消費税インボイス制度「HPで名前と住所が出る」は不正確 個人事業者の住所公表は任意
検証対象
判定
不正確 (判定の基準について)
HP上ではインボイスを発行した個人事業者の名前や法人の所在地等が公表されるものの、個人事業者の住所は希望しない限り公表されない。
ファクトチェック
2023年10月1日から消費税の仕入税額控除の方式として、適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス制度が導入される。このインボイス制度で公表される事業者の情報を巡り、Twitterでは様々な主張が拡散されている。そのうちの1つが冒頭のツイートだ。
住所の公表は希望する場合のみ
このツイートの「割当られる納税者番号」とは、事業者が適格請求書(インボイス)発行事業者として税務署からの登録を受けた際に交付される登録番号のことだろう。
この登録番号を国税庁適格請求書発行事業者公表サイトに入力すると、その事業者の情報を一般の人も検索することができる。また、事業者情報はまとめてダウンロードすることも可能だ。(ツイートでは「財務省のHP」と書かれているが、正確には財務省の外局である国税庁のホームページ)
公表される具体的な情報については、国税庁によるQ&Aの「公表等」の項目(問20)に書かれている。
このように、個人事業者の場合、氏名は公表されるものの、「主たる屋号」(個人事業者が使用する商業上の名前)や「主たる事務所の所在地等」は本人が公表すると申し出をしない限り公表されない。なお、氏名については、住民票記載の通名・旧姓による公表も認められている。
法人の場合は、基本的に本店又は主たる事務所の所在地が公表されることになる。
インボイス自体にも住所は記載不要
また、「適格請求書の記載事項」の項目(問43)を見ると、インボイスに記載が必要な情報にも住所は含まれていないことが分かる。記載が必要な情報は以下の通りだ。
以上のことから、仮に本名や住所を公開していない個人事業者の登録番号やインボイスを何らかの方法で入手した場合、本名(あるいは通名・旧姓)を知ることは確かに可能だが、住所に関しては当人が希望していない限り知ることはできない。よって、検証対象のツイートは全体として「不正確」であると判定する。
(小俣杏香・大谷友也)
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