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モンスターよ、キミの心の叫びが聞きたい【外国ルーツの子ども支援日記】

外国ルーツの子どもの日本語学習支援員をしています。
「指導員」ではなく、あくまでも「支援員」。
教育ではなく、福祉的側面から関わっています。

私が担当している小1男子のリッキーくん(仮名)は、保育園のころから日本で暮らしているので、会話レベルはネイティブ並み。「話す」「聞く」の技能は問題ありません。支援が必要なのは「読む」「書く」の技能。国語はもちろん、算数も、計算はできるのに文章問題になると解けません。

放課後の支援なので、授業とは違う開放的な雰囲気で楽しく過ごしてもらいたいと思っています。

…思ってはいるのですが、そうもいかない日もあります。

教室にひとつだけある先生用の椅子は(オフィスによくある椅子)、車輪がついていて子どもにとってはちょっとした遊び道具。

クルクル高速で回ってみたり、椅子に乗ったまま車を走らせるように教室中をビューンビューンと動き回ってみたり、とにかく危険行為頻発でハラハラさせられます。

先日のリッキーは、ひどかった。

教室中の机と椅子を動かしてバリケードを作るみたいに1か所に集め、「バリケードを壊すんだ〜!!」と言って椅子グルマに乗り、ビューーーンと勢いをつけて突撃!!

いくつもの机や椅子がぶつかり合うものすごい音が鳴り響き、ほかの教室にいた先生が驚いて駆けつけてきたほどです。

大変でした。

ただのやんちゃ遊びなら、ケガをしないように私が気をつけていればいいかなとも思うのですが、心配なのは、彼のココロ。

無意識の中で、何かが積もり積もってきているんじゃないのかなぁ。。。

彼の家では、両親は英語やスペイン語がメインで、子どもたちは日本語を使う。
学校では日本語での意思疎通に問題ないけど、字が読めなくて授業は分からないまま進んでいく(ディスレクシアも視野に入れて関わっています)。
見た目は明らかに日本人っぽくなくて、友だちからも外国人だと言われてしまう(リッキーは自分のことを「この国の人」だと表現します)。

一般的に、外国ルーツの子ども特有の悩みとして、「アイデンティティの問題」や「言葉以外は問題なくても、学業的に劣っていると評価されてしまうこと」などがあげられます。自己肯定感が薄れるだけでなく、日本語ができない親のことまで尊敬できなくなるケースもあるそうです。

リッキーの心にも、何か葛藤があるのだろうか、あるとしたらどんな?
とても優しい子ですが、危険なふるまいは他にもいろいろあって、気になっています。

リッキーのココロが何の曇りもなく晴れ渡る青空のようにクリアになるといいな。バリケードをひとつひとつ無くしていけるように、私も一緒に頑張ります。

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