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JOG(1357) 「ゴリゴリ左翼」と戦うハーバード大教授 ~『慰安婦性奴隷説をラムザイヤー教授が完全論破』を読む

「口汚い悪意に満ちた反日メール」は、「日に何十通にも及ぶことがあった」


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■1.「ヘイト・メールの洪水が始まっていた」

「アメリカの学界はこれほど左傾していたのか?」という驚きが、マーク・ラムザイヤー・ハーバード大学教授の『慰安婦性奴隷説を ラムザイヤー教授が完全論破』を読んでの最初の感想でした。教授自身が次のように書いています。
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2月1日(月曜日)、私は起床するとすぐにeメールをチェツクした。ヘイト・メールの洪水が始まっていた。韓国のメディアが日本の新聞に載った私の論文を紹介したのだった。日付が変わる頃には、ヘイト・メールの数は77に達していた。大半は口汚い悪意に満ちた反日メールだった。その後2か月にわたって、ヘイト・メールは続いた。日に何十通にも及ぶことがあった。[ラムザイヤー、p320]
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 ツイッター(現在の「X」)でも教授非難のツィートの洪水でした。その中には有名大学の研究者たちもいました。たとえば、コロンビア大学の日本史の助教授ポール・クライトマンは、論文を「偏見に満ちた狂気の沙汰」と評したそうです。

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 ・・・おそらくは、エール大学助教授のハンナ・シェパードがその第一号だったろう。彼女は月曜の早朝に、ツイートして、こうつぶやいたのである。「どこから手を付けたらよいのか分からない。三菱に買収されたハーバードの法律学教授が、慰安婦はみんな売春婦だったと主張している」と。・・・
火曜の朝を迎える前に、ツイートを交わしている連中は、私の論文を撤回させるキャンペーンをしようということで話がまとまっていた。スタンリーとシェパードはそれを実行に移し、まだ月曜のうちに、個人的に撤回を求める文書を送っていた。シェパードは自分の手紙を誇らしげツイッターに掲示し、他の人々に、これを見本にして要求書を作れと使喉(しそう)したものだった。[同書、p321]
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■2.「慰安婦=性奴隷」説を否定すると集団ヒステリー

 こうした慰安婦問題に関する集団ヒステリーは前例があります。韓国の経済学者・李宇行(イ・ウヨン)氏は2021年に『ディプロマット』誌上で、「慰安婦=性奴隷」説を否定する論文を発表しました。

 ノースカロライナ州立大学のデービッド・アンバラス教授は、李宇行氏の論文に「慰安婦否認主義者は軽蔑すべきだ」「『ディプロマット』誌はいったいどうして、こんなクズの論文を掲載するのだろうか」と訴え、他の学者仲間がそれをリツイートしました。論文掲載を担当した『ディプロマット』誌のミッチ・シン記者は、平謝りで何度も謝罪し、ようやくアンバラスの了解を得ると、こう結びました。
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 最後に深く感謝の意を表したいと思います。皆様がこの問題を持ち出して下さったおかげで、私も我が社も、遅くなりすぎないうちに行動を起こすことができました。今後とも、私どもの発表するものをよく監視して、機会ある度に優れた御意見を賜れば幸いです。ありがとうございます。[同書、p324]
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 まるで、中国の学者が、中国共産党幹部から「お叱り」を受けたような光景です。私自身もアメリカの博士課程は自ら体験して知っているつもりでしたが、これが最近の実態かと、衝撃を受けました。

