彼は外に出て、学校に行くところだった。
そこへ、一匹の猫が歩いてきた。
いつもなら逃げていくが、その猫は彼に近づいてきた。
彼はその猫を気にせずに学校まで歩いていった。
だが、学校までその猫はついてきた。
彼は猫に気が付かず、学校の中に入っていった。
授業が終わり、給食の時間になった。
給食を食べ終わると彼はいつも行く屋上まで上がった。
そこで空を眺めていると、目の前から猫の声がしてきた。
前を見ると、家の前で見た猫が彼を眺めていた。
いったいどうやって屋上まで上がって来たのか彼は考えてしまった。
普通に階段を使って上がってきたのなら誰かに見られたはずだ。
だが、ほかに上ってくる方法などないはずだ。
すると、猫が口を開いた。

こんにちは。

彼は口を開いたまま石のように固まってしまった。
無理もない。一匹猫が今、口を開き、話したのだ。
驚かない人がいればその人はおかしいと思う。
「私の名前は山田やまだ七海ななみ、少し変わった少女」
僕は目を丸くした。
「今、少女って言った?」
猫は頷いた。
「いやいやいや、どう見ても猫でしょ」
だが、猫はプルプルと震えだした。
「あ、切れるみたい」
僕は意味が分からなかったが、すぐにわかった。
スライムのように崩れ落ちると、また形が作られ始めた。
数秒後には正真正銘、少女が立っていた。
「??」僕の目はぐるぐると回っていた。
「????????????????????????????????」
僕はそのまま倒れてしまった。
起きると、保健室のベッドで寝ていた。
何分経っただろうか。
時計を見てみると、まだ二十分しかたっていなかった。
近くにはもう少女が見当たらなかった。
どこかに行ったのだろう。
そう思い、保健室を出ると普通に授業をした。
だが、その間、ずっと窓の外にいる鳥が気になった。
ずっと僕を見ている気がしたのだ。

学校が終わり、家に帰った。
鍵を開けてドアを開けると、いつもと同じで静かな部屋だと思っていた。
ドアを開けると、そこには誰もいなかった。
やはりそうだ。
そう思い、一歩中に入ると急に上へと浮かび上がった。
「!?」
気付いたときはもう遅かった。
僕は天井に頭をぶつけて、さかさまのまま立っていた。
「あ、ごめんごめん、おかしいな…私だけにしたはずなのに…」
目の前にはさかさまの少女が立っていた。
彼女は天井に座っていた。
まるで重力がひっくり返った蚊のようだった。
僕は天井で立ち上がり、少女のところに近づいた。
どうやらほかのものは普通に重力があるようだ。
その時僕は思った。
もしもいま、ドアから外に出れば宇宙まで落ちていくのではないのかと。
「それはないよ」少女は僕に向いてきた。
「え?」僕は少女をじっくりと見てしまった。
彼女は真っ赤な服を着ていて、真っ赤なリボンをつけている。
肌はさらさらとしていて、赤目をしていた。
金髪だったということが不思議だ。
大体の時は目の色と髪の色は一致するはずだが、髪を染めたのか目を染めたのか…
「だってこの重力は家の中だけ、もしも外に出れば地面に頭をぶつけるよ、重力が戻るから」
僕は思った。
「君は本当に何者なんだ?」
彼女は僕を少しの間見てからにっこりとして答えた。
「私の名前は山田やまだ七海ななみ、少し変わった少女」
僕は自分も自己紹介をしないといけないと思ったのか、自己紹介をした。
渡辺わたなべ 蓮田れんただ。よろしく、と言いたいところだけどこれをどうにかしてくれるか?」僕は地面を見上げて指さした。
「ああ、ごめん」彼女は置いてあった機械のボタンを一つ押すと、重力が元通りになった。
だが、問題は僕が逆さまだったということだ。
僕はまた頭から地面に落ちた。
前は天井に頭を落としてしまったが。
「痛~…」僕は地面に倒れたまま七海をにらんだ。
「というかなんでここにいるんだ?」
彼女は帰る場所があるはずだ。
こんなことができるから、どこか知らない世界から来たに違いない。
彼女は指を鳴らした。
すると、地面に転がっていたあの機械はこの世から消えた。
「どこに行ったんだ?」もう僕は驚くことを飽きたようだ。
彼女は首をかしげた。
「どこかの四次元世界」
僕は目を丸くした。
どうやら彼女は指を鳴らすことで四次元世界とつながるようだ。
僕はもう完全に驚かなくなってしまったようだ。
「とりあえず、帰るあてはあるのか?」
彼女は首を振った。
「あるわけないよ、どこから来たのか覚えてないもの」
僕はため息をついた。
これからどうするのかと聞くと、ここに住むといってきた。
僕は驚き、また天井に頭がぶつかるかと思った。
だが、そんなことは起こらない。
「いやいやいや、親が許すわけないでしょ」
僕の親は友達をほとんど招待できないような家族だった。
行くことは許すが、来ることは許さない。そういう人だった。
そんな親なのにここに住むことを許すはずがない。
「だからこれを使うの」彼女は指を鳴らした。
すると、どこからか携帯が現れた。
「これでテキストしたことはすべて本当になる。健闘を祈ってほしいね」
蓮田は目を細めた。
「健闘を祈ってほしいってどういうこと?」
彼女は少し困った顔をした。
「これは時々間違えたように理解されるころがある」
僕は慌てて彼女を止めた。
嫌な予感しかしなかったからだ。
「他に方法はないのか?」
彼女は考えてから答えた。
どうやら存在するらしい。
だが、これは今まで彼女がこの家に存在したという設定にする道具らしく、初めはいやだったがもう仕方なかった。
「好きにしろ」僕はあきらめて、地面に座り込んだ。
彼女が取り出したものはボタンだった。
そのボタンを手に持つと、言葉を発した。
「私が今いる家でずっと暮らしているようになりますように」
僕は、その時気付いた。
「それをさっき使えばよかったじゃないか!」
だが、その時にはもう遅かった。
彼女はもうボタンを押していて、その願いが実在してしまった。
気が付くと何も起こっていなかった。
「?」僕は部屋を見て回ったが、ほとんど何も変わっていなかった。
「変わったよ」彼女は玄関を指さした。
ちょうどそこへお母さんが帰ってきた。
僕は慌てて七海を隠そうとしたが、そんなことをしなくてもよかったようだ。
「あ、七海はどこかに出かけてたんじゃないの?」まるで家族の一員かのように七海と接していた。
どうやら願い事が本当になったようだ。彼女はではなく、本当に家族の一員なのだ。
事実を知っているのは七海と僕だけだった。「そろそろ遅くなったし早く寝なさい」まだ七時半だった。
どうやら七海が来たせいで寝る時間が早まってしまったようだ。
そして、何よりも問題になったことがあった。それは七海も同じだったようだ。
七海のベッドがないのだ。「わ、私のベッドは?」彼女はまさか…という顔でお母さんを見た。
そのが本当になってしまったようだ。「何言ってるの、二人とも同じベッドで寝るでしょう?」
彼女は顔を真っ青にして外に飛び出していった。「あ、ちょっと!」お母さんは止めようとしたが、もう遅かった。
僕も一緒に飛び出していったからだ。

