伊豆大島をチャリで1周した話
伊豆大島。伊豆諸島で最大の島かつ本州に最も近いことからアクセスも比較的良く、東京発で「離島に行きたい!」となった場合は真っ先に候補に上がるだろう。そんな伊豆大島にサークルの活動で行ったお話。
竹芝へ
というわけでさっそくスタート。東京からのアクセスは竹芝から出る夜行フェリー・ジェット船のほか、調布から飛行機も飛んでいる。今回は大学生が集団でわちゃわちゃ移動するのに加え、チャリも載せなければならないため安価な夜行フェリーとなった。
で、竹芝まで輪行……などするわけもなく、気合で自走していく。まあ電車だと時間帯的に帰宅ラッシュと被ってしまうし、竹芝ターミナルは浜松町からだと若干距離があるし、かといってゆりかもめ乗り換えも面倒だし……という感じでチャリを背負って行く選択肢は消え失せた。そんなわけでチャリガチ勢の友人と合流。
合流場所は多摩湖自転車道のスタート地点。ここから井ノ頭通りをひたすら走り、都心をごにょごにょと通り抜けてだいたい 23km ほどで竹芝に到着する。
ラッシュと逆方向ゆえに井ノ頭通りはスイスイ進んでいったが、都心部に入ってくると道路はクルマまみれになり、チャリを轢き殺す勢いのクレイジータクシーも出没するなどなかなか神経を使った。そんな都会の喧騒がふと途切れたところで東京タワーに到着。
ちなみに我々以外にも竹芝までの自走を選択したメンバーがそこそこおり、その何割かは東京タワーの下で偶然合流した。やはり自走が最強か。
で、そのまま竹芝ターミナルへ。チャリを解体して乗船手続きを済ませる。
ところで先ほどから「チャリを持っていく場合は電車でのアクセスが面倒」と繰り返し主張しているが、でかい荷物が無いなら竹芝ターミナルのアクセス性は抜群。一般的なフェリーターミナルは市街から離れていることが多いからなあ……。そんなこともあってか、利用客はそこそこ多いようでターミナル内も賑わっていた。
いざ出港
そんなこんなで大島に向けて動き出す。出港後しばらくはデッキに上がって都心部の夜景を眺めるのがおすすめだ。竹芝から北東を見るとスカイツリーがそびえ立つ。
先ほど下から見上げた東京タワーも、周りのビルに気圧されながら負けじと輝く。
レインボーブリッジの下をくぐり抜け、
しばらくすると羽田空港の脇を通り過ぎていく。
この後も横浜あたりまで楽しい夜景ウォッチングが続くのだが、私は朝型人間ゆえにここでギブアップして船内に戻り、シャワーを浴びて爆睡。なお、シャワーでのアメニティ類は持参する必要があるので注意。
大島に到着
で、翌日。朝早くに港へ到着する。
ちょうど東の空から朝日が昇ってくる時間帯だ。
ところで大島には港が2つあり、天候が落ち着いていれば繁華街に近い元町港に着くが、荒れている場合は北部の岡田港となる。で、今回は岡田港となった。
岡田港は相模湾側を向いており太平洋の外海に面していないほか、周囲の地形も海沿い限界ギリギリまで山が迫っている様子。港としては大変良い条件の地形だ。ただしチャリ勢にとってはいきなりキツイ坂を登ることになる。
そんなわけでチャリを組み立て、チームに分かれて岡田港を出発!ルートは極めてシンプルで、大島一周道路という名の都道208号線を時計回りにひたすら走るだけ。……そういえばここは東京都だったな。
サイクリング開始
前述の通り岡田港から大島一周道路に出るまでがけっこうな坂となっており、スタートからいきなり心を砕きにくる。その後はしばらく落ち着くが、人家が減って本格的な山道になってくると坂も次第にキツくなっていく。
サークルのメンバーはエンジョイ勢が中心で、普段はロードバイク乗りにも関わらずママチャリに乗ったおっさんに追い抜かれることもあるため、この坂はだいぶ高難易度だったらしい。とはいえ道はしっかり整備されているので、ギアを落としてのんびり進みつつ休憩できそうな場所で適宜だらだらすることでどうにか乗り切った。
ちなみに大島と言えば椿で有名だが、オオシマザクラも忘れてはいけない。3月中旬という桜としてはまだまだ早い時期だったが、温暖な気候も影響してけっこうキレイに咲いていた。
裏砂漠へ
で、その後もひぃひぃ言いながらしばらく登りだいぶ高いところまで来た。先ほど道路が整備されていると述べたが、整備中で逆に舗装が剥がされている箇所もあったのが辛かった。まあ年度末だから仕方なし。
このあたりで一旦チャリを道路脇に置き……
舗装されていない道へ入っていくと……
次第に周りの草木が消えてゆき、真っ黒な軽石に覆われた景色が広がる。これが裏砂漠だ。
ちなみに「砂漠」と表記される場所は日本で唯一とのこと。砂漠と言えば砂だらけの地形を思い浮かべるかもしれないが、言葉の定義としては砂や岩石に覆われた乾燥地帯を意味するため全く間違っていない。というか「砂漠」という表記が悪いよな……旧字体の「沙漠」の方が適切。
