あきら

性の旅人

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今までありがとうございました。 個人ブログへ移行します。 https://www.ichbleibemitdir.com/

    • なぜ手術要件なしで戸籍変更希望のトランス男性がいるのか

      表題についてですが、少しアプローチを変えてみます。 トランス男性を「トランスジェンダー」だとみなすより先に、「あなたのお隣にいる、その辺の男性の一人」だとみなしてください。 けれどもその男性は、引越しに悩んでいるそうです。あるいは、新しいジムに入会する際、新しいクレジットカードを作る際、新しい銀行口座を開設する際、どこか外国へ行こうとパスポートを準備する際、立ち止まってしまうことがあるようです。 とくに厳しいのが、「仕事」と「結婚」です。 男性ジェンダーを背負って生きる

      • 男だった。1880年ロンドン『ハーフムーン街の殺人』

        なんだか咀嚼できないが読みながら怒っていた記憶があります。殴り書き。 小説『ハーフムーン街の殺人』 これはトランスジェンダーという存在が認知されていない時代でも、きっと確実に生きていた人たちの物語。主人公レオ・スタンホープは15歳のとき“牧師の娘”だった姿を捨て、一人で男として生きていくことに。 レオは幼い頃から性自認男性で、身体違和も強いタイプ。 それなのに周囲の男性同様に娼館へ通うというのは意外ではあった。何より“男らしい”とはいえるかもしれないが。 レオ・スタン

        • 『POSE』に見るトランス男性の不在と、夫人の抱える“名前のない問題”

          遅ればせながらNetflixにて『POSE』シーズン1を観ました。全8回分。 制作陣もLGBTQ当事者が多く、トランスジェンダーのキャストが50名以上出ると聞いて、前々から気になっていました。でもやっぱり重い腰が持ち上がらなかったのは、 どうせトランス男性は不在で、いつものように女装したゲイやドラァグクイーンと、トランス女性ばかりが、差別を受けながらも特定の場所でのみ闇夜で輝く話なんだろう、と思っていたからです。結論からいうとそれは間違っていなかったのですが、それはそれとし

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        • なぜ手術要件なしで戸籍変更希望のトランス男性がいるのか

        • 男だった。1880年ロンドン『ハーフムーン街の殺人』

        • 『POSE』に見るトランス男性の不在と、夫人の抱える“名前のない問題”

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        • Masculinities
          2本
        • トランスジェンダー(FtM)記録
          19本
        • 絵本
          2本

        記事

          Masculinity+ Transmen= Masculinities男性学の新展開

          11000字超えて長くなってしまいました。この記事でのテーマは3つです。 ・男性学のまとめ ・トランス男性は男性です? ・フェミニズムとの付き合い方 よろしくお願いします。 1、男性学の分類その是非は置いておいて、フェミニズムは一人一派とまで言われることがあります。でも、マスキュリズムは?男性学は?ひたすらに消極的な意味で、一人一派どころか、男性学って何ですか、そんな言葉は聞いたことない、と煮詰まりそうですよね。男性をジェンダー化された存在として捉え、権力関係やジェ

          Masculinity+ Transmen= Masculinities男性学の新展開

          Feminism to Masculism

          ようやく入り口が見えてきました。おぼつかない脚でフェミニズム畑を歩んできて満身創痍ではありますが、本番はここからです。私はずっとこういう話がしたかったのです。トランス男性を包括するフェミニズムからマスキュリズムへの移行について、今回は一冊の素晴らしい本 “Self-Organizing Men: Conscious Masculinities in Time and Space”をベースに記述していきます。 直訳すると「自己組織化男性」でしょうか。まず導入から共感に満ち満ち

          Feminism to Masculism

          性別移行を終えます。

          うおおおおおおおっっっっしゃあああああああ!!!にまにましてしまうからマスクがあって良かった。 特に書く意欲はなかったのに。まあいいです。性別移行を終えます。嬉しいというだけでなく、ようやく終わってくれたなこの野郎、って気分はもちろん強い。 コロナで長引いてしまった手術や、コロナでタイに行けず当初の倍額かかった手術代や、時間がかかっている間に会えなくなってしまった人のこととか。喪失感もかなり占めているのはなぜなんでしょうね。 ああでも。あまりに日常になってくれたので忘れが

