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中国で鉄オタ活動をしていたらスパイ容疑で逮捕された話

突然のカミングアウトだが私は鉄道オタクである。
乗るのも撮るのも大好きだ。

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好きな車両は205系。特に武蔵野線の205系は思い出深い。

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いつも乗る黄色い電車ではない、無骨なステンレスの上にオレンジバーミリオンを身にまとったその電車は、幼少期の私をいつもと違う場所へ運んでくれた。

だがしかし、満員電車は大の苦手である。まさに現代の奴隷船!健康で文化的な最低限度の生活が送れているとはとても思えない

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この写真は都心のターミナル駅のものかと思いきや大間違い。なんと埼玉県は所沢である。(ちなみに大雪で交通網が役立たずになった際のもので通常はこんなに混むわけではないが、反応が面白いので地方民や外国人に「これが私の地元駅」と自慢している。)

結局、私が鉄道に求めているのは「非日常」なのかもしれない。

非日常な鉄道といえば寝台列車が代表的だろう。日本において今も定期運行が行われているのはサンライズ出雲・瀬戸のみである。

(手持ちにサンライズの写真がなかった。)

しかし……なんか違う。いや、悪くはないのだが、求めてるものとはちょっと違う。
やはり寝台列車と言えば↓こんなものとか

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↓こんな感じであってほしいのだ。

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まだ幼かったあの日の私は、いつかお金を稼いで寝台列車に乗ることを夢見ていた。まさか社会に出るどころか小学校を卒業するまでにそのほとんどが廃止されるとは思わなかった。

寝台列車に乗りたい!……しかし日本にはすでに走ってない……。


。。

。。。

。。。。


というわけで中国に来た。

ここから本編開始。

2019 中国旅-1

東京から北京までは4時間ほど。

北京

北京には4日間滞在し、天安門広場や万里の長城など何も考えずに有名所を観光する脳死トラベルを楽しんだ。

2019 中国旅-7

2019 中国旅-8

ちなみにこの時期の北京の気温は、東京の真冬以上に寒くあやうく凍え死ぬところだった。ヒートテック2枚+上着2枚+コートという究極の重ね着でしのいだ。着太りとか気にしてる場合じゃあない。

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北京駅で撮り鉄

鉄道の話に戻るが、中国において長距離移動の手段は鉄道が主流であり、長距離を移動する夜行列車もまだ現役でバリバリ走っているのだ。というか消滅する気配が全く無い。

おそらく飛行機は高額な上に定時性に欠け、高速バスで移動するには広すぎる国土が影響しているのだろう。富裕層やビジネスマンは高鉄(高速鉄道)で、それ以外のファミリー層やバックパッカーなどは在来線の夜行列車を利用するわけである。

(中国の鉄道路線図が気になる方は↑のサイトを見てみると幸せになれる)

そんな中国の首都北京。鉄道も四方八方から集まりターミナルを形成しているが、北京には北京駅の他に北京南駅や北京西駅などの巨大ターミナル駅がいくつか存在する。

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(上記サイトより引用)

日本でも新幹線の新駅が在来線の中心的な駅から少し離れた場所に作られることはよくあるが、中国ではこれがデフォのようで、ほとんどの都市では東やら北やら方角のついた駅が存在する。
基本的に高鉄と在来線の接続はあまり考えられてないようだ。

中国の鉄道には基本的に踏切が存在せず、道路とは立体交差をするため沿線からの撮影が厳しい。
しかしながら、北京駅付近には良い鉄道スポットが存在するのだ。
それがコチラ。

北京城東南角楼である。(中国語の正式名称は「北京明城墙遗址公园东南城墙角楼」)
ちなみにGoogle Mapだとうまく表示されないため百度地図を利用すると良い。(↑に貼ったリンクもちょっとずれた場所を指している)

北京駅の裏側なので微妙にアクセスが悪い点に注意。入場料は10元と、観光スポットが軒並み高額な入場料を要求してくる北京においては比較的良心的である。

2019 中国旅-2

城壁の上に登ると北京駅を一望することができる。

2019 中国旅-3

(左奥に見えているのが北京駅)

キタ━(゚∀゚)━!

2019 中国旅-4

ほとんど待たずして国鉄臭のムンムンする車両が転がり込んできた。

長い!16両くらいは連結されてそうだ。

2019 中国旅-5

在来線と新幹線が同じ位置を走るのは不思議な光景。(正確には高鉄の在来線乗り入れ)

2019 中国旅-6

鉄道スポットとして現地民にも有名なのか、中国人の鉄オタが2人ほどいた。
とにかく数分おきに長編成の車両が入ってくるのでオススメの撮影地である。

高鉄に乗車

撮り鉄を楽しんだ次は乗り鉄である!まずは高鉄に乗車。

2019 中国旅-9

北京西駅から1駅目の石家庄で下車。
石家庄市は河北省の省都であり地下鉄も走っている都会なのだが、観光地はほとんどなくローカルなエリアとなっている。
観光地化されていない自然のままの都市は大好物。

石家庄

高鉄の最高速度は300km/hほど。

2019 中国旅-10

前述のとおり石家庄には観光資源はほとんどないのだが、安済橋(中国語では「趙州橋」)という、1400年以上の歴史を持つ中国最古の橋に行ってきた。さすが中国、歴史の長さが桁違い。

2019 中国旅-11

夜行寝台列車に乗車

そしてお待ちかね。在来線の夜行寝台列車。

2019 中国旅-12

キターーー!

