ちょっと苦手なタイプの男性に携帯の充電器を貸してあげた話。
最近気になっていたプログラミングスクールの説明会に参加してきた。
意識高い系の人たちばかりくるのでないかとビビッていたが、行ってみるとそうではないことが分かり安堵した。
説明会終了後は面談もやって貰えるということで「無料だし折角なので…」と待っていたそのとき。
どすどすと、やたらがたいの良い男性がやって来た。
正直言うと、少し私の苦手なタイプ。
いかにも「俺鍛えてます」オーラを出している、今どきの男性。
「あぁ、関わりたくないな」というのが、その時の私の素直な気持ちだった。
「すみません、誰か携帯の充電器持ってないですか?」
どうやら携帯の充電が無いらしくちょっと困った顔をして、近くの女性に聞いていた。
誰も持っていないようで、困ったな…という空気が一瞬漂った。
「あの、私の使って良いですよ!」
あと先考えることなく、私の口と体が動いていた。
そして、男性の困った顔が、一瞬にして笑顔になった。
「ありがとうございます!!」
とてもすがすがしい挨拶が返ってきたもんだから、私の背筋がピンとなった。あら、なんか良い子だなぁ。
それから彼が先に面談がスタートし、私は面談待ち。
良く見ると待合スペースには、私の充電器を挿した状態の彼の携帯が置きっぱなしになっている。
あれ、なんで置いて行ったんだろう?、少し違和感を感じたがあまり気にはしなかった。
私も面談の順番が回ってきた。
自分の充電器のその後を少し気に掛けながら面談会場に向かう。
「そのまま机の上に置いておいてくれたら良いや」
それ位にしか考えていなかったんだけど…
面談が終わって待合スペースに戻ると、彼が私が終わるのを待ってくれていた。
「本当にありがとうございました!!」
私に向かって一礼する男性。
更に、コンビニで充電器を買ってきたのか、既に私の充電器は使われていない状態だった。
なんと律儀な子なんだろうか。
その流れで、彼と一緒に帰ることに。
話を聞くと、彼は数年後に友達と一緒に会社を立ち上げることを目標にプログラミングを勉強しているんだそうだ。
「今日は本当にありがとうございました。あの状況で充電器を貸してくれる人、最近なかなかいないっすよ」
そんなこと言われた私は、なんだか妙にくすぐったい気持ちになった。
そして、本当に良い子なんだなぁと感じた。
「見た目に反して、真面目なんだね」と私が言うと、
「はい、俺野球部だったんで」と返す彼。
私はその爽快さに笑いが止まらなかった。
人は見た目で判断しちゃだめだな、と感じた日。
人との出会いは突然で、いつだってドラマチックだ。
ありがとう、野球少年よ。
友達と会社、できると良いね。勝手に応援してます。
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