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プロダクトマネジメント④〜プロダクトマネジメントプロセス〜

前回に引き続き、『プロダクトマネジメント』のまとめを書いていきます。
今回はプロダクトマネジメントプロセスについてです。

プロダクトのカタ

プロダクトのカタとは、プロダクトマネジメントを成功させるため体系的なプロセスです。目標を設定して実験し、学習した結果をもとに改善を繰り返していく、プロダクトチーム全体で回すPDCAサイクルのようなものです。

1. 方向性の理解

まずはプロダクトイニシアティブを決める必要があります。プロダクトイニシアティブとは、プロダクトチームとして注力すべき取り組みのことです。そのためには、ビジネスとして目指すべき方向性、すなわち戦略的意図を理解し、プロダクトの観点で達成すべき指標を決めなければなりません。

プロダクトに関するすべての活動は、最終的にはビジネスの利益またはコストに影響します。プロダクトの指標は、ビジネスアウトカムに紐付くように設定しましょう。例えば、収益を年間1億円にする(ビジネスアウトカム)ために、リテンション率を70%まで高める(プロダクトの指標)、といった形です。プロダクトの指標としては、海賊指標やHEART指標といったフレームワークが役立ちます。

こうして成功指標を設定することで、プロダクトとして目指すべき方向性が明らかになります。

2. 問題の探索

プロダクトの指標が設定できたら、その目標と現状とのギャップ、すなわち問題が明らかになります。ソリューションを考える前に、この問題の原因を特定しましょう。

問題の原因を特定し、その状況を理解するためには、ユーザー調査、観察、アンケート、顧客フィードバックといった、顧客との距離が近いやり方が適しています。問題を理解するのは簡単ではないですが、すぐソリューションに飛びついてしまうより、効率的かつ効果的に成功に結びつきます。

3. ソリューションの探索

問題の原因を特定できたとしても、適切なソリューションが分からない場合があります。そのような不確実性の高い問題は、ソリューションのアイデアのリスクが大きいので、学習のための実験が必要となります。

実験には様々なやり方があります。人間が手作業でやるコンシェルジュ実験、UIだけ作って裏側は手作業でやるオズの魔法使い実験、プロトタイプを作って検証するコンセプト実験などです。これらの実験は、単に機能を早く作るためのものではなく、学習が目的であることを忘れないようにしましょう。

すでに同様の問題を解決しているベストプラクティスがあるなら、実験は不要です。事前のテストは必要なく、実際にリリースして成果を計測すればいいのです。

4. ソリューションの最適化

適切だと思われるソリューションを見つけたら、それを実装して指標を計測しましょう。目標を達成できなければ、何が障害となっているかを理解し、それを取り除くように次の打ち手を考えます。こうして目標を達成するまで機能開発の反復を続けましょう。

スクラムには完成の定義と呼ばれる概念があります。これはチームが共通認識を持って作業するのには役立つものの、作るべき機能について誤解を生みがちなので、気を付けましょう。あくまでリリースするものは仮説と見なし、リリース前に設定した指標を達成するまで、計測しながら繰り返さなければなりません。

まとめ

冒頭に書いたように、プロダクトのカタとは一言で表すとPDCAサイクルのことです。そして、このPDCAサイクルを回す上で最も重要なのは、ビジネスアウトカムに結びつく定量指標を設定することだと思います。指標を設定したとしても、それがビジネスアウトカムに結びつく見込みがないのなら、その目標を達成する努力は無駄になってしまいます。また、適切な定量指標を選ぶのは難しいですが、少なくとも仮説でいいので定量的な指標を置くことが大切だと思います。

また、顧客との会話や実験することの重要性を理解しサポートしてくれる、組織の文化や仕組みも必要でしょう。こうした取り組みはコストがかかる上に、直接的にアウトプットを生み出すものではないので、理解が得られにくいかもしれません。しかし、プロダクトマネジメントを成功させるためには、根本的にはそうした考え方を改めることが必要です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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