ドズル社キャラバンメイキング(コンテンツ制作編)
こんにちは、ジョニキです。
#ドズル社キャラバン も後半に入り落ち着いてきたのでちょっとずつ私が担当した範囲のメイキングの紹介をしようと思います。ある程度公開されてる情報をベースに担当したところをまずは紹介していきます。
1.ドズル社キャラバンとは?
ドズル社×JCU共同開発のJava版Minecraftの参加型有料ワールドです。
(JCUさんにて統合版の方も開発中みたいです。統合版の方は発売されるのを気長に待ちましょう。)
2.ジョニキ何やったの?
「タツナミ先生率いるJCUさんがワールド内の建築やオブジェの造形をしてくれるのでゲーム化したい。」とのミッションを受けました。なんとなくMMORPGライクな印象を受けたのでそのイメージでゲーム化する作業を進めていきました。
主にシステム部分を担当しました。今日書く記事はドズル社キャラバンを遊んでみて外から目に見える範囲でのコンテンツの紹介をしていきます。後日システム部分の記事を書く予定ですが、それは製作者向けのコアな記事になりそうなので、ドズル社キャラバンを作るにはどうしたら良いの?みたいなことが気になる製作者の方は後編の記事も読んでみて下さい。
ではどうぞ。
2.1.コンセプト
既にテーマ(ストーリーも)は決まっているので、ゲーム化するにあたってコンセプトをぼんやりと考えました。ターゲットのユーザーは「初心者から上級者、老若男女、釣りやブラマイが大好きな平和の民から戦闘大好きバーサーカー、コレクションしか興味のないコレクター」まで、みんながログインしたくなるMMORPGを目指して数週間ほどぼーっと悩みました。後におもしろポイントを追加していくことでこのコンセプトは無事クリアになりましたが、そのポイントは後で紹介します。
2.2.マルガリタ迷宮の迷路
一番初めに手を付けたのはこいつです。マルガリタ迷宮を攻略済みの方は分かると思いますが、予想より10倍くらい凄い建築がJCUさんから出てきました。圧倒的にでかいピラミッドと超綺麗な造形の建築をゲーム化するための迷路をここに作って欲しい、ということで「この建築に見合う迷路をどうやって配置する・・・。」とかなり頭を抱えました。
最深部のボスまで辿り着く距離や時間とボス討伐の時間、モブキャラの難易度などを総合的に考えると、このサイズに迷宮を収めることができないので苦肉の策で入口で全員を別エリアにテレポして、巨大な別迷路で遊んでもらうことにしました。実は入口のネザーゲートから中を覗き込むとこの格子状の床の名残が残っています。
(ワールドの入口から迷路が見えないように上を塞いでもらいました。)
何度でも周回して遊べるように時間が経つと形が変わる不思議なダンジョン風に仕上げて「部屋」と「通路」をランダムな形で配置しています。俗にいう「左手の法則」「右手の法則」を使えない迷路と使える迷路の2種類の迷路をランダムに生成します。当初は4種類の迷路を用意していましたが、プレオープンをやった結果一本道のグネグネ迷路などはあまり面白くなかったので廃止しました。以前ぼそっと唐突に呟いた以下のツイートは実はドズル社キャラバンの迷路のことでした。
2.3.ボス
クエストにボスキャラを出したいとの案が出ていてボスのネーミングを貰いました。既に色んな配信者の方が攻略しているので特に伏せませんが「サソリ」「ストーンゴーレム」「盗賊団のリーダー」です。
(「サソリ」は当初別ボスだったのですが「サソリ」に落ち着きました。)
2.3.1.コンセプト
各ボスに何となくのコンセプトを思い描きました。ちなみにどのボスもやりこめば+50に強化したスキル付き武器で5人、+99に強化したスキル付き武器なら3人いれば倒せるように設計したつもりです(つもりです)。
・クエスト①「サソリ」
クエスト①はスキル武器のガチャ素材がドロップするという案が出ていたので一番人気が高くなるだろうという想定はありました。大人数でのレイドボスバトルを楽しんでもらうイメージで、ボスの攻撃は広範囲の範囲攻撃主体、1回1回の攻撃でサソリの攻撃範囲外に弾き飛ばされるようにしたので、弾かれた先でちゃんと体力回復をして先頭に臨むというイメージになります。人数を集めれば何とか倒せるように設計してあり、ギミック自体は特に用意していません。危ないと思ったら離れましょう。
・クエスト②「ストーンゴーレム」
JCUさんから頂いたマップを頂いてすぐにイメージが湧きました。ボスエリアの周りが溶岩になっていたのでボスの攻撃で弾き飛ばしてそこに落としてやろうぐふふ。というものです。ストーンゴーレムの攻撃は1つ1つのモーションがゆっくりしているので、どの攻撃が来るか考える時間があるのですが、引っかけ要素として必殺技の溜めモーションは全部共通にしてあります。ゴーレムが叫んだときプレイヤーは何択かの選択肢を迫られることになります。ギミックを攻略するのは大変かもしれないですが戦っていて楽くて緊張感があってやりがいのあるボスになるように設計しました。盾を上手く使うことでストーンゴーレムの攻撃を完封できます。
・クエスト③「盗賊団のリーダー」
当初こいつは普通のピグリンブルートでも出すかという案だったのですが、クエスト①②に比べて物足りない感が出てきて追加となりました。JCUさんに頂いたマジケ・テネブラーエの塔最上階はかなり広いマップになっていて、ここにボスが一体いても変だなと思ったので、周りにピグリンとピグリンブルートを大量に湧かせることにしました。MMORPGでよくあるタンク役がモブを引き連れている間にボスを倒すなどの役割分担を作れるように、モブがプレイヤーを検知して追いかける範囲は広めに、ボスの追いかける範囲を狭めて近寄ってきたプレイヤーを誰でも殴るようにAIを設計しました。攻撃力が高いので強い防具が必要です。ちなみにモブキャラのピグリンにプレイヤー用の金装備を付けたらかなり似合っていたので外さないことにしました。
