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JOG(1407) 中学生と一緒に考える「東京裁判」
パール判事の「裁判に名を借りた連合国による日本への復讐にすぎない」という言葉は、簡単な事実からすぐ分かる。
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■1.坦々と事実だけを紹介して、東京裁判の本質を中学生にも分かりやすく抉(えぐ)り出す授業
伊勢雅臣: 清田直紀先生は公立中学校のベテラン社会科教師です。現在、横浜にて4回シリーズの講演会を開催中で、その第2回目の東京裁判をテーマにした講演を聴講しましたが、坦々と事実だけを紹介して、見事に東京裁判の本質を中学生にも分かりやすく抉(えぐ)り出す授業の見事さに舌を巻きました。
その一部を、清田氏の著書から(弊誌の限られたスペースに合わせて少し省略と再構成をしながら)引用させていただきます。こちらも中学の先生と生徒との対話で授業が進められているので、氏の学校での授業の様子が、かなり窺えると思います。
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清田直紀『先生、ニッポンは悪い国だったの? : 中学生と一緒に考える「東京裁判」』★★★
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/B0DSV6MJNS/japanontheg01-22/
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ちなみに、次回の清田氏の講演は、以下の通りです。テーマはなんと「特攻隊」です。中学生と一緒にこの重いテーマをどう考えるのか、清田先生の授業方法が楽しみです。
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日時 2月22日(土)10:30~12:30
会場 かながわ県民センター 305会議室(横浜駅から徒歩数分)
テーマ 「特攻隊が命を懸けて守ろうとしたものは何か?」
講師 清田直紀氏(公立中学校教諭)
参加費 入場無料(カンパ歓迎)
申込み・問合せ 横浜教職員連盟 yokokyorenjimukyoku@yahoo.co.jp
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■2.「『東京裁判』って何ですか?」
ミチさん(中学生): 岩吉先生、質問があります。「東京裁判」って何ですか? 歴史の教科書を読んでいたら、大東亜戦争後の「占領下の日本」のページに極東国際軍事裁判(東京裁判)と書いてあって気になったんです。
岩吉: 東京裁判とは、「極東国際軍事裁判」の通称です。東京で開かれたので「東京裁判」と呼ばれます。昭和21(1946)年1月19日、GHQのマッカーサーの命令で設立された「極東国際軍事裁判所」が日本の戦争指導者に対して行った裁判です。裁判は同年の5月3日に始まり、昭和23(1948)年11月に終わったとされています。
東京裁判は、敗戦国・日本の「戦争犯罪人」を裁く裁判でした。カタチとしては「刑事裁判」と同じです。刑事裁判を構成するのは次の四者です。
(1) 被告人:罪を犯したとして起訴された人
(2) 検察官:被告人の罪を明らかにし刑の執行を求める
(3) 弁護人:被告人のために無罪・減刑の主張を行う
(4) 裁判官(判事):検察官・弁護人の意見を聴き、 法律に基づいて判断し判決を言い渡す
■3.検察官も裁判官も戦勝国11カ国から
岩吉: 「東京裁判は刑事裁判」という点を踏まえ、「正しくない裁判」を考えましょう。ミチさん、「こんな裁判は正しくない」と言える条件には、どのようなものがあると思いますか?
ミチ: まず、パッと思いついたのは、「裁判官が中立の立場じゃない」裁判です。裁判官が弁護人や被告人の知り合いだったら、被告人が罪を犯していたとしても無罪になったり、刑が軽くなったりしそうです。その逆の場合もあるから、裁判官は検察官とも無関係な人じゃないとダメです。
岩吉: アメリカを筆頭に、戦勝国11か国の代表が検察官を務めました。11か国とは、アメリカ、イギリス、フランス、ソ連、オランダ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、フィリピン、中華民国、インド。
さらに信じがたいのは、判決を下す裁判官(判事)も戦勝国11か国の代表だった事実です。つまり、東京裁判は戦勝国が検察官として日本の罪を声高に指摘し、戦勝国が裁判官として日本に判決を下す「中立の原則」とはほどとおいものでした。
ミチ: そんなことが許されていいのでしょうか!? これでは、まったくフェアでじゃないし「正しい裁判」なんて呼べません!
