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四国に初上陸して祖谷のかずら橋へ行った話
旅行というと私は基本的にソロプレイヤーで(コロナ前は特に)国内よりも海外派なのだが、今回は5人というそれなりの大所帯で四国1周旅行へ出かけたお話。全員が全力でスケジュールを調整した結果、なんと7日間の自由時間を作り出すことに成功し、四国各地の観光スポットをつまみ食いしながら1周する旅程が組めた。今回はその1日目で、徳島編。
旅の始まりは成田から
というわけでさっそくスタート。さすがに四国まで自動車で往復するわけにはいかないため、空路で高松へ行きそこでレンタカーを借りるという流れ。集合場所は成田第3ターミナルのわちゃわちゃしたフードコートエリアだ。
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で、今回利用するのはジェットスター。貧乏大学生集団ゆえ LCC の利用は致し方なし……といった感じだが、実はけっこうモメた。私含め2人は ANA 派で、もう1人「JAL 以外に乗るにはおじいちゃんの許可が必要」などと言い出す赤鶴過激派もいたのだ。とはいえ普通に許可は下りたらしく、なんやかんやあって LCC で突撃する案が閣議決定された。
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そんなわけで高松空港に向けて飛び立つ。正直、国内線の距離だったら LCC でも普通に耐えられる感じだ。……まあ成田の立地が最大の問題なのだが。
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で、あっという間に高松空港へ到着。香川県と言えばかなり平べったい土地のイメージがあったが、空港は山を切り開いて建設されたらしく、着陸直前は延々と山が続く光景が見れた。
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高松空港は地方空港らしいコンパクトな作りだが、羽田・成田便の数はかなり多いほか沖縄便や台北・香港などの国際線も就航している。国内線に関しては陸路でのアクセスが悪い松山の方が需要の関係から発展していそうだが、国際線に関しては高松のほうが充実している印象を受けた。
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で、空港近くでレンタカーを借りてさっそく出発!運転手は私がトップバッターを務めることになったため、今回は道中の写真がほとんど存在しない。
高松から南下
まずは香川県の観光!……といきたいところだが、旅程の都合上1日目は香川をガン無視して南下する。空港からさらに山奥へ入っていき、徳島県との国境直前にあった道の駅で腹ごしらえ。
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たしか「少しでも香川要素を味わっておきたい」とか言いながらうどんを食べたような記憶がある。
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その後、さらに南下して徳島県民のアイデンティティである吉野川を越え、剣山の方へ行くと……
一面の雪景色
3月だと言うのにまさかの雪まみれ。
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山道を走っていたため、当然道幅は狭く勾配やカーブも厳しい。そんな中で対向車に気をつけつつ、雪でタイヤがスタックしないように登っていくというのはなかなか大変なタスクだった。ちなみに、私は危機察知能力ゼロのため冷静に運転していたつもりだが同乗者全員が悲鳴を上げた瞬間もあった。
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ところで走行中に「あれ?なんかグリップ強いなあ」という感覚がありスタッドレスタイヤ装着車かと思っていたのだが、後で調べてみるとノーマルタイヤの 4WD という構成だった。悪路の運転性能は駆動方式でだいぶ変わるものだなあ。……というか 2WD だったらマジで死んでたかもしれん。
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それにしても上まで登ってくると空も広くて大変良い景色。苦労した甲斐があった。
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そして唐突に始まる雪合戦。
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その後は進路を西に変え、祖谷川に沿って国道 439 号線を下っていく。
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ここからは雪も積もっていなかったため、対向車と落石に注意しながら軽快に山を下っていった。まあ秘境すぎて対向車とすれ違うことは1度もなかったが……。
祖谷のかずら橋へ向かう
国道と呼ぶにはあまりにも狭すぎる、そんな道をひたすら走っていると突然1人が「今なんか変な人いなかった?」などと言い出す。
たしかに道路を見ている人がいたような気もする……山道を下り始めてから全く人間を目撃してこなかったが、ついに第一村人発見か!などと考えていると、すぐ前方にもう1人見えてきた。
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地元民のおばあちゃん……あれ?
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!!??
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「え?何いまの?」「人形?」「幻覚?」などとざわざわしながら少し走ると……
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ぎゃああああああああ!!!!!なんか大量にいる!!
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こっち見てるし!怖いいいいいい!!