2.3.2.アニメーションとAI
ボスのモデリングとテクスチャはマリーさんと水龍さんに作ってもらいました。ストーンゴーレムは某〇〇〇〇風のゴーレムだよね、などとマリーさんと話をしていたらその通りのモデルが仕上がってきました。サソリは「サソリ」としか水龍さんに伝えなかったこともあり、後日マジでガチの「サソリ」が出てきたので「やべぇこれじゃ子供が泣く。」と思ってやんわり修正を相談したらお茶目な目を付けてくれました。
私はただひたすらに BlockBench でアニメーションを打ち込みつつAIを実装したり日々ボスの効果音を収集する旅を続けました。サソリの動きを観察するためにカニとマンティスシュリンプの動画を観漁ったのは良い思い出です。ちなみに盗賊団のリーダーは耳をピコピコ動かすただそれだけのために関節(防具立て)を2つ追加しました。立っているときや歩いているときなど色んなところで耳がピコピコ動いています。
絵コンテはこちら↓
2.4.物価変動
商店街で「セールイベント」をやりたいという話でリアルタイムと連動したセールを実装することになったのですが、結局ドズコインの物価の基準をどこにそろえるかを知る必要があったので「セール」以外にも常に需要と供給を調べておく必要がありました。結果的にどうせならと社内プレオープンと一般プレオープンで1時間あたりの素材の収集量を調査して、そのベースを元に需要と供給の量で10分毎に物価を調整することにしました。売れば売るほど買取レートが低くなるような現実に近い仕組みになっています。
2.5.BGM
こちらもドズル社ランドからの流用ですが変更点としてサーバーが重くなってもBGMが途切れないようにしました(途中まで修正が有効になってないことに気づいてこっそり直しました)。またRPG風にするためにマップ移動によるBGM変更とあわせて、エリア名を表示するようにしました。ちなみに私のお気に入りはギルドスピードスターのBGMでこれだけは何とか採用させてくれとお願いしました。
2.6.NPC
RPG といえば話しかけるたびに台詞の変わる NPC ということで、複数のセリフをランダムでしゃべるモブキャラを配置したり、イベントの発生するイベントキャラを配置したりする仕組みを作りました。NPC のセリフに時間をかけられなかったのでちょっと物足りない感が出たところが反省点です。
2.7.クエスト
マイクラの進捗を使ってRPG風なクエスト機能を実装しています。「チュートリアル」「クエスト」「チャレンジ」の3つの種類の進捗を数種類ずつ用意しています(バグでクエストタブがリセットされたり色々ご迷惑おかけしております)。「チャレンジ」はノーヒントですが11個用意してあります。コンプリート好きな人は探してみて下さい。
2.8.おもしろポイント
ゲームの面白さに悩みまくったところで2人のMMORPGやってそうなゲーマーに「面白いって何?」の質問をしてみたところ「脳汁。」との貴重な意見を頂きました。
2.8.1.装備の強化
装備を厳選できた時点でクエスト完了だと繰り返し遊んでもらえなくなるため、クエストを周回する理由を付けるために強化システムを取り入れました。強化システムで「脳汁」が出るように入手確率の低いレアな強化素材を用意し、強化自体も稀に一気に強くなるような「強化大成功」のような仕組みを用意しました。
強化用素材はモブから低確率でドロップしますが、戦闘が苦手な人向けに「釣り」でも低確率で入手できるようにしています。ゲーム内の各エリアにプレイヤーが分散しつつ、かつ同じように強化を楽しめるように調整しました。
また強化は武器だけではなく、防具の強化で体力が増えるようにしています。体力が増えることで戦闘が苦手な人でも死なずに大人数のクエストエリアに参加できるように調整しています。
加えて採掘で稼いだドズコインの使い道が無くなりがちだったので、ノーマル武器と鎧は同じグレード同士なら合成できるようにしました。ノーマル装備の強化がしやすくなっているのでライト層でも MMORPG の成長を楽しめるようにしたつもりです。
2.8.2.釣り
「釣り」はドズル社ランド据え置きです。「ゲキアツGOGOタイム」のリアルタイム連動イベントは「ゲキアツすぎ」なくらいの高確率でレアアイテムが釣れるようになっており、平和の民達にも「脳汁」が出るようにしています。ここでも強化素材を釣れるようにして平和の民達もクエストに誘導するようにしました。
「釣り」は大人数が密集しても奪い合いが発生しないように、釣った本人以外がアイテムを拾えないようになっています。またレアアイテムには自分の名前が刻まれるようになっていて、コレクターたちの満足感を満たせるようにしてあります。
2.9.ゲームバランス
ドズル社キャラバンは1週間の期間限定でアップデートもない言ってしまえば売り切りの MMORPG なので、どういうゲームバランスにするかかなり悩みました。
コアなゲーマーは強くなっても最後までボス討伐を頑張ってくれるだろうと信じて、段階的にゲームの天井を感じる停滞期を3段階くらい用意しました。採掘によるドズコイン集め、ノーマル装備の厳選、ノーマル装備の強化、ベルリッド集めから、最後の停滞期は「スキル付き装備の強化を終えるまで」ですが、遅れてやってくるライト層とコア層が混ざって、どの層でも満足して遊べる良いバランスにできたと思います。
3.おわりに
最終日までドズル社キャラバンを駆け抜けましょう。後日システム編のメイキング記事も書くので興味がある人は読んでみて下さい。
おわり。
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