2019 中国旅-13

車内はこんな感じ。三段寝台!

2019 中国旅-14

いいですねえ。

2019 中国旅-15

ちなみに北京上海間は大混雑で予約もあっという間に埋まってしまう区間なので、今回のように北京を経由しない夜行列車を狙うのがオススメである。予約はtrip.comを使おう。

私の席(?)は一番上の段。はしごを登る。

2019 中国旅-16

……なんか高くない?

あまりの高さにビビったものの、列車の心地よい揺れのおかげで一瞬で爆睡モードへ移行した。

( ˘ω˘ )スヤァ…

そして翌朝、はしごを降りる際にバランスを崩して自由落下してしまった。降りる時は気をつけよう。

逮捕される

そしてカメラを片手に車内の探索。どうやらこの列車はすべて寝台車で、食堂車などは連結されてないようだ。

すると制服を着たお姉さんに声をかけられた。
しかしながら私は中国語が猫レベルにしかわからないため、分かったのは何か言われたということだけである(あたりまえ)。

まごまごしてると同じく制服を着たいかついお兄さんとおばちゃんが出てきた。まさかの3vs1で実践中国語教室が始まったのだ。なんという高待遇だろうか。きっとどこを探しても生徒1人に対してネイティブの講師が3人もつく外国語教室は存在しないだろう。

……と、呑気なことを考えている場合ではなく、当時は香港情勢が荒れに荒れていた時期だったため、下手にスパイ容疑で逮捕されると日本に帰れなくなる可能性があった。来週から大学の授業があるというのに!

そんなわけで、私がただの旅行者であることと、旅の途中で定期的に鉄道成分を摂取しないと鉄分不足で死んでしまうことを全力で主張した。
英語は通じなかったためGoogle翻訳でお互いに文字を打って意思疎通した。

釈放される

そんなこんなで、なんとか中国当局に差し出されることは免れ、今日撮った鉄道写真を消すことで開放してもらえた(前日の写真については言及されなかったためちゃっかり残してある)。
いかついお兄さんも見かけによらず優しい方で、「規則だからしょうがないんだよね。ごめんね。」という感じだった。お騒がせしました。ありがとう。

振り返ってみるとGoogle翻訳なかったら面倒なことになっていたと思う。
Googleに感謝。
それに加えて中国国内でGoogle関連ソフトを使えるように香港simを差しておいたのもナイス判断であった。情報って本当に大事。

↑このsimカードを使用した。コスパも良く旅行の日数によってうまく使い分けられるのでオススメ。

南京観光

車窓をぼんやり眺めた後に南京で途中下車。
雨でびちょびちょになりながら南京観光(傘をさすという概念が存在しなかった)。

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やはり北京とは建物の色使いが違う。

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北京がかなり赤々しているのに対し、南京は落ち着いた色合いである。

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上海観光

南京からはもう一度高鉄に乗り上海へ。

2019 中国旅-20

上海でも4日ほど滞在し、観光地巡りや日帰りで杭州へ行ったりした。

南京東路

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裏通りもいい雰囲気!

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外灘

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夜景も良い!

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田子坊!ごちゃごちゃしてていい感じ!

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豫園商城

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豫園の猫と魚

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杭州の西湖

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杭州からの帰りで偶然、夜行高鉄に使われる車両に乗車した。

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ちなみに上海観光の後半では、アメリカ留学時にお世話になった中国人の友達が武漢からわざわざ来てくれた。
やはり現地語わかる友人がいるとすごく心強い。
ちなみに濃厚接触しまくりだったため、ひょっとしたらこの時すでにコロナに罹っていたかもしれない。全く症状は出ていない。

リニアに乗車

ラストは上海浦東空港へ行くためにリニアに乗車した。

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最高速度431km/h!

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正直乗ってるとあまり速さを実感できないのだが、並走する高速道路を走る車がものすごい勢いで後ろへ吹っ飛んでく光景は非常に面白かった。431km/hで走る時間帯はかなり限られているので、この速度を体験したい方は事前に調べておくべき(大抵は300km/hまでしか出さない)。

おわりに

そんなわけで、これでもかというほど鉄分補給できた中国旅行だった。
中国に限らず鉄道が軍事施設的な扱いの国は多いため、鉄分補給する際にはルールを守って行動しましょう

といったところで無駄に長くなってしまったが今回はここまで。

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