プロダクトマネジメント②〜プロダクトマネージャーの役割〜
前回に引き続き、『プロダクトマネジメント』のまとめを書いていきます。
今回は、プロダクトマネージャーの役割についてです。
よいプロダクトマネージャーは「なぜ」の伝道師である
「なぜ」とはどういう意味か
「なぜその機能を作るのか」という意味での「なぜ」です。
つまり、機能を作る理由や目的、コンテキストを正しく理解し、チームに伝えられることが、よいプロダクトマネージャーの最も重要な条件だということです。
なぜ「なぜ」が大事なのか
「なぜ」の答えこそが達成したい成果、すなわちアウトカムだからです。
一方「いつ」や「何を」に集中するということは、アウトプットに集中していることであり、ビルドトラップに嵌まっていることになります。
悪いプロダクトマネージャーの例
「ミニCEO」:チームが作るものすべてを上から伝える
「ウェイター」:顧客に欲しいと言われたものをそのまま作る
「プロジェクトマネージャー」:期限を守ることだけに集中している
これらはいずれも「なぜ」を重視しておらず、チームを間違った方向に導いてしまいます。
「なぜ」を正しく理解し、伝えるためには
「なぜ」プロダクトを作るのか。それはビジネス価値と顧客価値を達成するためです。
組織のビジョンと目標を理解する
ビジネス価値とはビジネスとして達成したい成果、つまり目標のことです。さらにビジネス目標は、組織のビジョン実現のマイルストーンとして設定されるものです。
ビジネスの観点での「なぜ」を伝えられるためには、その前提となる組織のビジョンと目標について理解していなければなりません。
顧客の問題を理解する
顧客価値とは顧客が達成したい成果、つまり顧客の抱えている問題を解決するということです。
プロダクトマネージャーは、顧客との会話やマーケット調査などを通じて、解決すべき問題が何であるかを理解する必要があります。
ただし、顧客に欲しいと言われた機能を、それを評価せずそのまま作ろうとしてはいけません。本質的に顧客が望んでいるものは、問題の解決です。「何を」ではなく「なぜ」に焦点を当てましょう。
開発者と対話する
プロダクトマネージャーが責任を持つのは「なぜ」の部分であり、「何を」「どのように」作るかは開発者の専門です。
何を作るのかではなく、どういう問題を解決したいのかを伝えましょう。
そして開発者が疑問を持っていればそれに答え、よい提案があればそれを取り入れ、チームを巻き込んでいきましょう。
ただし、すべての提案をそのまま取り入れようとするのも良くありません。戦略的視点から評価した上で打ち返すことも必要です。
プロダクトマネージャーのやるべき仕事
プロダクトマネージャーは「なぜ」に責任を持つと書きましたが、実務レベルでは多くの責任を負うことになります。
内部向けの仕事
組織の内部では、開発チームと一緒に働いてソリューションを作る手伝いをします。具体的には、ユーザーストーリーを書いたり、バックログの手入れをして優先順位をつけたりします。
ただし、これだけでは不十分です。ユーザーストーリーに価値があるのか、何を優先すべきなのかを知るためには、外部向けの仕事も必要です。
外部向けの仕事
顧客の問題を深く理解するためには、プロダクトマネージャー自身が顧客と会話する機会を持つべきです。
また、ソリューションが効果的かどうかを検証するのも、組織の内部にいてはできません。
バランス
内部向けの仕事と外部向けの仕事の割合は、プロダクトの成熟度や成功度によって変わります。
方向性の検証が十分でない段階では、将来のプロダクト戦略の検証などに集中します。方向性の検証が終われば、開発チームと一緒に働いて、ソリューションの実行に集中します。
戦略に沿って優先順位を付ければ、これらのバランスを取って1人でもうまくやれるようになります。
まとめ
よいプロダクトマネージャーは「なぜ」に責任を持つ
ビジネスと顧客の理解に努め、関係者を巻き込む
外部と内部の仕事をバランスよくこなす
「なぜ」に責任を持つという表現は、単純ながら巧妙だなと思いました。
ともすれば「何を」「いつまでに」「どうやって」といった部分に気が向いてしまいがちですが、それこそビルドトラップであり、それを避けるべきだということに気付かせてくれるからです。
また、プロダクトマネージャーは責任が多くて大変だとも思いました。
マネージャーという名前ではあるものの、基本的には人事権は持たないので、いわゆるマネージャーとは少し違います。
しかし、仕事としてはビジネス、顧客、開発の間を取り持つ責任を持っていて、多くの人と関わることが求められます。
すべてに精通している必要はありませんが、各領域の専門家と話せる程度の知識とコミュニケーション能力は必要でしょう。
今回は、ビルドトラップを避けるためのキーパーソン、プロダクトマネージャーについて紹介しました。
次回は、これまで何度か触れてきた「戦略」の部分について紹介したいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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