岩吉: 日本は戦争には敗れました。しかし、戦争の勝敗は「犯罪」とは別の問題です。「戦勝国=検察官=裁判官」という不公正な人員構成では、もはや「裁判」とは言えません。東京裁判は、連合国が憎き敵・日本へ報復するために仕組んだ「復讐劇」だと見られても仕方ありませんね。
■4.「事後法禁止の原則」を破った
ミチ: それから、もし裁判官や検察官が「個人的な思いや考え」で被告人を裁くとしたら、それも「正しくない裁判」だと思います。基準はあくまでも法律です。被告人の犯罪が残虐なものでも、法律に照らして判断してもらいたいです。
岩吉: 確かにそうですね。個人的見解に基づいた裁判ではなく、「法に基づいた裁判」が求められます。これも「正しい裁判」の条件ですね。
法律は、禁止事項を「犯罪」として設定し、それに違反すれば逮捕され「罰」を受けるという社会のきまりです。逆に考えると、次のように言い換えられます。新たに制定された法律によって「その法律の制定以前」にさかのぼって、新たな法律によって犯罪と見なされるようになった行為は取り締まれない、と。この原則を「事後法禁止の原則」とも呼びます。
日本国憲法第39条では「何人も、実行の時に適法であつた行為……については、刑事上の責任を問はれない」と規定されています。この考えは19世紀はじめにヨーロッパで主張され始めましたが、その淵源は13世紀のイギリス・マグナカルタの制定です。
マッカーサーを中心とした連合国は「平和に対する罪」という大東亜戦争開戦当時になかった「罪」を後からつくり、「事後法禁止の原則」を破って日本を罰しました。
ミチ: そこまでして「日本が悪い」って決めつけるなんて、あまりに一方的でひどすぎます…。しかも、歴史の教科書にはこういった事実が書かれていません。「真実」が意図的に隠され、国民に知られないように、コントロールされているのではないか…と疑いたくなります。
■5.ブレイクニー弁護人の主張
岩吉: 占領軍の一員だった法律家でもあるベン・ブルース・ブレイクニーが弁護人として、次のように主張しました。
「戦争は犯罪ではない」 なぜなら「戦争のルール」について定めた「戦争法規」があること自体が「戦争は犯罪ではない」、つまり戦争の合法性を示しているという主張です。戦争の開始、戦闘の方法、終結を決める法規も存在しているのだから、戦争は非合法ではないという考え方で当時の世界各国は同じ認識に立っていたと言えます。それなのに、日本だけを裁けるのかという疑問です。
そして、もし日本の戦争が罪ならば…という前提で次のような内容を法廷で主張しました。それは…
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「真珠湾攻撃による殺人が罪になるなら、私たちは、広島に原爆を投下した者の名を挙げられる。投下を計画した参謀長の名前も、国家元首の名前も知っている。彼らは、殺人罪を意識していたか?してはいないだろう。私たちもそう思う。それは彼らの戦闘行為が正義で、日本の行為が不正義だからではなく、戦争自体が犯罪ではないからだ。
どのような罪で、どのような証拠で戦争による殺人が違法と言えるのか。原爆を投下した者、投下を計画した者、投下の実行を命じた者、これを黙認した者がいる。その者たちが日本を裁いているのだ。彼らも殺人者ではないか」[清田、p49]
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ミチ: ブレイクニーさんの主張、ズバッと本質を捉えていてスカッとしますね!! 被告人として出廷していた日本の指導者たちもこの発言には勇気づけられたのではないですか?
岩吉: ところが、そうなりませんでした…。東京裁判では、英語と日本語で発言が聴けるように通訳された言葉がイヤホンで聴けるはずだったのですが、ブレイクニーさんの発言の時に、同時通訳が故意に停止され、しかも日本語の速記録にもこの部分のみ「以下、通訳なし」と記載されていたからです。
ミチ: イヤホンが壊れたわけではないんですね!? とすると、わざとブレイクニーさんの発言を日本人に日本語で聴かせたくないと考えた人がいる…ということでしょうか?
