生活スケジュールの組み立て
この10年半の間に、様々な児童クラブ、学童施設を見る機会があったのですが、各施設、特色ある形で活動・運営されてて、参考になるな~と、毎度毎度つくづく思います。
これは、生活スケジュールについても同様で、時間によってきっちり活動が決められているところもあれば、外遊びの出来る時間帯や昼食時間等必要最低限の時間のみを決め、あとは自由に過ごせるようにしているところもありました。
そこで、私は思ったのは、『時間によってきっちり活動を決める』よさ、『必要最低限の時間だけ決めて、あとはどこでどう過ごすかを子どもたちが選択できるようにする』よさ、とそれぞれにいい面があるのではないかと考えました。
この2つの生活スケジュールスタイルは、いわゆる保育法の種類である『一斉保育』と『自由保育』というのに分けることができます。
それぞれの保育法の種類の特徴について、以下の通りまとめてみました。
【一斉保育】
(メリット)
・集団生活を過ごす上で必要な素養(協調性・忍耐力など)を育むことができる
・様々な経験を平等に与えられる
・生活習慣を身につけやすい
(デメリット)
・自主性を育みにくい
・自由な発想が生まれにくくなる
・子どもたちの行動に制約をかける場合がある
・集団と逸脱した行動をとる児童を差別的に見る環境が生まれやすい
(留意点)
・綿密な保育計画を立て、あらゆる想定を行う
・子どもの発達段階や個人差に配慮して柔軟な対応を行う
・部分部分、活動選択できるよう配慮する
(適している場面、活動)
・出席確認や連絡など、集団になった方が効率の良い場面
・避難訓練
・お誕生日会等、他者をお祝いする場面
・行事の開会式や閉会式など、活動の区切りを示す場面
・生活習慣を身に着ける時期
【自由保育】
(メリット)
・想像力・自主性を育むことができる
・子どもの興味・関心に気付きやすい
・子どもたち主体の活動となりやすい
(デメリット)
・放任保育になりやすい
・遊び・行動に偏りが生まれる恐れがある
・活動選択に躊躇してしまう子どもが生まれる
・活動範囲・種別が広がるため、見守りの視野を広めたり、感度を上げる必要がある。
(留意点)
・活動範囲が広がったことに伴う、子ども同士のトラブルの見落とし等に注意する
・さまざまな子どもの行動を予想しての環境設定
・適宜、子ども一人一人への声かけ及び援助
・子ども一人一人の様子を観察し、子どもの良さを引き出すような援助
(適している場面、活動)
・普段の活動
・行事の本活動部分
このように、『一斉保育』または『自由保育』によって、それぞれの特徴、留意点、適している場面・活動が違います。
また、学校がある日の子どもたちは基本、長時間、集団で過ごしていますが、学校が休みのときは、朝起きてから子どもたち各々のペースで登室してくるといった、普段の放課後と学校休校日との生活環境の違いがあります。
これらの特徴や生活環境を踏まえ、普段の放課後と学校休校日のスケジュールについて、下記の通りに考えてみました。
(普段の放課後)
・学校で長時間、集団行動を行ってきたので、児童クラブや学童では極力、自由保育を中心に取り入れる。
・連絡、避難訓練、他者をお祝いする『お誕生日会』等は一斉保育で行う。
(学校休校日について)
・一日のスケジュールにメリハリをつけるため、普段の一斉保育に加え、出席確認や連絡を行う『朝の会』、昼食、おやつも一斉保育で行う。
要するに、普段の児童クラブは、『放課後、子どもたちが穏やかに過ごせる』といった『第2の家』という側面をベース、学校休校日の児童クラブは『子どもたちが穏やかに過ごせる環境であることに加え、子どもたちが毎日有意義に過ごすため』の『活動の場』という側面をベースと、私は考えました。
また、4月は児童クラブの生活が身についていない新入生と通い続けてなじんでいる子どもたちが入り混じるといった、習慣熟度の違いが発生します。
ですので、これらの特性や状況を踏まえながら、子どもの様子や季節などに応じて、臨機応変にこれらの保育を織り交ぜていくことは必要です。
そして、様々な保育法を織り交ぜながら、子どもたちの健全育成を図るために、『1年間どのように子どもたちを育てていくのか』ということは最低限考えておいたほうがよいのはないでしょうか?
今回もご覧いただきありがとうございました。