ロングコートダディ単独ライブ『こぽぽ水中』
ロングコートダディ単独ライブ『こぽぽ水中』を見た。
(まず最初に抱いた感想は「これウエストランドの井口さんがM-1で悪態ついてたタイプの単独だ!!」だったが私は寄席でも企画ライブでも見られない単独ライブ独特の世界を味わうために1年を過ごしてきたので井口さんには一旦ご退場いただく)
(^^)/~~~ 【『コント師 単独 泣いた』で検索する井口さんを見送る絵文字】
こぽぽ水中、とても面白かった。
ロングコートダディ独特の柔らかさのあるコントが大好きだから、2人のつくる世界にどっぷり浸れて幸せだった。
見ていない方は今すぐ見てくれ。なんなら私が2,500円渡すから見てくれ。
ロングコートダディ単独ライブ「こぽぽ水中」(8/11 20:00)
……見た?
それでは、以下感想!
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私は円盤化した『じごくトニック』しか見たことがなくて、これまでの単独がどんな感じなのかは分からないけれど、じごくトニックも今回のこぽぽ水中も『生死』が軸なんだなぁと思った。
「死にたいなぁ」って、その大小はさておき、誰しも一度は感じてしまったことのある感情なのではないかと思う。
ある種の強烈な共通感覚みたいなものを引っ張り出して、お笑いに混ぜ込んでいる堂前さんはずるい。
だってそんなの絶対に感情が動かされてしまうだろ。
まんまと罠にかかった私は「やっぱ生きてて良かった〜!ロングコートダディのお笑いが見られてるんだもん」と思ってしまっている。
ほんとたまんなく幸せだな。
ロングコートダディのコントって、毒気が混じっているキャラクターが出てくることもあるけど(毒気というのは悪意とは異なる)、今回の単独ではほとんどいなかった気がする。
みんな色々な形ではあるけれど純粋だったのが良かった。
では、ひとつずつ細かい感想を書いていく✏️
1.『詰み』
ゲームあるある。
こういうポップなネタ大好き。
プレイヤーの苦しみがありありと想像できる。
「セイ」でやられちまったケビンからOPが始まったの馬鹿らしくて良かった。
2.『板前と女将』
上手いこと言うときに小声になるの面白すぎる。
結局ツヨシはユカちゃんとツーカーで良いカップルだった。2人とも変なんかい。
最後の「なんで分からへんねん!」で抱きしめるの、最高の愛情って感じで超ときめく終わり方でした。
3.『マックス』
犬の被り物の表情なんでそんなおもろいねん。
最初ずっと下向いてるなと思ったらとんでもなくおもろい顔してた。あの被り物どこで買ったのか知りたい。
マックスは犬と人間のハーフなのかな。
不憫かわよオモロいネタでした。
あのヤンキーとマックスはその後どう成長したのか知りたい。
マックス、幸せになってくれよな。
4.『岩壁に封印されしウィザード』
岩壁に封印されしウィザード、普通にええヤツなのに誤解されてたの不憫。どんまい。
このRPGが発売されたらやりたい。
『ルバロガドゥ』の声が頭から離れないな。
意思疎通って難しいよね。
このネタ好きでした。
マ〜ミョウ!
5.『死ぬ人ら』
どん底から救われるのってよくわからないタイミングだったりするよね。
絶望しかないはずなのに、そういう時に限って面白いことが起こったりもする。
2人のやり取りの言葉のリズムと語感が良くて、最高に面白かった。
堂前さんは普段からおもしろ言葉がどんどん頭に浮かんでくるんだろうな〜天才。
6.『好きっていいなよ。』
なぜか『好き』がとんでもなく恥ずかしいものになっている世界。
「セックス」というワードはいけるのに、小学生でも使う「好き」とハートマークは恥ずかしいっぽい。このおじさん達かわいい。
かわいいと面白いって共存するんだな。
この2人は恋愛ドラマをどういう感覚で見られているんだろう。告白シーンとか大暴れしちゃうんじゃない?