「どうする?」彼女は僕に訊いてきた。
「戻す方法はないのか?」彼女は頷いた。
ボタンを取り出すと、説明してくれた。
とても簡単な説明だったので省略もいらないだろう。
「このボタンをもう一度押せば消える」僕はボタンを押してほしいと思った。
だが、彼女の顔を見ればそんなこと出来っこなかった。
「帰るところはあるのか、もしもそのボタンを押せば帰るところはあるのか?」
彼女は額に水滴が流れ落ち、首を振った。「…」僕がうつむいていると、僕の額からも水滴が流れ落ちた。
すると、どんどん水滴が舞い降りてきた。雨が降り出したようだ。
僕らは屋根の下に避難して、空を眺めた。
空からは水滴がたくさん落ちてきている。
僕らは沈黙のまま過ごしていた。
なので、僕はその沈黙を壊すために何かを放そうと考えた。
その答えは来れた。
「どうして学校の屋上にいるんだ?」
「さあ」
僕らはまた沈黙に落ちいてしまった。
「とりあえず帰ろうか」僕らは雨の中、ゆっくりと家に帰った。
「お帰り」このことを忘れたかのようにお母さんは接していた。
「「ただいま」」僕らは服を着替えた。
彼女の裸を見たのに、なぜか何も思わなかった。
一緒のベッドで寝ることになった。
これはさすがに僕らは緊張した。
僕らは数十分寝ることができなかった。
「ねえ」彼女は僕に訊いてきた。
「何?」僕は眠い目で聞いてみた。
「この世界って公平だと思う?」とてもおかしな質問だった。
あまりおかしかったので僕は動揺してしまった。
「どういうこと?」彼女は空を見たままつぶやいた。
「言葉のままだよ。この世界は公平だとは思えないよ」僕は何も言えなかった。
「不幸な人は不幸な生き方をして、運のある人は運の良い生活をする。それは不公平じゃないかな」
「…」僕は何も言わなかった。
「まあいいか、お休み」僕は頷いてから、目を閉じた。


続き(2024年7月13日投稿予定)

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