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シーソーの法則

人と人が出会うと、相手との関係性において不思議な法則が生まれることがあります。

教育する場面で覚えておきたい一つに、「シーソーの法則」というものがあります。

例えば、分かり易いのが親子関係。

親が盛り上がれば盛り上がるほど、子どもが盛り下がる。

母:「ねえ、宿題やったの、早くしないと寝る時間になるわよ。~君はお風呂に入るまでに毎日やっているっていってたわよ。それと、この洋服は何?いつもきちんと洗濯機に入れろって・・・」
      ↓
子ども:「今から勉強やろうと思ってたのに、やる気がなくなった。」

逆に、ゲームの話やユーチューブなど、子どもが盛り上がれば上がるほど、母の気持ちがだんだん盛り下がっていくこともあります。

あなたが力を入れれば入れるほど、相手の力が抜けてしまう関係性をシーソーの法則と呼んでいて、夫婦関係、親子関係、教師生徒、上司部下の関係などでよく起こります。

・先生が力んで話せば話すほど、生徒が眠くなる
・親が言えば言うほど、子どものやる気がなくなる
・上司がチェックばかりしていると、部下の頭が真っ白になる
・よくしゃべる親の子どもがおとなしくなる
・上司が仕事をやりすぎると、部下が仕事を積極的にやらなくなる

など、一方が上がると、もう一方が下がってしまうという関係性はいろいろなところで見られます。一方が「主体」を取りすぎると、もう一方が「依存」になると言ってもいいかと思います。

これは、「不安」というキーワードをもとに、相手を変えようと思ったときに起こるといわれています。

不安のまま頑張ってしまうと、相手は頑張らなくなる可能性があるので要注意です。

このような法則があるというのを知ると、あなたが話しすぎればすぎるほど、相手はどんどん依存に入り、自分の力を使わなくなることが分かると思います。

要するに、相手を変えようと思って教えれば教えるほど、学ばなくなる可能性が高まるということになります。

「依存」の行動をうまく使う

教えても教えても相手が学ばない?
じゃあ、どうしたらいいんだ?と思いますよね。

法則はうまく使うことが大切です。

あなたがシーソーで上がれば、相手が下がるということは、
あなたが下がれば相手が上がるのです。


よく、親が子どもから教えてもらう場面を見かけます

子ども:「お母さん、これって何か知ってる?」
母:「何これ?知らない(本当は知ってる)?教えて」
子ども:「これはねえ、~って言うんだ。珍しいものなんだって」
母:「へ~、すごいね。どこで見つけたの・・・。」


このお母さんは、教えてもらうという位置に下がって相手の話を聞いています。
こうすると、相手は自分の話ができるので主体を取れるわけです。
「教えることは学ぶこと」という言葉があり、教えることで学びは深まります。

下がるというのは、主体と依存の関係だと、依存になるということです。

相手を主体的にしたいと思ったら、シーソーの法則が働く場面では、自分が依存の位置に行くことで相手を主体に上げることができるのです。


「依存の位置」って、教える者がそんな状態になっていいのかと不安になる方もいるかもしれません。
依存というと悪いイメージが多いかと思いますが、下記のような行動を取ることになります。

・教えてもらう
・正直な気持ちを打ち明ける(ネガティブも含めて)
・相談する
・お願いする
・謝る

このような、積極的な依存行動から相手の主体性を引き出すことができるのです。
結果を出している教師やスポーツ指導者、生き生きと輝いている子どもの親、組織をうまくまとめて成果を出しているリーダーなどは、上記の行動が頻繁に見られます。


カウンセリングではワンダウンポジションという技法があります。
治療者がクライアントよりも、一段下位の立場をとることです 。

「よく知らないので教えてください」のような姿勢がそれになります。

ワンダウンポジションを行うことで、相手の主体性を引出すことを狙うのです。

「ちょっと教えてくれる?」
「ちょっと相談があるんだけどいい?」 など、
頼られると人間って力が出ますよね。


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