ブラインド∹おっちょこちょいは私でした
私はベッドから起きると、上を見た。
「あ、起きた」そこには見たことのある男子がいた。
初めはいったい誰なのかがわからなかったが、少しすると誰なのかが分かった。
「岸田先輩!?」私は飛び起きて先輩だけを見た。
先輩はほっとしたような顔をしていた。
「心配したよ」私は少し考えた。
先輩が私の家にいるのは普通におかしい。
これは夢?そう、これは夢のはず。 私はそう信じた。
先輩が私の家にいるというところからおかしいはずだ。
「これは夢だよね」私はベッドに寝たまま訊いた。
どうしてか立ち上がろうとすると、体が痛む。
先輩は急に噴出して笑い始めた。
視界から消えたので私も顔を横にして追った。
すると、そこは私の部屋じゃなかった。
カーテンがかかっていて、見たことのある場所だ。
そこまで来たことはなかったのだが。
「ああ、面白かった。いいや、これは現実だよ」
彼は面白そうに言った。確かに現実感はする。
これが夢だと感じれたほどだ。現実の可能性は高い。
「ここはどこ?」私は周りを見て訊いた。
まだベッドに寝たっきりだ。
服を見ることもできない。
顔を上げようとすると、体が痛む。
「ここは保健室、でもあの時は驚いたよ。ボーっと歩いてて、階段から落ちたって聞いたときは」
私はそう聞き、耳を疑った。そんな覚えはない。最後に覚えているのは廊下を歩いていることだった。
確かあの時は激のことを考えていたのだと思う。
気が付いたときにはここにいたからだ。
「いや、そりゃあ覚えてないでしょ。ボーっと歩いてたんだから」
確かにその時、前を見ていなかった。だが、階段を落ちた覚えなどなかった。
もしも落ちていたのだとすれば、痛みを覚えているはずだ。
「でも、落ちたことを覚えてない」
先輩はまた笑い始めた。
だが、今回はどうして笑っているのかを聞くことができなかった。
ちょうどそこに星田先輩が現れたからだ。
星田先輩は私を見ると、涙目で飛びついてきた。
「よかった~」彼女は心配していたようだった。
後で岸田先輩から聞いたことなのだが、星田先輩は授業ごとに様子を見に来ていたらしい。
「っていうか先輩はどうしてたんですか!?」その時に星田先輩から聞いたことなのだが、
「岸田ならずっとここにいたよ、授業を完全にすっぽかしてたけどね」彼女の顔にはいじわるそうな笑みが浮かんでいた。
「この後か明日、学校に行ったとき先生に何て言われるだろうね~」だが、岸田先輩は全く気にしていなかったようだ。
まるで何か作戦があるかのようだった。だが、星田先輩はそのことに気づかなかったようだった。
私は気づいたのだが、いうつもりはなかった。いったいどうなるかが知りたかったからだ。
しかも、今は休んだほうがいいと、言われたからだ。しかも、行ってきたのは星田先輩だから。
私はベッドに横たわったまま、2人の会話を聞いていた。2人は話している間に喧嘩へとつながったのだった。
話の内容を聞いていた私でも、いったいどうやったら喧嘩になるのかがわからなかった。
まるで魔法のようなことだった。
「とりあえず、私は授業に戻るね。また何かがあったら私に伝えてね」
その言葉は優しかったのだが、普通に闇のような意味があった。
その意味というのは、こういうことだ。
「岸田みたいなやつに頼らず、私に頼ったらいいのよ」
ということだ。
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