■3.「正しい抗議の方法は、論文撤回を要求したり、編集者にいやがらせをすることではない」

 幸いだったのは、ラムザイヤー教授がこういう全体主義的な批判に一歩も譲らず、堂々と戦ったことです。教授はこう言います。

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私に対して異を立てるのならば、正しい抗議の方法は、論文撤回を要求したり、編集者にいやがらせをすることではないはずだ。学者としての適切な対応策は、・・・反論を書いて、査読付き学術誌に発表することであるはずだ。[同書、p257]
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「査読付き」とは、各学界の権威ある学術誌は、投稿された論文をその分野に詳しい、何人かの識者が読んで、掲載する価値があるかどうか査定する制度です。その論文の主張に自身が賛成か反対か、ということに関わりなく、投稿された論文が、事実をベースにしているか、論理的不備がないか、などをチェックします。学問研究の基本を踏まえたものであるかどうか、が吟味されるのです。

 したがって、「慰安婦否認主義者は軽蔑すべきだ」というような態度で論文を書いても、査読で撥(は)ねられてしまいます。逆に言えば、こうした正規の反論をせずに「論文撤回を要求したり、編集者にいやがらせをする」ような態度は、自分の主張に学問的な根拠がないことを示しているのです。

 幸い、こうした学問的基本を尊重する伝統は、まだアメリカの学界にも残っているようで、ラムザイヤー教授の学術論文が、厳正な審査の結果、真実と認められました。その結果、自らの問題ツイートを消去したり、自身のツイッターのアカウント自体を閉鎖したりと証拠隠滅を図る大学教授も出た、と報じられています。[産経R05]

■4.「慰安婦=性奴隷」説を粉砕するラムザイヤー教授の研究

 ラムザイヤー教授の研究がなぜこれほどのヒステリックな反発を招いたのか、ご紹介しましょう。教授の研究は次の二つの単純明快な史実を、経済学的に解明したものです。[同書、p248]

(i)売春宿および募集業者は何故に多額の前払金を支払ったのか。
(ii) 女性たちの契約期間の長短は契約のどのようなメカニズムによつて決まったのか。

 教授の研究そのものよりも、その前提となっている、慰安婦が「多額の前払い金を受け取っていた」とか、「契約期間があった」という史実自体が、「慰安婦=性奴隷」説を粉砕するものでした。

 もし「慰安婦が日本軍から銃剣で脅されて性奴隷にされた」のなら、そんな慰安婦が前払い金を受け取っているはずも、契約を交わしているはずもありません。ところが、教授はそのような豊富な史実をもとにして、その経済学的合理性を検討しているのです。だからこそ、「偏見に満ちた狂気の沙汰」などという悪罵を投げつけることしかできないです。

 ラムザイヤー教授への反論で傑作なのは、コネチカット大学の歴史学者アレクシス・ダデンのものでしょう。
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 ・・・ダデンは、女性が契約関係に入ることができたとラムザイヤーが言っていることがそもそもの間違いだとして、私を攻撃してきた。単純な話で、日本人は、第二次世界大戦前には契約行為なんてできなかったのだとダデンは強調する。日本人は「市民」ではなく「天皇の臣民」であり、それ故に、独自に契約を結ぶことなどできなかつた。[ラムザイヤー、p31]
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 こんな非論理的な発言をする「学者」がいる、という事自体が驚きです。これが真実なら、戦前の日本人や日本企業とビジネス上の契約を交わした無数の欧米人や欧米企業は「そもそも間違い」を犯していたという事になってしまいます。

 もう少しまともな批判者にしても、吉田清治が自ら韓国の済州島で女性たちを強制連行したという作り話をオーストラリアのジャーナリスト、ジョージ・ヒックスが本を書き、英語圏の研究者たちは、いまだにこのヒックスの本をベースにしているのです。吉田の作り話を大々的に報道してきた朝日新聞がすでにこれらを誤報として取り消しているのに。[下記リンク]

■5.ラムザイヤー教授の精緻な史実調査と堅牢な論理

 これに比べれば、ラムザイヤー教授の研究は精緻な史実調査の上に堅牢な論理を組み立てています。その一端を見ておきましょう。たとえば、慰安婦は多額の前払い金を受け取っていても、年季が明ける前でも、前払い金残金を借金として背負えいさえすれば、いつでも足を洗うことができたということを、教授は次のような史実から明らかにしています。