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というわけで車内は阿鼻叫喚。一目散に走り抜けた。雪山では全く怖気づかなかった私も、これにはさすがにビビった。
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後で調べてみると「天空の村 かかしの里」として整備されており、なんと 300 体以上のかかしがいるとか。
上のストリートビューの写真では顔にモザイクがかかっているため分かりづらいが、かかしの完成度はだいぶ高く遠目には人間と見間違えるレベル。改めて見るとけっこうシュールな光景だが、事前情報なしにあれを見たら恐怖でしかないと思う。
それにしても、かかしだらけで地元住民を一度も目にすることなく集落を通り過ぎてしまったなあ……まあかかしの中に本物の人間が紛れていた可能性は否定できないが。
かずら橋観光
そんなこんなで本日のメインディッシュ、祖谷のかずら橋に到着。駐車場に車を停め、橋の方へ下りていく。
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ちょうどバスを目撃。あの狭い山道をバスが走っているのか……。到達難易度の高い秘境だが、正々堂々と公共交通機関だけで旅したい人も大歩危からアクセスできるという親切設計だ。
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橋の入口はこんな感じ。一方通行となっており、入場料 550 円を払って渡ることになる。
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かずら橋はシラクチカズラなどの葛類を使って架けられている、なんとも心細い吊橋だ。
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元々は源平合戦に敗れてこの地に移り住んだ平家一族とのゆかりがあるとか。大正時代までに一度は全ての橋が近代的なワイヤー式の吊橋になるものの、観光目的で復活したらしい。……といっても、かずらの中にはワイヤーが入っているという安全設計だ。
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写真では伝わりづらいが足場の隙間がかなり大きく、高所恐怖症の人は渡りきれないかもしれない。あと、スマホカメラ勢は撮影時にうっかり落とさないよう気をつけるべし。
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景色は大変良い。
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手すりに掴まってひいひい言いながら渡る人もいる中、写真を撮りながらサクッと渡ってしまった。もう少し楽しんでいっても良かったかもしれない。
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そんなわけで近くにいた猫と戯れる。なんかやたら人懐っこい猫だったなあ……。シラクチカズラってマタタビの一種だから、その影響もあるのだろうか。
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周りは一応観光地化されているようだが、あまり人の来ない時期かつ日も傾いてきた時間ということで淋しげな雰囲気だった。
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ちなみにかずら橋の横には並行して現代的な橋が架けられており、「かずら橋の見える景色」を撮りたいだけなら入場料を払う必要はない。繁忙期だと渡っている人を写さずに撮るのはちょっと難しいかも。
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高知へ
そんなこんなで祖谷のかずら橋を堪能し、再び西へ。大歩危あたりで国道 32 号線に合流し、南北に走る吉野川と土讃線に沿って南下していく。運転手を交代したが、日も暮れてしまったため引き続き道中の写真はなし。
で、高知県に入ってからしばらく走っていると夜空の星がキレイなことにふと気づく。四国の真ん中あたりという人工の光がほとんど存在しない山の中だから、そりゃあキレイに見えるわけだ。そんなわけで路肩の駐車スペースに車を停め、しばらく夜空を眺めていた。カメラの性能的に星空の再現度はだいぶ低いので、これはぜひ現地に行って見てほしい景色だ。
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その後も車を進め、ついに高知市に突入。さっそく宿に車を停め、中心部のあたりを徒歩でぶらぶらした。繁華街の中心ははりまや橋あたりで、駅のド真ん前というよりは少しだけ外れたエリアになる。まあ徒歩ですぐ移動できる距離だけど。
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それにしても、四国に上陸してからずっと山の中にいたので高知がとんでもない大都会に見えてしまう。
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痛車ラッピングが施された路面電車も走ってる。
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謝罪しながら走る路面電車、後免町行き。話には聞いていたが実際目にするとシュールだなあ。
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この時間では利用客もだいぶ少ないようで車内を独占。ちなみに電停の接近音がファミマの入店音となっており、延々とループ再生されたことでしばらく頭にこびりついてしまった。
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……といった感じで1日目は終了。いきなり雪山に突入してしまったのは想定外だったが、祖谷のかずら橋は満足度も高く、道中の景色も大変良かった(写真は撮れなかったが……)。祖谷渓は日本三大秘境のひとつにも数えられ到達難易度は高いが、機会があればぜひ現地へ行ってみてほしい。
次回は高知中心部と桂浜の観光について執筆予定だ。