こどもたちの『おもろない』という声をどう捉えるか?#6
次に、『4.児童たちに考え出した方法を提示し、その際、各方法のメリット・デメリットを伝えて話し合う。』についてお話していきます。
ここまで、3つの段階についてお話いたしました。
ニーズをとらえ、法令や背景などとすり合わせながら、複数案考え、それぞれのメリット・デメリットを考えるところまできました。
上記の順序を経て出来た草案を、ようやく子どもたちに伝える段階となります。
なお、児童クラブの生活スケジュールやルールを決めるにあたり、解説書では下記のことが記されています。
要するに、運営指針には、児童クラブの生活スケジュールやルールは本来、子どもたちと議論して決められるものとしています。
ですので、支援員で話し合った草案を子どもたちに投げかけ、子どもたちとの丁寧な議論を行い、決めていくことがとても大切になってきます。
では、支援員で話し合った草案を子どもたちに投げかけ、どのように意見収集していくかをお話いたします。
皆さんは、出来上がった草案を子どもたちに伝えるのにどのような手段をとりますか?
おそらく、そう聞いたときの答えは、『子どもたちみんなを集めて意見を聞く』と答えるのではないのでしょうか?
このような、『タウンミーティング型』は一見、いろんな人が集まっているので、いろんな意見が聞けると思うかもしれませんが、案外、聞けないことが多いです。
この『タウンミーティング型』には以下の特徴があります。
・傍観者の割合が増える。
→当事者意識を持っていなければ、話し合いに参加しようとしない。
→大勢の前で発言するのが苦手な子どもの意見が吸い上げづらい。
・意見のすり合わせを単層的(その場でできる)なので、少ない手数でまとめ上げることが出来る。
⇒最終議論・議決に適する
『タウンミーティング型』はこういう特徴を有しているため、一人一人の意見を収集するというよりは、出された意見からセレクトする際に力を発揮する手法となります。
では、この『タウンミーティング型』以外で意見を収集するとなると、下記の2パターンがあります。
◆インタビュー型(ソロタイプ・グループタイプ)
◆アンケート型
各手法には以下の特徴があります。
◆インタビュー型(ソロタイプ・グループタイプ)
・密な意見を吸い上げられる。
・大勢の前で発言するのが苦手な子どもの意見を拾いやすくなる。
・意見のすり合わせを多層的(吸い上げたのを取りまとめ、まとめたものをまたおろさないとできない)なので、手間がかかる。
⇒要望調査に適する
◆アンケート型
・タウンミーティング型よりは密な意見を吸い上げられる。
・大勢の前で発言するのが苦手な子どもの意見を拾いやすくなる。
・当事者意識を持っていなければ、アンケートに答えない。
・意見のすり合わせを多層的(吸い上げたのを取りまとめ、まとめたものをまたおろさないとできない)なので、手間がかかる。
⇒議決、要望調査に適する
なお、この3つの手法について、当事者グループ内で意見反映を試みることができる度合を示す『意見収集密度』、様々な回答が得られる度合を示す『回答自由度』、議決時、他者の意向に流されず、自分の意見を通すことのできる度合示す『議決精度』、議決を取りまとめる速度を示す『議決速度』を◎かなり高い、○高い、△普通、▲低いで示すと下記の表となります。
このように、3つの手法にはそれぞれの強みと弱みがあります。児童クラブの生活スケジュールやルールについては、利用する子どもたちに大きく関わることですので、丁寧な議論を経て、決められることが必要だと私は考えます。
これらのことを念頭において、私は、下記の「児童クラブの生活スケジュール及びルールの制定手順」を考えました。
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1.全体に提示
2.インタビュー型またはアンケート型にて意見集約
3.集約した意見をまとめる
4.タウンミーティング型で最終論議を行う。
5.議決をする。
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あくまで、私の一案ですので、参考にしていただいても構いませんし、これよりいい方法を皆さんの児童クラブや学童施設で編み出していただけたらと思います。
ただし、何度も述べた通り、児童クラブの生活スケジュールやルールについては、利用する子どもたちに大きく関わることですので、丁寧な議論を経て、決められることが必要と考えますので、皆さんの施設の日々のスケジュールやルールについて、子どもたちとじっくり話していただけることを私は願います。
(次回につづく)
P.S. 今回もご覧いただきありがとうございました。