基礎講座「算命学」④陽占(初級)
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陰占に続いて、今回は陽占です。心理、おもに五本能(生まれながらにある精神的な欲求)とそのあらわれである性格を観ます。算命学は、性格を知るだけではなく、悩み/不安などの解決にも役立ちますが、そこで使われるのが陽占の知識/技法です。
今回はその基礎を解説しますが、他の占いや性格診断などと比較しながら読むと面白いと思います。
1.陽占とは?
陽占の構造
算命学では、陰占(狭い意味で「宿命」ともいいます)、陽占(「人体図」ともいいます)、後天運を用いて、宿命を読んでいきます。
たとえば、1994/12/7生のひとの「陰占」は次の通りで、日干=丁を自分、その他の干/支を取り巻く環境として、五徳や人物に置き換えて運勢を読むのでした(第3回を参照)。例(以下、同じ生年月日の羽生結弦氏を題材にします)では、目立つ天干に丙と甲がありますが、人物に置き換えると兄弟姉妹と母親だから、彼らと縁が深い宿命と観ます。
丁 丙 甲
卯 子 戌
陰占からは「陽占」が導かれますが、どう導くのかの前に、陽占の構造についてお話します。陽占は、次の通り、人間の身体になぞらえた8つの「場所」から成り立っています(向かい合ったときの相手の姿なので、左右は逆になっていることに注意してください)。
そして、それぞれの場所には、陰占の場所にある干から導かれた「星」と呼ばれる心理の特性が入ります。星には「十大主星」と「十二大従星」があって、それぞれがあらわす内容は異なります(後述します)が、頭/胸/腹/右手/左手には十大主星、右足/左足/左肩には十二大従星が入ります。
頭 左肩 主 従
右手 胸 左手 主 主 主
右足 腹 左足 従 主 従
この例では玉堂星/車輢星/石門星/龍高星/禄存星が十大主星、天胡星/天馳星/天印星が十二大従星です。
玉堂星 天印星
龍高星 車輢星 禄存星
天胡星 石門星 天馳星
星の読みかた
ここからどう心理(欲求/性格など)を読むのか、ザックリ言って、大きく三つの観かたがあります。
一つ目は、どれかひとつの星の意味だけで心理を読む方法で、中央の胸にある場所の十大主星(「主星」ともいいます)を観るのがポピュラーです。この例と同じ生年月日の有名人に羽生結弦氏がいますが、車輢星が主星で「競争好き」「負けず嫌い」などの意味があるので、そういう性格なのかなと当たりをつけることができます。
二つ目は、複数の星の関係から(それぞれの星の意味を超えた意味を)読む方法で、この場合、主星の車輢星の隣には龍高星があって金生水と流れるから「単なる勝ち負けではなくて、自分の理想を究めたいひとなんだろう」、そこに天胡星がついているから「そういうのを格好よくみせたいのかな」と、一歩踏み込んで分析することができます。
三つ目は、星と場所の関係から(新しい意味を)読む方法で、この場合、習得本能の場所に玉堂星という習得本能の星があるから「学ぶのが好きなひとなんだろう」、そこに天印星がついているから「そういう無邪気に学ぶ姿をみて、周りのひとがサポートしてくれるだろう」と、こんな感じで読んでいきます。
基礎では、一つ目の星の意味(「象意」ともいいます)をしっかり学びましょう。星の代表的な象意を3~5個ずつ覚えるとともに、星はいろんな出かたをするので、なぜそのような象意になるのかを理解することが重要です。
そして、鑑定では、話を聞いて「どの星をどう使っているのか」「使いかたのどこに問題があって悩んでいるのか」を考えましょう。
陽占の効用
陽占の星をうまく使うと心は満たされる(精神的な充足感を得られる)と算命学では考えます。幸福になれるかどうかは心の持ちようだといわれますが、物質的には恵まれなくても精神的に満たされていれば、ひとは幸福を感じるものです。陽占はそのためのカギですが、それは生年月日で異なるというのがユニークです。
心の構造を知るということは、性格を含めて、どんな人間なのかがわかるということです。どんな人間なのかがわかれば、どんな生きかたが向いているのか、なぜ悩んでいるのかなど、人生の課題を解決するのに役立てることができます。
陰占で運勢を改善するには(自分以外の要素が絡むので)限界がありますが、陽占は(自分の心の持ちようだけなので)精神的な幸福に直結します。陽占を単なる「性格当て」で終わらせるのではなく、自分や他人の心の問題を解決するためのツールとしても活用しないと、もったいないと思います。
陽占の導きかた
陽占は陰占からどう導くのでしょうか?
算命学の本には万年暦を用いた陽占の出しかたが詳しく解説されていますが、現在では(万年暦を用いなくても)生年月日を入力すれば自動的に陽占も出してくれるサイト/アプリが複数あるので、ありがたく利用しましょう。陽占の出しかたについては、なぜそう出すのかという理屈が重要で、それ抜きに手順だけ覚えても意味がないですし、もっと学習した後でないと理屈は理解できません。
ただ、次のことは、知っておいてください。
まず、陽占の星は、陰占の日干とその他の場所の干/支と関係から導かれます。すなわち、十大主星は日干と年干、月干、年支・月支・日支の蔵干(各1つ)(*1)との相生/相剋/比和から導かれる(計5つ)一方、十二大従星は日干と年支・月支・日支の関係から導かれます(計3つ)。
そして、導かれた星が入る陽占の場所は決まっています。
十大主星については、中央の胸は自分の場所で(自分が拠って立つ家系の場所である)月支の蔵干から出た星が入ります。その上にある北の頭(自分よりも上の位置)は親の場所で年干から出た星、その下にある南の腹(自分よりも下の位置)は子供の場所で月干から出た星、その左にある西の右手は配偶者(「右腕」という言葉があるように、いつも自分を支えてくれるひと)の場所で日支の蔵干から出た星、その右にある東の左手(自分と対等の位置)は兄弟姉妹/友人(自分と対等の立場にいるひと)の場所で年支の蔵干から出た星が入ります。
年支は母親の場所でそこから出た星が兄弟姉妹の場所に入るのは陰占と陽占の違いに起因します(詳しくは学習が進んでから学びます)が、簡単に説明すると、陽占では中央の縦の列は親/自分より前の世代→自分→子/自分より後の世代という生きている時間の異なる人物の場所、中央の横の行は同じ時間を生きて自分とは異なる空間=場所にいる人物の場所という思想があります。
では、陰占から導かれた陽占で心理を読めるのはなぜでしょうか?
人間は、生まれると同時に、気を吸って、吐くことで生命活動をスタートします。吸う気(吸うとは周りの気の影響を受けるイメージ)は生まれた時の干支暦(陰占)であらわされますが、吐く気(吐くとは周りの気に影響を与えるイメージ)は自分=日干を通って出てくるので、吸う気とは違います。
この吐く気を星であらわしたものが陽占で、(吸ったものを)吐くという主体的な活動であることから、これを読み解くことでそのひとの精神活動=心の構造がわかるというのが理屈です。
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