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#10地球で心身を動かしているということ

Noteのページにお越しいただき、有難うございます。

先週まで人と関わる中でのストレスやレジリエンスなど「心」の部分に重点を置き記事を書いてきました。
今日は少し身体と地球という物理的環境との関係性へ視点をよせて書いてみます。

今はさまざまな動画がSNSを通じて見ることができるようになりました。何かのトレーニングをしようと思えば、「○○筋の鍛え方」とか「速く走る方法」と検索すれば、その方法は概ねヒットします。
僕も20年弱理学療法士をしていますが、それでも新しいトレーニング方法をみると「すごいなぁ」と感じる時と「それはないでしょ」と感じるときがあります。

様々な視点があって良いと思いますので、他のトレーナーの方と競おうとは考えていません。でも「自分にとって」間違ったトレーニングをすると、身体をよくするどころか悪くする可能性があるので、先ずは自分自身のことを知っておくことが必要不可欠です。

何を知っておいた方がいいかというと「筋出力」と「筋肉量」です。
以外とこれをスルーする専門家の方も多いのですが、非常に重要です。

私たちは地球上で生活しています。
地球上で全員に共通して働いている力「重力」です。
どんなトレーニングをするにしてもこの重力に耐えられるだけの筋肉量がないと、どれだけ身体を柔らかくしても、また身体は硬くなろうとします。硬くする方が地球上で生活する上で効率がいいからです。

では、どの程度の筋肉量が必要なのか?という事が気になりますが、これはすでに調べられています。

WBI (Weight bearing index)という指標(日本では体重支持指数」を用いて、地球上で自分の体重(身体)を支えられる指数を明らかにされています(黄川,1990)。
本来、高価な筋力測定の機器が必要ですが、片足での立ち上がり動作でも相関関係(仲島,2003)が示されていますので、片足で自分の体重を支えられるかということがポイントになります。

この筋出力に加えて、身体だけでなく心の影響が考慮されるべきポイントがあります。

立ち上がり動作ができなかった場合(筋出力低下)でも筋肉量がある場合もあります。つまり、自分の身体には筋肉がついているのに、その筋肉を使えていないということです。

例をあげて考えると、例えば部活動をしているとします。
後輩にスタメンを勝ち取られたしまった場合、「もう一度追い抜かしてやろう」と気持ちがのればその分の力が発揮できますが、「もう自分も引退だしな」と思えば力は発揮しにくくなります。これは心理学的に筋出力に抑制がかかるためです。
それ以外にもどこかを痛めている場合は、自由神経終末と呼ばれる受容器が発火しているので、筋出力は生理学的にも生じにくくなります。

このように筋肉量があっても、その筋肉が実際に使えるかというとまた別の話になり、そこには身体だけではない心との繋がりも大きな問題になり得ます。

このように考えていくと「心」がクローズアップされますが、そもそも筋肉量がなければ筋肉の出力が出せませんので、何より大事なことは自分自身に「筋肉量」があることです。先ずは、ご自身の毎月のBMIや筋肉量、脂肪量の変化をしっかりと追っておくこと、そしてその量があなたの取り組んでいるトレーニングに対して適正かどうかということを考えていく必要があります。

概ねの数値になりますので、詳しくは専門家の指導を受けることが望ましいです

上の図は、筋肉量と筋出力を図式化したものです。
なかなか自宅では筋肉量(=%MV(muscle volume))を正確に計ることは難しいかもしれないので、相関関係のあるBMI(Body Mass Index)も合わせて載せています。安全にスポーツをするなら、BMIは20%以下でキープできるほうが望ましく、なおかつ、身長による差は少し考慮する必要はありますが、10cmの台から片足で反動をつけずに立ち上がれるだけの筋出力は必要です。アスリートであれば床から立ち上がりたいところです。

このように、自分自身に筋肉量がなかったり、あるいは筋出力が低下している場合があります。その身体の状態で無理なトレーニングを行うと、トレーニングが身体の痛みをさらに増強させてしまうこともあります。
気になる方は、一度、周りの専門家の方へご相談してみてください。簡単なことですが、意外とトレーニングの方法論に集中し過ぎて忘れてしまいがちなところです。

今週も良い1週間になりますように。

藤井隆太

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