それにしても、この世のものとは思えない異世界な景色だ。いきなりモンスターが現れても驚かないレベル。
地面の軽石はこんな感じ。上を歩く時のざくざくした独特の感触が心地よかった。あと、音を吸収するのか寝っ転がると不思議な感覚になりこれも大変面白かった。気になる方はぜひ訪れてみてほしい。
奥に見えるのは三原山。大島の中心に位置する最高峰の山で、現在も活動を続けている活火山だ。「山頂まで行けるのでは?」と走っていった二人組だが……
しばらくして「距離感がバグっていた」などと言いながら戻ってきた。裏砂漠はハイキングにはちょうど良い広さだが、目印になるものが少ないので距離感はバグりやすい。
島の南東部へ
その後道路へ戻り再び南下。山を抜けて海が見えてきたあたりで一気に下り坂となる。これは気持ち良い!……がしかし、このあたりでチャリのブレーキが爆発した人がいるらしい。おいおい大丈夫か。
坂の下の平野部にはしばらく目にしてなかった集落が広がっている。波浮港エリアだ。
坂を下りきったところでまず見えるのが、筆島。その名の通り筆の先がちょこっと海面から突き出たような見た目の島だ。「島と言うよりもはや岩では?」と思うかもしれないが、実は伊豆大島よりも早い時期に活動していた火山の名残である。
波浮港を散策。この道の狭さがたまらん。
港はかなり落ち着いた雰囲気。のんびりとした時間が流れる。
ところで、岡田港の出発からすでに5時間ほど経過しており体内時計はもう夕方頃という認識だが、実際にはお昼前。夜行で移動した後って感覚バグるよなあ。
というわけでお昼ご飯を調達し、近くの公園で食す。離島ゆえ物価は若干高い印象を受けた。
チャリが大量に転がっている景色。これだけの人数が集まるのは大学のサークルならではという感じだ。
太平洋を望む。
海岸はかなりゴツゴツしている。火山島らしい景色だ。
島の西部へ
その後再び一周道路へ。午前中走った島の東部に比べると平らな地形になっているためサクサク進み、地層切断面に到着。
これは見事な褶曲!……と思ったが、実際には尾根と谷が繰り返す地形に積もっただけとのこと。道路工事のために切り開いたところこのような地層が現れたらしい。
それにしてもバウムクーヘンみたいで見ていると腹が減ってくるな。
その後は島の西部を北上して元町の宿に突撃。元町の散策もしたいところだったが、温泉に浸かったところ宿を出る気がなくなってしまったのでこの日は終了。
翌日
というわけで翌日。元町からは一周道路を一旦離れ、海沿いのサンセットパームラインを北上することにした。
相変わらずゴツゴツした海岸。海水浴できるような砂浜はなさそうだ。
サンセットパームラインを走りきったあたりで広い平地が出現する。東京大島かめりあ空港だ。
ちょうど飛行機が離陸していった。調布から飛び立つ旅にもいつか挑戦したいものだ。
空港付近にあったお店でジェラートを購入。チャリ旅とジェラートの組合わせは定番で、走って消化したカロリーを全て糖分で補給してしまうのがチャリ勢。
ライティングが悪かったのでもう1枚撮り直したのだが、その間に一口食べてしまった。
お店には牧場が併設されていた。のどかだなあ。
しかもエサをあげることができるという楽しいアトラクション付き。ちょうどスタッフのおじちゃんが大量の干し草を運んできたところで、牛たちもこれには大興奮。
めっちゃ美味しそうに食べるな。
ちなみに私は写真ばかり撮ってエサを直接あげなかったため、「お前なんのためにおんねん」と睨まれていた。
岡田港へ
その後一周道路を東へ走り、無事に大島1周を達成。フェリーの出港まではしばらく時間があったため、港へ下りる前にビュースポットへ行ってみた。港と富士山がキレイに見える丘らしいが、さすがに季節的に富士山はきつかった。
近くにはド田舎駅の待合室みたいな寂れた建物が。ビュースポットとして整備しようとして途中で諦めたのだろうか。
その後港へ下り、お昼を食したところで遠くからフェリーがゆっくりと入港してくる。
ところで、当然この日も岡田港・元町港のどちらを使うかは天候次第で当日の朝にならないとわからない仕様だ。もし元町港になっていた場合は大島空港から元町に戻るルートだったので、大島1周の実績が解除できない事態になっていた。往復ともに岡田港は2日間の旅程的には一番良いケースだ。
で、さっそくチャリを解体して乗船……と思いきや、私とガチ勢の友人はこれに乗らずサークルのメンバーに別れを告げる。実は我々はこの後に追加の旅程を組んでいたのだ!そんなわけで地元民と一緒にフェリーの出港を見送った。
で、ここから追加のチャリ旅……となるはずなのだが、実は1つ深刻な問題が発生していた。先ほど「チャリがぶっ壊れた人がいる」と述べたが、それがまさにこの友人だったのである。さて、一体どうなってしまうのか……?
といったところで次回に続く。