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大審院は1896年にはすでに、売春婦は、前払金を完済していようといまいと、自分の望む時にはいつでも退職することができるという判決を出している。たとえば、武蔵野きよ対櫛いき(大審院1896年3月11日判決)、坂井フタ対山田耕一(大審院2月23日判決)参照。
大審院の論理は単純明快である。雇用契約は、前払金契約と個人的な労働契約とを包含している。そして、この二つの契約は別々のものである。・・・売春婦が退職しようと思えば、売春婦(とその保証人)は、一般的に未払いの前借金の負債を負っている。しかし、売春宿は働き続けることを強制はできない。[同書、p366]
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 こういう明快な法理を展開する日本の大審院と比べれば、「日本人は『天皇の臣民』だから、独自の契約などできない」とする米人学者は、まるで「地球が太陽の回りを回っていることなどあり得ない」と断言した中世のキリスト教神学者のように見えてしまいます。

■6.反・男性優位、反・人種差別、反・帝国主義

 そもそも80年以上も前の異国の慰安婦問題に、なぜアメリカの研究者たちはこれほど騒ぎ立てるのでしょう? ラムザイヤー教授自身も、こう驚きを明らかにしています。

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我々欧米における「性奴隷話」に対するこだわりが、朝鮮や日本よりも、我々自身の学術界の研究課題としてより多くの関心を集めていることに驚きを禁じ得ない。[ラムザイヤー、p182]
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 教授の説明によると、欧米の学界は「男性優位主義、人種差別主義、帝国主義」を批判することに熱中しており、その絶好のテーマが「性奴隷話」だから、ということのようです。

 たしかに、「日本軍が朝鮮人女性を強制的に集めて性奴隷とした」というプロパガンダは、「男性優位主義、人種差別主義、帝国主義」の非人道的側面を一般人にアピールするための効果的な「物語」でしょう。その「物語」が史実として否定されてしまっては、今までの「研究業績」も崩壊してしまいます。

 最近、ハーバード大学全体がこうした政治的偏向にいかに染まっているか、を如実に示す事件がありました。ハーバード大学で初の黒人女性学長に就任したクローディン・ゲイ氏が辞任に追い込まれたのです。

 きっかけは米下院の公聴会でまともな回答ができなかったことですが、それ以前から過去にわずか12本の論文しか発表しておらず、しかもその半数に50カ所以上の盗作の疑いが指摘されていました。「こんなにずさんな業績しかない人間が、米国で最も著名な大学の学長に任命されていたなんて・・・」という衝撃が全米に走りました。

 調査が進むと、大学の理事会があらかじめ「黒人女性を学長に任命する」と決定し、他の人種や男性を検討対象から除外していたこと、盗作疑惑への調査もしていなかったことが明らかになりました。[産経R06]

 私自身も米国でビジネスをしていて、一流企業の役員クラスで、まったく実力のない黒人が「当社は人種差別をしていません」という看板がわりに重用されている様を見かけました。しかし、米国を代表する大学の学長にまで、こんな欺瞞広告が及んでいたとは衝撃でした。

■7.「アメリカの学界が「反知性的なゴリゴリ左翼」に傾斜しつつある」

 ラムザイヤー教授は、現在のアメリカの学界が「反知性的なゴリゴリ左翼」に傾斜しつつある様は、かつての戦後日本の経済学部が何十年の間、ほとんど完全にマルクス主義経済学で占められていたことと同類である、としています。

