日本のアイルランド文化を守り、育て続けたい
こんばんは。
「いつもダンスの伴奏をしてくれるアイリッシュミュージシャンに“ありがとう”を伝えよう」プロジェクトへのご支援、そして3/15のライブ配信をご視聴してくださった皆様、どうもありがとうございました。
5/2(土)にすべてのリターン送付を終えました。
リターンのご到着までお時間がかかり申し訳ありません。
万が一届いていない方がおられましたら、僕までご連絡ください。noteへのコメント、Twitter、Facebook、いずれでも構いません。
さて、クラウドファンディングに協力してくださった皆様に大きな感謝を捧げる前に、少しだけエッセィを読んでもらいたいです。
* * *
この文章を書いているのは5/8ですが、奇しくもこの日はクラウドファンディングを開始して丁度2ヶ月後になります。
この2ヶ月、怒涛の日々でした。人生でこんなに忙しい日々を過ごしたことはないし、他人の幸せをこれほど純粋に考え続けたこともない。
無論、すべてはケーリーを盛り上げる=自分のためにやっていたけれど、なんだろう、僕は日本のアイリッシュ界隈の人々の笑顔が見たかった。笑顔を取り戻したかったのだと思う。
実際のところ、みんなの笑顔は奪われていたのか。
アイリッシュを楽しむ機会が奪われていたのか。
それはわからない。
人間は与えられた環境で最大限の幸せを求める生きものだ。
たとえ生演奏を弾いたり聴いたりする機会が奪われたとしても、その中で最大限の幸福を求めることは可能なのだろう。
もし、僕がひとりでアイリッシュを嗜む生活をしていたならば、そんな風に考えたかもしれない。
でも、僕が好きだったのは人と人が同じ場所に集まり、近づき、触れ合い、踊り、笑い合うケーリーだったし、それを支えてくれていたケーリーバンドの人たちだった。
僕がアイルランド界隈に足を踏み入れたのは2016年の3月。
それから4年間、日本のセットダンスはすごく盛り上がった。
ダンサーが増え、ケーリーバンドが次々と生まれ、ケーリーの開催数も増え、そして新しいケーリーの文化も生まれた。僕はすごく恵まれたタイミングでこの世界に来られた。
「ローマは1日にしてならず」
という言葉が指す通り、文化はすぐには育たない。
日本におけるアイルランド文化がどのような変遷を経て現在の形になっているかは定かではないけれど、京都のアイリッシュパブ fieldは1987年から存在することを鑑みれば30〜40年くらいの歴史だろうか。今の日本のセッションやケーリー、あるいはアイルランド音楽に対する認知は30年以上の時間をかけて形成されたのだ。
アイルランドの愛好家が生まれ、
アイリッシュパブが生まれ、
セッションが生まれ、
ダンサーが生まれ、
本が出版され、
リスナーが生まれ、
そして、今の形になった。
きっと、もっとたくさんの人たちが関わってきている。
そうして育ってきた文化の上に僕らは立っている。
僕が愛するケーリーは僕だけのものではない。
アイルランド文化を愛するたくさんの人々が愛し、伝え、守ってきた文化なのだ。
実を言うと、僕はケーリーで演奏される音楽こそよく聴いているけれど、アイルランド音楽単体ではほとんど聴かない。
楽器もあまり弾かないし、ジャガイモが好きではないのでアイルランドの食文化も好きではない。セッションは少し好きだ。
そんなアイルランド文化偏食家の僕が、
クラウドファンディングの企画や
お家でたのしむアイリッシュ、
土曜夜にアイルランドを語る連載に、
CCÉ Japanのオンラインイベント開催の手伝い、
アイリッシュパブを守る運動に、
オンラインパブを開催している。
そんな現状を2ヶ月の自分が知ったら驚くに違いない。その上、まだ新しい企画を考えている(これについてはもう少し後にお知らせします)。
それでも、2ヶ月前と一切変わっていないものもある。
日本のアイルランド文化をこれまで育ててくれたみんなに対する大きな感謝。そして、僕もそれらを守り、育て、これからアイルランド文化に出会う人に届けたいという気持ち。
願わくば、僕がもらった時よりもちょっぴり育ったかたちで。
日本のアイルランド文化はたくさんのものに支えられています。
リスナーにダンサー、セッションミュージシャンに、兼業/専業ミュージシャン、ブログや本を書いてくれる人、テレビで放映してくれる人、パブ、パブのお客さん、日本に訪れるアイルランド人、CCÉ Japan、INJ、アイルランド大使館。数え上げればきりがありません。
いろんな人たちが、様々な関わり方で大切に育ててきた日本のアイルランド文化が、今、少しずつ欠け始めています。
閉店してしまったアイリッシュパブがあります。
演奏機会が奪われてしまったミュージシャンがいます。
その多くは、僕自身と直接関わりがある訳ではありません。
でも、身を切られるような辛さがあります。
自分は彼らが築いてくれた幸せを享受して生きているのに、何もできない。パブが閉店したことすら知らなかった。状況を変えられない自分に嫌気が刺し、絶望します。
でも、まだ終わりじゃない。以前の日常が戻ってくるまで、できることはいくらでもあります。
この2ヶ月、僕はずっと考え続けているし、実行し続けています。でも、まだまだ力が足りない。どうにでもできないことばかりです。
だから、この文章を読んでいるあなたが、もし日本のアイルランド文化を少しでも愛しているなら、なんでもいいからできることを始めてほしい。声に出してほしい。実行してほしい。アイルランド音楽やダンス、パブを愛するポエムを書くでも、練習日記を公開するでも、お世話になっている人にお礼を伝えるでも。小さな行動は重なり、大きなうねりとなって、現実をちょっとだけ変えられます。
僕はただの一般人で、アイリッシュダンスを愛しているだけの人間だから、こんなことを大声で言うのはとても烏滸がましけれど、日本のアイルランド文化を"あなたと一緒に育て続けたい"です。
願わくば、みんなで同じ方向を向いてこの危機を乗り越え、
そしてこれからアイルランド文化に出会う未来の人たちに繋げられんことを。
城 拓
* * *
さて、事務連絡です。
クラウドファンディングを支援してくださったみなさま、ちゃんとメールボックスは確認されましたか?届いたリターン動画やメッセージに文章、ちゃんと見ました?今すぐメールボックスをちぇっく!!
