人間椅子
以下の文章は自分の読書感想を思いつくまま書いたもの。個人の主観を多分に含んでいるため、苦手な方は回れ右してください。
本の情報(読了日1/27)
書名:人間椅子
作者:江戸川乱歩
出版社:青空文庫
ASNI:B01CZBT0N4
この本はとある男から作家の女性に送った手紙の内容の話である。
自分はこの話を何回読んだだろうか。最初、大学2年の頃だったか。これをきっかけにして江戸川乱歩が好きになり、彼の小説を読み漁った。怪人二十面相を小学生のときに読んで以来だった。
自分はまず、彼が醜い容貌だという点について共感した。今はそうでもないが、幼少期は醜い顔といじめられたからだ。子供というものはとても純粋かつ残酷な生き物で、異質なものを見つけると面白半分に徹底的に痛めつける。自分はとてもおとなしい子供で自己主張をあまりしなかった。それに加え、体が弱くしょっちゅう熱をだしたり風邪を引いたりしていた。さらに、生まれつき視力が悪く分厚い眼鏡をかけていた。体が細かったためか肉体的ないじめはなく、精神的ないじめだった。この結果、思春期になると鏡を見ることができなくなった。鏡を割りたくてしょうがなく思えた。この数年でやっと鏡をまともに見られるようになってきた。
彼のように、自分も妄想の世界にしょっちゅう逃げ込んでいた。もし自分が人並みの容姿に生まれていたら。もし自分に力があったら。もし健康に生まれていたら。小説ばかり読んでいたからというのも影響しているだろう。滑稽な妄想では、現実では到底ありえないことを考えたことも少なくない。
自分は彼と違い、人と関わる職業についた。自分は人間が好きで、嫌いになった。だから彼は厭世的なところは今でもわかるような気がする。何度読んでも彼の狂気じみた行動が好きで、最後のどんでん返しがわかっていても毎回ハラハラする。
何度読んでも最初読んだときの衝撃が忘れられず、何度も読みたくなる。来年にでもまた読んで、感想を書きそうだ。
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