          性別移行を終えます。

          男になるをしてからの夜をただ書き出します。

          仕事のない晩はとても静か。 だから三味線を買った。 プロジェクターを買った。 動物は飼えないからルンバを飼おうかと思っていたが、光と音が出るなら天井の電気も兼ねたプロジェクターの方が便利だと閃いた。家を映画館にする。一人で映画館。ひとりごとは増える。 たまにラジオのアプリで知らない人の配信を聴く。男性だとイケボ配信とやらが妙に腹立たしいので、消去法で女性の配信を聴く方が多い。自分の声はまだ未発達だと自覚している。声だけじゃない。 暇つぶしにダンベルを上げるけれど、体も発育途

          男になるをしてからの夜をただ書き出します。

          男よりましでありたい。

          FtMで身体治療をする人は、始める前に何を懸念するのだろう。 親の同意?転職?声変わり?ニキビ?性欲?パス度?手術代?手術そのもの?手続き?渡航? 自分の場合は「声変わり」と「治療費」は覚悟を決めなければならなかったけれど。でもそれは一瞬、グッと懐を突っつけば良いのであって、ジメジメこびりついて気味の悪い懸念は他にあったと言える。 トランジションを決意したのがドイツだったということもあり、これから自分は「日本人の男性」になる、なってしまう、という事実は重たかった。その理由

          男よりましでありたい。

          気づけば親金SRSできることになった理由

          「今月の引き落としまでに2万円貸してくれませんか.......」 ふだん会話しない両親に持ちかける話題はいつも決まっている。お金の話。 東京にいようが地方にいようが、神奈川の実家に戻るのは一年に2回あれば多い方だと思う。毒親、ではなかった。きっとそう。けれども一緒にいたい相手ではなかった。食卓を囲む時間を少しでも縮めるために早食いか小食か外食で済ませた。妹と比べられて「あんたは女の子らしくない」と批判されるのが邪魔だった。大学に受かったら絶対家を出ると決めて、ほぼ無一文で家

          気づけば親金SRSできることになった理由

          【小説ネタバレあり】FtMが女性扱いされることについて

          小説『52ヘルツのクジラたち』 あらすじ 「52ヘルツのクジラとは―他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。そのため、世界で一番孤独だと言われている。自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる―。」 友人宅でこれを読みまして。 なぜ友人はネタバレしなかったのだろうと不思議に思っ

          【小説ネタバレあり】FtMが女性扱いされることについて

          女を演り男を演る。埋没と呼ぶ。

          なんらかの障害は持ってそうだね、とは言われたことがある。多分そう。でも名前はまだ無い。コミュニケーションについて。自分は一対一での対面ならイケる気がする、3人でもまだ大丈夫かもしれない。でも4人以上はもう無理だ。“サークルの幹事長”みたいな中途半端な団体で会話するのは全くできない。せっかく当時の好きな人にインターン先を紹介していただいたのに、職場の十数人の規模で自己紹介を、と言われると完全に頭が白紙になった。何も言えないのだ。感嘆符すら出てこない。紹介元だったその人に幻滅され

          女を演り男を演る。埋没と呼ぶ。

          胸オペからの人季節

          胸オペからの人季節

          女から男になったらお金の話が登場するようになった。

          普段とりわけ興味を持って発信したくもなかったお金の話について。 はい、前置き。 コロナ禍で街じゅうの店や職場が閉まる中、ひとつの喫茶店が変わることなく営業していた。地元民に愛される昔ながらの喫茶店。全体的な色味は茶色くて、ジャズやらクラシックがよく馴染んでいる。おそらくマスター&ママご夫妻の居住地そのもの(1階が喫茶店で2階は自宅なんだろう)なので、営業をしているというよりは日常を繰り返しているだけの感覚なのかもしれない。その変わらなさを尊敬する。自分にはこうした日常が再現

          女から男になったらお金の話が登場するようになった。

          忘れたい覚え書き

          嫌な記憶。 好きになった人のことは大抵いつまでも好きでいるけれども確かにそうではない人もいるにはいた。トランスする契機になった相手だ。あの頃、男になるか、死ぬか、賭けるしか生きがいはなかった。やがて、人づてに会いたいと思われているらしいことを聞いた。きもちわるいなこの文も全て。

          忘れたい覚え書き

          ある日突然男性になったら

          声変わりした。飛び起きて、自身の声を録音した。それから冷静になって、今日の卒論演習では発表する番なのに突然の低音ボイスで授業にならないのではと心配になった。世界は変わった。 卒論担当の教授を尊敬していた。一年生の時から漠然とそうだった。つい1ヶ月前は学内の精神科のような何かが併設されている保健室に連れて行かれたばかりだった、自分は卒業する間近までそんな場所があるとは知らなかった。おそらく教授自身もセクシュアルマイノリティであり精神障害があったので、似たにおいを嗅ぎ取って心配

          ある日突然男性になったら