 実際に、全米の教養学部の上位校で民主党支持者と共和党支持者の比率は10.4対1となっていた、という調査結果があります。大統領選で一般の有権者の比率はほぼ互角という事実と照らし合わせると、これがいかに異常な傾向かがよく分かります。教授はこう指摘します。
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 アメリカの日本研究者たちが私の論文に対して示したまことに異常な対応は、より広く、アメリカの大学の(文学、歴史などのような)人文科学系学部の衰退を反映したものである。1970年代および1980年代に起源をもつのだが、人文科学系の学者たちはヨーロッパのゴリゴリの左翼学者たちの学説に目を向けるようになつた。・・・
大陸系の哲学者の左翼偏向が前提にあるので、中道右派の学生は人文科学を意図的に避けるようになった。
 そして、衰退が始まると、イデオロギー的、政治的な不寛容がますます厳格になって行った。[ラムザイヤー、p42]
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 要は、「反知性的なゴリゴリ左翼」が学界を乗っ取って、閉ざされた世界を占有している、ということのようです。ただ、それがアメリカという世界一の経済大国、軍事大国の頭脳を麻痺させているという点で、国際社会にとって大きな脅威となりかねません。そういう中で、正統的な学問研究をしようと戦っているラムザイヤー教授のような実証的学者の存在は貴重です。

 本書の中で、ラムザイヤー教授は、こう述べています。
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日本の学者、著述家、知識人、そして一般の国民からなるメンバーが私を支援して下さったことで、どんなに勇気づけられたことか、計り知れない。[同書、p41]
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 ラムザイヤー教授のように、実証的な研究者が、左傾化したアメリカの学界で孤塁を保っている、ということの日本国民にとっての有り難さは計り知れません。しかも実証的な研究者は、日本にも韓国にも少なからずいます。実証的な研究さえ進めば、こういう史実をねじ曲げた左翼プロパガンダは駆逐されていくのです。

 我々はこういう実証的な研究者をできる限り応援をすべきです。たとえば、この本を近くの図書館でリクエストして購入してもらい、多くの人の目に触れるようにすること、本を読んでの推奨コメントをSNSなどに投稿すること、等々。こういう地道な「一隅を照らす」努力が、「性奴隷」説などの左翼プロパガンダの闇を照らしだし、日本の未来を明るくしていくのです。
(文責 伊勢雅臣)

■リンク■(有料記事です)

・朝日新聞がでっち上げた「従軍慰安婦」プロパガンダ
https://note.com/jog_jp/m/m8ba45dec9985

・JOG(106) 「従軍慰安婦」問題(上)~ 日韓友好に打ち込まれた楔
「従軍慰安婦問題」は、こうして仕組まれた。
https://note.com/jog_jp/n/n73e70aa00eca

・JOG(107)「従軍慰安婦」問題(下) ~ 仕掛けられた情報戦争
 一部の日本人弁護士、ジャーナリストらが仕掛けた国際プロパガンダ。
https://note.com/jog_jp/n/nc10b57fbf641

・JOG(756)朝日新聞が伝えた「従軍慰安婦」の真実
 朝鮮総督府の警官たちは、婦女子を誘拐する悪徳業者と戦っていた。
https://note.com/jog_jp/n/n0e867d6e155f

・JOG(890)朝日新聞の「従軍慰安婦」報道小史
「私たちはこれからも変わらない姿勢でこの問題を報じ続けていきます」という朝日新聞の「姿勢」とは?
https://note.com/jog_jp/n/n16255ae9a2d8

・JOG(1292)「詐話紙」朝日新聞の落日
「詐話師ならぬ詐話紙」(『週刊新潮』)の販売部数激減が示すこと。
https://note.com/jog_jp/n/n396c49bd4537

■参考■(お勧め度、★★★★:必読~★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

・産経新聞R060201「ハーバード大学長更迭…逆差別「終わりの始まり」 米弁護士S・ギブンズ」
https://www.sankei.com/article/20240201-J2CCTMMJNVK7BFW7PRL4LRZYTU/?863912

・産経新聞R050220「歴史戦の大転換点」
https://www.sankei.com/article/20230220-6UMXAA7QYRI5XNGUHNGWGAFMOY/

・ラムザイヤー、ジョン・マーク、『慰安婦性奴隷説を ラムザイヤー教授が完全論破』★★★、ハート出版、R05
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4802401728/japanontheg01-22/

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