シャドウキラー(49)
「いったいどこに行ったの」部屋を飛び出していったデリルガを探し、333番はその場を駆け回っていた。「もう彼を探すのはやめろ」ボスは彼女に命令した。「しかし…」だが、文章を終わらせるのはやめた。ボスの目を見ると分かった。「あいつは強い。自分でどうにかする」
彼女はそのまま歩いていた。すると、地面の底から地響きが聞こえてきた。どんどん近くなっている。少しすると地面が破裂した。「脱獄成功!」地面の中から現れた何かが聞き覚えのある声を出し、にやりと笑った。
「いったい地面の中で何をしてたのよ」地面の中から出てきたのはデリルガだった。「いやー、999番の罠にはまってな、出ることができなくなったのだよ」333番は穴の底を覗き込んだ。下には壁のかけらがある。「いったいどうやって出てきたの、手で掘るのは少しダメだろうし」
と、デリルガは威張った。「地面や壁、誕生にあった材料を使ったのだ。壁を粉々にしてそのかけらを使って掘った。大変だった」だが、彼の話し方からして大変そうには聞こえなかった。
333番は彼の話を上書きして訊いた。「それで、999番はどんな見た目だった?」デリルガは自分の話を止められて怒っていたが、すぐに気を取り直して答えた。「そこまでは見えなかった、体全体黒狩った。遠すぎて見えなかったし。今どこに隠れているかはわからない。気配も隠しているように感じる。」
彼女は少し考えた。「それなら彼に聞くしかないみたいね」『彼』というのはいったい誰のことなのかデリルガはわからなかった。ただ頷いただけだ。
とりあえず彼女についていくとある小学校についた。「ここで何ができるっていうんだ?誰か小学生にでも助けを求めるのか?」すると、彼女はうなずいた。「まじかよ」彼女の考えていることは何一つ見当もつかなかったがとりあえずついていった。すると、一人の少年が現れた。しかも窓から飛び降りてきたのだ。その後ろからは一人の少女が飛び出してきた。
「お前は何をしに来た」その少年は目を光らせた。「頼みがある。聞いてはくれないか」デリルガは驚いた。333番が頭を下げたのだ。そこまですごい子供なのか、この少年は。
「シャドウキラーから来たものだろ。なんで僕の力が必要なんだ」彼は目を細めた。「一人の男を追跡してほしい。それだけ、」彼女は顔を上げた。「頼めないかしら」彼女はいったいどういう風に話すのかがわからない。
少年はため息をついた。「なんでわかる。しかし僕は授業中だ。この世界を止める必要があるがいいのか?」彼女は頷いた。『時間停止』彼がそうつぶやくと、完全にその場が静かになった。
デリルガはその少年を思い出した。どこかで見たことがあるとは思っていた。彼は宙を歩いた少年だ。彼よりも強い少年だった。
周りを見るとその場は止まっていた。ほんの少しも音が立たなかった。空を見ると飛行機が宙に浮いているし、雲は動かない。
とその時、彼は後ろにいた少女を見た。「ってかどうやって動いているんだよ、僕たち3人以外動かないようにしたのに」少女は首をかしげた。「何を言ってるの?普通に動けるけど」彼はため息をついた。「その不通が普通じゃないんだよ…」
その時分かった。この少女は333番とデリルガが同時に争っても片手で片付けられてしまう。彼らより何倍も強いのだと。今、彼女は無意識に…
光より何億倍も速い速度で動いているのだった。