2人のアドリブが面白かった。ホワイトボード回転させたりピョンピョン飛び跳ねたり、楽しんでコントやってるの見るの大好き。
7.『こぽぽ水中』
長尺コント。
絵本みたいな話だった。
『ママ』でも感じたけど、兎さんが演じる"恐ろしいほど純粋なヤツ"は、いつも可愛らしさと怖さのバランスが絶妙。バカで奇妙な役が似合う。
堂前さんが生み出す童話みたいな世界にぴったり。
2人がコンビを組んでくれて良かった〜〜マジでおじいちゃんになるまでコントしてくれ。
今回のコントで特に好きだったのは、ニシがギンからの"プレゼント"で彼を"殺した"ことで"生かした"ところ。
薬物取引を『プレゼント交換』と表現したことから生じた真珠のプレゼントだったけれど、それが最後に少年を救ったのが美しかった。
真珠はたまたま引っかかったのか、それともわざとだったのか。
生きてりゃ、まあどっちでも良い話か。
2人で過ごした日々の走馬灯を見て"死んだ"少年が、次に死ぬ場所を楽しみに生きるのはとっても優しい救いだったな。
ちなみに、グッズのイラストのモチーフになっているハゼとエビは、同じ穴の中でお互いに助け合いながら共生している生き物であるらしい。
ギンガハゼとニシキテッポウエビ。
ギンとニシ。
東京進出して初めての単独ライブをこのモチーフとこの長尺コントに決めた堂前さんの想い、いつか知れるといいな。
あとは、
"「1回笑って寝ろ。」
「寝る前に1回笑っときゃあ、あ〜今日も楽しい1日だったなって脳が錯覚すんだよ」"
ってところ。
印象に残ってる人が多い箇所なんじゃないかなと思うけど、御多分に洩れず私もここが刺さりました。
"錯覚"ってのがなんともやるせなくていいよね。そうやって騙し騙し、寝て起きてを繰り返して生きていくんだ。
堂前さんは前にnoteの『7月22日(木)日記』で『こういう考えができたら楽になるなぁという願いです』と書いていたことがあったけど、ここもそうなんだろうか。
あと、照明がすごく心地よかったな〜。
暗い水中に差し込む光の感じや月の光しかない夜を表現できるの、さすがプロの技だ。
舞台監督の前田さんのnote面白かった。
水中で息苦しさに耐えながら見る光には、独特の美しさがあるように思う。息苦しさと美しさは表裏一体なのかもしれないね。
呼吸するだけでしんどい時っていっぱいあるけど、呼吸してるだけで良いことが起こる日もあるもんな〜と考えたりした。
生きるって何だろうな。
多分死ぬまでずっと考え続けるんだろうな。
すごく好きなコントでした。
繰り返し繰り返し見ちゃう。
笑いってどうしても人の粗を探したり、刺々しい表現になったりすることも多いけど、ロングコートダディがこうやって優しさに溢れた表現でも面白くなるんだって証明してくれるのが嬉しい。
心が疲れたときに見られるお笑いも、私には必要だよ。
幕間VTRもふざけてて最高だった。
脳内全しゃべりが2人とも臭い川で終わったのは何か理由があったのか、それともたまたまなのか知りたい。
都会の川ってほんと臭えよな。わかる。
ポーランは可愛いし、グッズはずっとふざけてて笑った。
エリンギが実際にグッズ化したら、ちょっと欲しい。でけぇ固形燃料を燃やして鉄板で焼こうぜ。
特に好きだったのは、堂前日記。
ポールスミスの発想を思いつけなかったことに悔しさを感じた。私ポールスミス結構好きなのに。
あと堂前さんはマユリカのこと好きすぎ。
𓆛𓆜𓆝𓆞𓆟𓆛𓆜𓆝𓆞𓆟𓆛𓆜𓆝𓆞𓆟
楽しい単独ライブでございました。
来年も再来年も2人で面白いもの作り続けてくれよな。
ありがとう、ロングコートダディ。
今日から毎日、1回笑って寝ることにします。
まあ、単独を見られた今日は錯覚でも何でもなく良い1日だったけど。
おわり