AIスタートアップニュースレター#3
OpenAIやGoogleなどからo3などの次世代AIモデルの発表が続いた2024年になりました。2025年はどういったモデルが発表されるか楽しみです。
今回は、a16zのおすすめAIプロダクトでも注目されていたコンテンツにまつわるAIプロダクトをご紹介いたします。
コンテンツ生成(Captions, Argil)
Captionsでは、AIアバター動画を生成できるプロダクトを提供しています。
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特筆すべきは、VCの豪華さです。a16z, クライナー・パーキンス、セコイア・キャピタルなどシリコンバレーのトップティアVCから調達しており、現在は$500Mのバリュエーションで総額$100M調達しています。 売上は見つからなかったですが、投資家陣や調達金額から察するに、OpenAIやAnthropicなどリサーチヘビーなAIスタートアップを除けば、AIプロダクトスタートアップとしてはトップティアの一つであると言えます。
プロダクトとしては、任意のトピックを話すAIアバター動画を生成できます。
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実際に使ってみたのですが、日本語対応されていました。ただ、対応されているものの、日本語音声の精度はこれからといった感じで、今後に期待ですね。
また、ユーザー数は1000万人、月次で生成される動画数は300万、DAUは10万人以上とのことです。プライシングは以下。
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彼らはアフィリエイトプログラムによってユーザーを獲得しています。
Captionsのユーザーにアフィリエイトメンバーになってもらい、彼らにcaptionsリンクをSNSなどでシェア。そして、そのリンクを踏んだユーザー数に応じて、アフィリエイトメンバーにバックするというモデルです。
コミュニティ要素が少なくネットワーク効果が効きづらい、ツール的なプロダクトにおいて、成長戦略としてのアフィリエイトプログラムが効果的な打ち手となるか興味深いです。
類似企業であるArgilにおいてもアフィリエイトを採用しています。
コンテンツ編集(descript)
descriptは、ドキュメントやスライドを編集するように、簡単に動画編集できるプロダクトを提供しています。
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具体的には、以下のようなユースケースに応じて、左のテキストをいじることで、右の動画を編集していきます。
動画内の一部分を削除したい。→ 該当箇所に対応するテキスト部分を削除する。
動画内に言い間違いを直したい。→ 該当箇所に対応するテキスト部分を編集する。(編集されたテキストに則って音声合成されます)
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プライシングはこのようになっています。
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Captionsでもコンテンツを編集できるため、コンテンツ生成と編集のセクションは同じでも良いのですが、それを分けた理由は、「ターゲットユーザーが異なるのでは?」と推察したからです。
コンテンツ生成スタートアップはクリエイター人口の裾野(コンシューマー寄り)を広げようとしているのに対して、コンテンツ編集スタートアップでクリエイター人口の裾野ではなくトップライン(プロシューマー、toB寄り)を上げようとしています。
事実、descriptのヘッダーにもあるように、descriptはUnderloadを強調しています。
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AIにOverload(意訳:コンテンツ制作(生成 + 編集))させるのでなく、Underload(意訳:コンテンツ制作の雑務≒編集、かつ編集は人の管理下で行われる)させるプロダクトを作っている認識が強いように見受けられます。
コンテンツ分析(viralmoment)
コンテンツの量が増えれば、分析する価値も高まるであろうという仮説のもと、コンテンツ分析にフォーカスした企業も存在します。それがviralmomentです。viralmomentでは、AIを使ったTikTokショート動画のデータ分析を提供しています。
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viralmomentの強みは、「収集動画の公平性」と「動画に最適化された分析観点」にあります。
収集動画の公平性
当たり前ですが、データ分析において収集するデータは公平性を期す必要があります。しかし、個人の趣味嗜好に最適化されたショート動画をレコメンドし続けるというTikTokにおいて、データの公平性は担保しづらいです。
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筆者は、viralmoment社における具体的な解決策を知り得ないためここからは推測になりますが、viralmomentでは、AIを活用し、人が閲覧できる数より多くの動画を取得させることで、個人の趣味嗜好にとらわれない、包括的なデータ分析を実現しているのではと考えられます。
動画に最適化された分析観点
とはいえ、高品質データを集めたからといって、良いデータ分析ができるとは限りません。良いデータ分析には、何を、どのように分析するかといった良い分析観点が必要です。
AIを駆使することで、いいね数、シェア数といった既存の指標だけでなく、登場するもの、テロップ内容、テロップの色、BGM音声など、動画要素自体を分析できるようになりました。viralmomentにおいても彼らオリジナルの分析観点を蓄積していると思われます。
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今回はコンテンツ関連のAIプロダクトをピックアップしました。弊社でもコンテンツAIプロダクトを開発中です。気になった方はぜひご連絡ください。それでは!