岩吉: 残念ながらそれが真実かもしれません。ブレイクニーさんは、この発言の他にも、日本が交渉に最後まで望みをかけていたことや、日本の真珠湾攻撃をアメリカは日本の電報を傍受して知っていた事実を指摘しました。
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■6.インドのパール判事の合掌
岩吉: 裁判官にも、日本人全員無罪を主張した方がいました。インド人のラダ・ビノード・パール判事です。
パール判事は独自に判決文を作成しました。英文で1200ページを超える大作で、第一部~第七部に分類されています。判決文の内容は膨大、緻密で、要約は大変困難ですが、簡単にまとめてみますね。
【第一部「予備的法律問題」】
裁判官の構成が戦勝国の判事のみでよいのか?という疑問や、当時の国際法に照らして考えると戦争自体を不法行為とは言い切れないにも関わらず、事後法をつくってまで、日本に罪を着せられるのか?という疑問を述べています。しかも、敗戦国の日本だけに罪を適用できるような方法は、どんな根拠を持ってこようと正当化できないとも書いています。
【第二部「侵略戦争とは何か」】
侵略戦争は認められないが、国家を守る自衛戦争であれば認められるという考え方があります。しかし、そもそも「侵略戦争と自衛戦争の区別」はあいまいで、きっちり分けられません。そして、日本が大東亜戦争に突入したのは、当時の国際社会や拡大する共産主義の問題、対日経済封鎖の重圧など多様な要因があったからであり、今回の戦争を日本の一方的な侵略と判定できないと結論しています。
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清田直紀『なぜ、日本は戦争したのか? ~17の質問から読み解く歴史物語~』、アメージング出版、R06
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4910782931/japanontheg01-22/
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【第三部「証拠及び手続に関する規則」】
【第四部「全面的共同謀議」】
【第五部「裁判所の管轄権の範囲」】(以上省略)
【第六部「厳密なる意味における戦争犯罪」】
起訴されている日本の指導者たちが、捕虜を虐待したり、非戦闘員の大量殺戮を命じたりしたという証拠は提出されていないとも指摘しています。逆に、連合国のアメリカが実施した原爆投下による非戦闘員の大量殺戮こそ違法であると述べています。
【第七部「勧告」】
この裁判は「法律的外貌はまとってはいるが、本質的には、ある目的を達成するための政治的裁判」にすぎないとし、裁判に名を借りた連合国による日本への復讐にすぎないと指摘しています。
ミチ: パール判事の考え方はとてもわかりやすいですね。要約文でもこんなにスッキリした論理が伝わるなら、実際の判決文はきっと完璧だったんだろうなぁ~と感じました。
岩吉: そうですね。この判決文は長い時間と労力をかけて書かれました。パール判事は東京裁判が行われていた約2年半、日本の政治体制や戦争、国際法などの法的根拠の調査と執筆に専念しました。参考書籍はインドから取り寄せたり日本中でも集めたりして、約3000冊にもなったと言われます。まさに「心血を注いで書き上げた判決文」です。
ミチ: パールさんは日本を守ろうと一生懸命に弁護してくれたんですね…!
岩吉: パール判事は入廷時、日本人の指導者たちに向かって合掌してから席についていたと言われています。言葉は交わせなくても、態度で敬意を示してくれていたと考えられます。
パール判事は日本人の味方であるだけでなく、国際法学者として法の真理や国際法による秩序を大切に考え行動していました。パール判事は、11名の裁判官のうち唯一の国際法学者であり、その誇りを持って裁判に臨み、「日本人全員無罪」の結論を堂々と出しました。
ミチ: パール判事にとって東京裁判は、国際法学者としてのプライドをかけた戦いだったんですね…。私がパール判事の判決文によって東京裁判への認識が深められたように、パール判事の存在や判決文は、今生きる日本人、未来の子孫たち全員に知ってもらいたいと思いました!
