「弘法、筆を選ばず」は嘘。 空海は全く逆のことを言っている。
「弘法筆を選ばず」は、空海(弘法大師)の真意ではありません。
『能書は好筆を用う』が、空海の言葉です。つまり、「優れた書家は良い筆を使う」と言う意味です。
『弘法筆を選ばず』ということわざとは正反対の意味ですね。
これは空海以外の誰かの浅はかな理想論です。
空海の真意である『能書は好筆を用う』は、永遠の真理です。
あの天才イチローがあれ程までにの道具に拘ったのはなぜでしょうか?
それは、良い道具を使うことで、結果に差が出ることを誰よりも知っていたからです。
余談ですが、ゴルフ界のスーパースター、タイガーウッズは全盛期の直前に日本の三浦技研のアイアンと出会って急激にその実力を上げていきました。
そしてタイトリストと契約するときもタイトリストはタイガーウッズの無理な要望に応えて、ウッズモデルアイアンを三浦技研に発注していました。
その後、ナイキと契約したときも、ナイキはしかたなく三浦技研にウッズモデルのアイアンを発注していたのです。このことがいかに常識外れの凄いことだったのかがお分かりいただけるでしょうか?
タイガーウッズの道具へのこだわりが、ゴルフ用品メーカーの常識やプライドまで変えさせてしまったのです。
空海の「能書は好筆を用う」は、人に置き換えてみたらよく解ります。
空海・『優秀な社長は優秀な人材を用いる』
ことわざ・『優秀な社長はどんな人材でも使いこなす』
現実に成功している社長は空海の言葉の方ですよね。
「・・・選ばず」は、理想論ですが、現実的でないことが解ります。
名人と呼ばれる大工は、やはり道具に拘ります。
どんな名人も切れない刃物で名作は作れません。切れない刃物は、作品の質を落とし、下手すれば余計な力が入り、怪我の元にもなりかねないのです。
良い人材や良い道具を見極めることができるのも一流の証です。
よって『弘法は筆を選ぶ』が空海の真意です。
しかし、その道具を使いこなす技量がなければ「豚に真珠」「宝の持ち腐れ」となります。
拡大解釈すれば、「良い道具を選ぶ目を持て、使いこなす腕を持て」ということでしょうか。
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#和文化デザイン思考 講師
成願義夫