Hornpipe(ホーンパイプ)を攻略しよう!
アイルランドの社交ダンスであるセットダンスをもっと楽しむためのリファレンスサイト、「SetDancePal」を開発している城と申します。こんにちは。
この記事ではセットダンスの締めくくりでよくあるフィガーであるところの「Hornpipe(ホーンパイプ)」が各セットでどのように異なるかを比較し、ホーンパイプを踊り間違えないクールなダンサーを育てたいと思います。
Hornpipe(ホーンパイプ)とは
そもそもホーンパイプとは何かと言うと、
17世紀後半に生まれたイギリスのフォークダンス、およびそのための舞曲。いくつかの種類があり、クラシック音楽にも取り入れられた。
Wikipedia - 「ホーンパイプ」
とあります。アイルランド音楽ではReel, Jig, Polkaなどと並んでよくあるリズムの一つです。「hornpipe irish」で検索すると以下のような動画が出てきます。
セットダンスではセットの締めくくりや中盤以降で登場する傾向があります。テンポも同じ4/4拍子のReelに比べてスローなことが多く、クールダウン的な意味合いがあるのかもしれません。そういった訳かはわかりませんが、ホーンパイプと言えばセットの締めくくりのフィガーを指すこともあります。
North Kerry SetとLabasheeda Setを例に
ところがこのホーンパイプ、各セットによる違いがほとんどなくケーリーに来ているダンサーが覚えていないことがざらです(※日本の場合)。たとえば、以下はノース・ケリー・セット(North Kerry Set)というケリー州北部のセットのフィガ一覧です。
ノース・ケリー・セットは一つ一つのフィガーの長さが短いので初心者向けのセットとして教えられることがあります。全5フィガーあり、一番右端にある最後のフィガーがホーンパイプです。Body → House → Ladies; moves→1/4R & 3/4 Body → ...と書かれています。
翻ってラバシーダ・セット(Labasheeda Set)を見てみましょう。
ラバシーダ・セットはクレア州のラバシーダ地方発祥のセットです。全7フィガーあり、ノース・ケリー・セットと同様に一番右端にある最後のフィガーがホーンパイプです。Body → House → Balance & Ladies; move→1/4R, Home → ...と書かれています。
この2つのフィガー、ノース・ケリー・セットとラバシーダ・セット、ホーンパイプの出だしの動きが似ていることにお気づきなられたでしょうか?どちらのホーンパイプもBody - Houseから始まります。一転してその他のフィガーを比較するとどうでしょう。ノース・ケリー・セットはすべてのフィガーがBodyから始まりますが、ラバシーダ・セットの多くのフィガーはLead Aroundから始まります。締めの動きを比較すると、ノース・ケリー・セットはほとんどのフィガーがBody終わりですが、ラバシーダ・セットはすべてHouse終わりです。
ノース・ケリー・セットとラバシーダ・セットでは、最後のホーンパイプは似ているものの、その他のフィガーは似ても似つきません。似ているところを見つけるのが難しいほどです。
今は2つのセットの違いに注目しましたが、本来は各セットの特色を踊りながら理解したり、フィガー構成の共通点をもとにフィガーを少しずつ覚えていくものです。セットの違いが大きければ大きいほど、それは特徴として頭や体に残るようになります。
しかし、そうやって色々なセットを覚えた後に現れる壁、それが「ホーンパイプ、どこが違うのかわからない」です。
ホーンパイプを比較しよう!
ようやく本題です。以下の画像は、日本のケーリーにおいて踊られることが多いCaledonian Set, Labasheeda Set, Sliabh Luachra Set, North Kerry Set, Kilfenora Plain Setのホーンパイプを比較したものです。
※ Caledonian SetのホーンパイプはShort ver.とLong ver.があり、通常はShort ver.が踊られますが、ここでは比較のために掲載しています
各フィガーの詳細な動きについては上記リンク先から確認していただきたいのですが、手っ取り早く要約すると、
①Kilfenora Plain Set以外は、Body → House → レディー移動 → Body → House が主体の動き
②レディーは必ず一つ右側のジェントのところへ向かう
③通常はレディーが動くのに8 bars使うが、North Kerry Setのみ、レディーが移動した後に12 bars Bodyとなる変則的なかたち
④Kilfenora Plain SetのホーンパイプはCircle, Advance & Retireから始まる変則的なフィガー構成
Caledonian Set, Labasheeda Set, Sliabh Luachra Set, North Kerry Setの4つのセットではフィガー構成はほとんど変わらず、異なる点はどのようにレディーが移動するかです。
・Caledonian SetはAdvance & Retireの後に右側へ
・Labasheeda SetはBalanceした後に右側へ
・Sliabh Luachra Setはそのまま歩いて右側へ
・North Kerry SetはジェンツがBalanceしている間に右側へ
Kilfenora Plain Setは始まりがCircle, Advance & Retireだったり、レディーの移動方法がRight Hand Starだったり、終わりの動きに唐突にHouseが出てきたりとその他のセットとの共通点が少ないです。これはこれとして別で覚えるのが良いかもしれません(※ここでは取り上げませんが、Corofin Plain Setの最後のフィガーであるポルカとは似通っている部分があります)。
まとめ
まとめると、ホーンパイプならBody → House → レディー移動。Kilfenora Plain Setだけ変則的だから気を付ける、といったところでしょうか。レディーがどう動くかだけ覚えておくと、セットの8人の中でキラリと光るジェント・レディーになれるかもしれません。
今回の記事はCCE Japanの中野クラスで「各セットのホーンパイプが忘れがちだからまとめてほしい」とベテランダンサーの方から言われたことがきっかけです。アイルランドのセットダンスについてSetDancePalに掲載してほしいことや、まとめてほしいことなどありましたら対面でもコメント欄でもTwitterでもFacebookでもお気軽にお知らせください。