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JOG(59) パール博士の戦い
東京裁判のインド代表判事として全員無罪を主張。「日本の子弟が 歪められた罪悪感を背負って卑屈・退廃に流されてゆくのを、私は見過ごして平然たるわけにはゆかない」
https://note.com/jog_jp/n/n4fff60140cb1
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■7.日本には「A級戦犯はもういない」
岩吉: 昭和26年(1951年)にサンフランシスコ講和条約が結ばれ、翌年に日本が独立を果たすと、「苦境にある同胞を救いたい。名誉を回復させてやりたい」という国民の願いが大きなうねりとなり、日本中に広がりました。そのうねりは署名運動へと発展。署名運動が始められると、戦争受刑者釈放運動は大いに盛り上がります。集められた署名は4000万人分に達しました。
このような国民の願いを受けて、政府は国内で服役中の戦犯の仮釈放及び諸外国で服役中の戦犯を送還する措置について各国と交渉をスタート。そして紆余曲折を経て、服役中の人たちは釈放。戦争裁判で死刑になった人たちは国会決議で「公務死」となりました。 死刑になった人たちの死は、戦争における「戦死」として扱われることになります。
この事実は、当時の日本人と国会が東京裁判を「一方的で不公正なもの」として否定した意志の顕れです。国会の議決により「A級戦犯」という汚名はすでに晴らされています。このような事実を私たちは知らねばなりませんし、絶対に忘れてはいけません。先人たちは「A級戦犯」というレッテルをすでにはがしています。だから日本には「A級戦犯はもういない」のです。
「事実を知り、先人の想いを想像し、自分の頭で考える」という姿勢で歴史を捉え直せば、歴史は私たちに勇気と 元気を与えてくれる「物語」になります。 歴史を物語として大切にすれば日本人としての健全な自尊心、自国愛が育まれ、自己肯定感も高まります。
(文責 伊勢雅臣)
■リンク■
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・テーママガジン『東京裁判 ~ 自虐史観のはじまり』
インド・パール判事「日本の子弟が 歪められた罪悪感を背負って卑屈・退廃に流されてゆくのを、私は見過ごして平然たるわけにはゆかない。」
https://note.com/jog_jp/m/m4f2531909791
・JOG(39) 国際法を犠牲にした東京裁判
人類史上最初の核兵器の使用に対し、東京裁判が目をつぶってしまった事が、現在の国際社会の無法状態の根源ではなかったか?
https://note.com/jog_jp/n/ne6126f529350
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■編集後記
「拉致問題をどう教えるか」という集会に参加して、実際に小学校で拉致の授業を行った教師の体験を聞くと、一番、子供たちの反応が強かったのは、埼玉県議会の「拉致問題を風化させない」という決意を込めた条例が可決されたことを告げた時で、「おーっ!」と喜びと嬉しさに溢れる声が上がったそうです。
子どもたちは、自分の国・日本は拉致被害者を絶対にあきらめない優しい国で、何としても奪還しようとする強い国なんだ、と信じているからだそうです。
そういう意味で、清田先生のこの歴史授業でも、東京裁判がこんなにひどい裁判だった、というだけでなく、国民4000万人もの署名で、国会決議がなされ、服役中の人を釈放、処刑された人は戦死ということで名誉回復がなされたという点が結末に入っているのは、さすがですね。
■講演会・勉強会情報
・「ニッポンだいすき」歴史勉強会(第3回)
2月22日(土) 10:30~12:30
かながわ県民センター 305会議室(横浜駅から数分)
「特攻隊が命を懸けて守ろうとしたものは何か?」
講師 清田直紀氏(公立中学校教諭)
詳細・申込み: 横浜教職員連盟 yokokyorenjimukyoku@yahoo.co.jp
・「和歌(御製)を味わい学ぶ歴代天皇講座」(第2回)
「昭和天皇の御製~喜びも悲しみも民とともに~」
2月23日(日)14時~16時半
国立オリンピック記念青少年総合センター(代々木)・センター棟
会費 500円(学生無料)※会費は当日受付にてお支払い願います
基本テキスト『歴代天皇の御製集―九十五方の御歌を読むー』
事前にお求めの上、ご参加ください。
詳細・申込み https://kokubunken.or.jp/business/waka/1st/
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