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「誰かいたよ!」佐々木が下に降りると叫んだ。
僕たちが駆け寄ると、少し遠くに少年がいた。
「でも…」彼女はため息をついた。「助けはいらなさそうね」
それは確実に事実だった。その少年は堂々と山に向かって泳いできていた。
「あ、お前ら、何してんだ?というかすごいな。俺なんか海の中で飛び回ったよ」岸に上がってくると水を水鉄砲のように吐き出してから言った。
僕はため息をついた。彼の名前は橋田はしだ運魔うんまいつも明るくてやんちゃな学年トップクラスのスポーツ生徒だ。「まさかあんたも生きていたとはね」彼女はため息をついた。
まあ、ここにいた人たち3人は十分予想で来ていたが。「何だよ、うれしくないのか?」彼の体にはかすり傷が少ししかなかった。
「津波が見えた時はすごかったぜ、後1mほど深ければ俺は今頃、海の底に沈んでいただろうな」
どうやら彼はギリギリのところで海の中から現れることができたらしい。間一髪だ。だが、彼は一つ、あることがあった。
彼は使用できる。彼はやんちゃではあるが、学校の生徒からはとても評判がいい。一つの理由は足が速い、体育の時がかっこいいと、あるが、もう一つは信用できるということだ。
彼は今までで約束を破ったことがなかった。どんな秘密でも必ず守り通していたのだ。
「それとさ、これ、見つけたんだ」彼の手には魚があった。「お、それは食べれそうだな」僕達は彼を歓迎した。これから生きるためには信用できる仲間がいるからだ。
「とりあえず、他にも助けないとな」彼はそこまで頭がよくないが、勘は鋭い。僕たちがしていることを言われずに読み取った。
僕たちはまた分かれ、知っている人を探し回った。勿論誰でも助けるが、僕たちが仲間に引き入れたいのは裏切られないと分かっている人たちのみだ。「ここにいたよ!」そこには一人の少女がいた。
「誰?」ちょうど板に体を載せて、運よく生きていた。橋田が泳いでいき、引き寄せてくると彼女は意識が戻った。
起き上がると、周りを見た。まだ起きてから時間がたっていないので、今の状況を入手しきれていないのだ。
「ここ…どこ?」今の状況を一番うまく説明できそうな本田が説明した。彼は説明力があり、今まででもいろいろなことをしてくれた。
時々、彼が好きかってしすぎて迷惑になったこともあるけど、ほとんどの時は先生や親を説得してくれる。
だが、彼は時々好き勝手だ。なので、彼が勝てないと初めから分かっている戦は挑まなかった。これももしかすると彼女が泣き出したりするかもしれない。そうなれば彼にとっての負けだ。
だが、彼はわかっていた。そんな好き勝手の心で動けば、いけないのだと。今はそんな状況じゃないのだから。
彼はできるだけ女の子をなだめながら説明した。
「ありがとう…」彼女は立ち上がると、周りを見た。「あれ?」彼女は自分の手を見た。
「ない…いない…ない!」彼女は焦り始めた。
僕たちができることといえば、彼女を助けることのみだ。
「何がないの?」僕たちは冷静に訊いた。彼女はおどおどとしながらも答えてくれた。
「プーちゃんがいない…」僕たちはお互いの顔を見て、うなずいた。
名前からして、熊だろう。そして、こんな女の子が言うのなら、ぬいぐるみだ。
「それ、クマのぬいぐるみだよね。どんな見た目?」彼女はびっくりもしつつ、ピンクだと教えてくれた。
「それで、君が最後に覚えているところはどこらへんかわかる?」本当は答えられないと思っていたが、彼女は正確に教えてくれた。
その場所を教えてくれたわけではなかったが、周りにあったものを教えてもらうとどこなのかはわかった。
「あそこのコンビニだ!」僕が指さしたところは海底にあるコンビニだった。
本当はそこに生きたくなかった。だが、ぐずぐずしているわけにはいかなかった。
「行くよ!」僕たちはいっせいに水の中へと飛び込んだ。

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