(知人が届いていたリターンに気づいていませんでした)
僕は立場上すべてのリターンをチェックしていたのですが控え目に言って最高でした。
*プロジェクトの詳細な報告についてはこちらをご覧ください
それと、最後のリターンで送ったミュージシャンの推し曲、リクエスト曲の中にはSNSシェアオッケーのものがあります。さっそくいーちゃんがシェアしてくれました。
*こちら、本来は「ミュージシャンへのリクエスト曲の動画」ですが、支援者の希望により主催のシャンノースでお届けします
よかったらみんなもシェアしてね!(シェアOKなものに限る)
それと、ライブ配信で演奏されていた曲のリストも公開します。遅くなってごめんね!
小松大(Fiddle)、瀧澤晴美(Flute)、高橋創(Guitar,Banjo)
(1)Martin Wynne's 2 - Man of the house - Anderson
(2)Palm Sunday - Ship in full sail - Doonybrook fair
(3)Kilmovee - Liam O'Connor's - Killavil - Beauty spot - Green Mountain
豊田耕三(Flute)、マイキー・オシェイ(Fiddle)、加瀬早苗(Piano)
(1)Contentment is Wealt / Rose in the Heather / Blackthorne Stick
(2)Donald Blue / Trip to Hervé’s
(3)John Stenson’s / Jack Rowe / Flowing Bowl
福島開(Fiddle)、木村穂波(Button Accordion)、高橋創(Guitar,Banjo)
(1)March: The Battle of Aughrim
(2)Jig: Contentment is Wealth / Tae in the Bog
(3)Reel: Touch me if you there / Martin Wynne's 4
(4)Hop Jig: John McFadden's / Brogan's Land / The Promenade / Larry McDonagh's
大きな声で「ありがとう」と言いたい
今回のプロジェクトを通してたくさんの方々にお世話になりました。
告知、宣伝を手伝ってくださった皆様、英語で宣伝を手伝ってくださった皆様、推しミュージシャンを語ってくださった皆様、クラウドファンディングをきっかけに行動を起こされた皆様、全国のアイリッシュダンスを愛する皆様、個人的に相談に乗ってくださった皆様、本当にありがとうございます。
また、クラウドファンディングを支援してくれた皆様、当日視聴してくださった皆様、ライブ配信の時にアドバイスをくださった皆様、TwitterやFacebookでコメント、シェア、RT してくださった皆様、視聴者アンケートに協力してくだった皆様、リターン送付後に個別にメッセージをくださった皆様、本当にありがとうございました。温かいお言葉にとても励まされました。本当に心強かったです。
ミュージシャンへのありがとうに始まり、ミュージシャンもまた演奏で応え、それを視聴した皆さんがまたありがとうを伝えてくれる。感謝の輪が巡るサイコーの企画になってサイコーな気分です。
そして、
とても素晴らしい文章をリターンに書いてくれたほなみちゃん、
多忙なスケジュールの中協力してくれたかいさん、
即決で引き受けてくれたマイキー、
いつもどおり素敵な伴奏をしてくれた加瀬さん、
サイコーな伴奏をたっぷり聴かせてくれたはじめさん、
当日のあれこれをパワフルに助けてくれた香織さん、
急な依頼にもかかわらずダンスを披露してくださった大原さん、
最高のクオリティで映像化してくれたくまさん、
大好きなCladdagh Setを演奏してくれた耕三さん、
みんなのおかげでここまで来られました。どうもありがとうございます。
最後に。
まだ会って間もないのに、僕の無茶振りをかたちにしてくれた大さん、
そして、最初から最後まで親身に相談に乗ってくれて、一緒に走り抜けてくれたはーみー、本当にありがとう。ふたりが一緒でよかった。準備で辛い時に「がんばれHJ #Hey_Jo 」のハッシュタグを見てとても励まされました。
笑った、楽しかった、幸せだった。これからも、よろしくお願いします。
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現在、クラウドファンディングで集まった余剰金を使った「次期プロジェクト」を準備中です。5月中には発表したい。お待ちを!!
Grazie per leggere. Ci vediamo. 読んでくれてありがとう。また会おう!