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オーストラリア農業の先進性から学ぶ! 第42回 日本の目標「2030年までに食糧自給率45%、輸出額5兆円」の達成ノウハウ(マーケティング編:その2)

今回は、前回紹介した、「テストマーケティングの地」としても知られているオーストラリア市場をベースに、コスト削減を実現する農産物輸出を促進するための「マーケティング戦略」について解説します。

インターネットを活用しマーケティングコスト削減に繋げる

インフレの影響が顕著に現れている危機的な状況下においては、新規事業に投入するマーケティングコストの削減が求められるかもしれません。例えば、従来は新規事業で農産物の海外輸出を検討する際、先ず市場のニーズを調べるために、「①輸出先の市場調査を外部委託する」、その後、市場の可能性を見出せれば、「②実際に現地に出向く(展示会や商談の機会)」、すなわち、①+②のコストが発生するようなマーケティング手法が一般的だったのではないでしょうか。
ただ、コロナ禍を境に、①+②のコストを削っても、「オンライン商談会」等を通じ、インターネットのみで新規開拓のためのマーケティング活動が可能になりました。然しながら、インターネット環境下のみでは、現地に出向いた場合に比べ、多くの情報が不足するため、誤った判断で商談が成立してしまうリスクが常に付き纏います。例えば、「味覚、食感」等の情報(ニュアンス)は現地に出向かないとリアルに伝えることが困難で、商談相手に農産物のクオリティを過小評価され、結果的に安価で取引されてしまうケースが発生します。

「マーケティング戦略」が必要な理由❶

安価取引の事態を回避するためには、商談前に的確な「マーケティング戦略」を作成する必要があります。例に挙げた「味覚、食感」等の情報の説明が難しい場合、代替えとなる情報で補います。例えばターゲット顧客の詳細情報を分析できるSTP分析(※)等によって代替え可能です。その分析結果を、輸出側(日本側)から商談相手に意図的に提示することで交渉が有利に働きます(情報量が多い程、隙を与えない)。
また、従来外部委託していたマーケティング戦略の立案〜実施を自社で行うことで大幅なコストを削減は実現可能です。マーケティング戦略とは、「誰に?何を?どのような対価?どのように提供?」するかを決める重要な取り組みで、商談前に自社の強みや市場の立ち位置を明確化できるメリットがあります。これにより、商談相手の情報を鵜呑みにせずに誤った判断を防ぐことができます。商談相手もマーケティングのノウハウがある取引先に対しては、慎重に契約プロセスを踏んでいくため(海外では軽くあしらわれることが多い)、両社にとってWinWin(高額取引)な契約が成立する確率が高くなります。

「マーケティング戦略」が必要な理由❷

農産物の「ジャパンブランド」の価値の底上げにおいても、的確な「マーケティング戦略」が効果を発揮します。また、商談相手に強気でアプローチする姿勢(自信)を崩さないことも必要不可欠です。そのためにも、事前に、マーケティング戦略で得た進出国の情報をベースに、「数字」でデータ分析するスキルと自社商品をPRするプレゼンスキルを上げることが求められます。

「マーケティング戦略」のフレームワークを実際に作成する

では、「マーケティング戦略」を自社で徹底的に作り上げてみることにします。効率よくマーケティング戦略を立てるために欠かせないのが、フレームワーク(意思決定や分析において共通して利用することのできる枠組み)です。

次回はオーストラリア市場を事例に、マーケティング戦略のフレームワーク(下の図の内容)について詳しく掘り下げて解説します。

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