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博多屋台レポ 〜楽しい裏側にある歴史〜
福岡出身のジョーツマです。
先日、法要で実家に帰った時に北海道出身の夫が「屋台に行ってみたい」というので屋台へ行きました。
私は高校卒業後、関東と北海道に住んでいるので、出身地を言えば必ず「屋台いいよね、行ってみたい」と言われます。もう何回言われたかわかりません。
今回は博多の屋台の中では比較的新参の「レミさんち」と、対極に昔からある「喜柳」へ行きました。
この「新参屋台レミさんち」と「昔から存在している喜柳」は、どちらも博多の屋台文化を守ってくれた人たち。
守ったとは?と思われるかもしれません。博多の屋台は、実は一時期、存続の危機がありました。
ぜひ前段の歴史を踏まえて、後半の訪問レポを楽しんでいただければと思います。
博多の屋台は行政施策により衰退していた
博多の屋台は「楽しそう」というイメージが強いと思いますが、今日までの存続には長い歴史があります。
なんと観光客の人には信じられないかもしれませんが、この屋台文化がなくなってしまう危機があったのです。
詳細はこちらの記事をご覧ください。
この記事の一番下の年表をご覧ください。
2000年『福岡市屋台指導要綱』施行で合法的に屋台を認可、「原則一代限り」が確立
この「原則一代限り」とは「今営業をしている人たちだけね」ということです。
つまり博多の街はかつて実は「屋台は減らしていく」傾向にあったのです。(詳細は下記参照)
そして出典が自分の父親なので定かではないのですが、確か「世襲制」と聞いたことがあります。つまり自分の直属の子どもしかお店をつげない。多分それが「原則」の意味だと推測します。
一代限りの撤廃と新規公募
しかし2016年。話は変わります。
2016年 屋台の移転再配置と公募環境を整備して初の『屋台公募』を実施
簡単にいうと「やっぱり博多の屋台文化を守っていこうね」となり、新規に屋台を開きたい人を公募することになったのです!
原則一代限りと言っていたところから、真逆の方向に向かう。関係者がどれだけ協議したことでしょうか。とにかくそれがあって、今日の屋台の灯火は守られているのです。
こうして福岡の街に「新しくオープンする屋台」のニュースが飛び交います。
この時、地元で最も注目を集めたのは「フランス人が博多で屋台を出す」というニュース。
これが「レミさんち」なのです。
レポ①注目度No.1の「レミさんち」
屋台は観光客で賑わうので、基本的に有名店はどこでも混んでいますが、レミさんちはレベチです。
私が行ったのは土曜日の21:20。
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並んでいるのはみんな20代の若い人たち。うちの夫は54歳ですが一番最高齢だったのでは……笑
並ぶのでやっぱり地元の人や年齢が上の方は行かないのかもしれません。
・他にはない楽しい待ち時間
うひゃーと思いましたが、やっぱり一度は行きたい!幸い、居酒屋でご飯は食べていたし、最近レジャーで並び慣れていたので並びました。
でもレミさんちの待ち時間は、少し楽しいこともあります!
スタッフの方がメニューを持ってきたり、オーダーを取りにくるタイミングがあります。
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このときのコミュニケーションが楽しい!とにかく陽気でふざけてくるんです。みんなくすくす笑わされます。
他にも並んでいたらレミさんが「みんな待っていてくれてありがとうね〜!」と声をかける姿も。
「僕も並ぶぅぅぅ!」と言って、急に並んでいる人のところへ行ってることもありました。
まるでディズニーランドのキャストのようなサービス精神です!
▪️優しいフランスの家庭料理!
さて、21:20から並んだ私たちは23:00ごろにようやく入店。
1時間半かかったけど前述のとおり、楽しく待たせてもらえたので、思ったほどでは。
ちなみにお席は45分制です。オーダーは並んでいる時に通しているので、着席と同時にドリンクが出てきます。
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食べたタイミングを見ながら、お料理も次々運ばれてきます。
おすすめのキッシュはカボチャなど秋の味覚が詰まっていておいしい!ワインに合う味です。シェアしたけど一人一個でも余裕だったな……。
他にも鶏肉のコンフィ、エスカルゴ、アヒージョなどをいただきました。
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「カタツムリ!」と言われます笑
味付けはびっくりするほど優しい!外食って結構味が濃くて塩分多めなんですけど、レミさんの作るご飯は本当に家庭的。
くどくなくて、永久に食べられそうな感じです。
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フランス料理って高級レストランに行かないと本物をあまり食べれないけど、こんなふうに気楽に食べれてとても幸せ。
▪️楽しいレミさんの客いじり
レミさんは客いじりもお得意。
キッシュを渡す時は「キッスゥ!」と投げキッスをしてくるし、みんなの出身地を聞いて大いじり。
大阪の子には「キミ本当に大阪?静かすぎるヨ!」とエスカルゴ用の穴がくぼんだお皿をお客さんにパス。
まさかのモノボケをやらせようとするw
ちなみににそのお客さんは一人できていました。一人で来ている人にこそ、たくさん話しかけていました。優しいね。
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レポ②博多屋台の代表格「喜柳」
▪️クッキングパパと「喜柳」
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私が喜柳を知ったのは小学生の時、クッキングパパで。この漫画は博多が舞台なのはご存知でしょうか?
筆者のうえやまとち先生も、本当にある屋台を漫画の中でたびたび登場させていました(実家に100冊以上あります)
ちょっと何巻か記憶がないのですが、漫画の単行本の一番最後に「屋台ルポ」として3ページぐらいで紹介されていたと思います。3〜5巻だったと記憶。正月に実家で調べてきます。
そのほか、漫画の中で主人公の荒岩さんが東京から来た客人にハシゴさせる中でお店を紹介する……といったものがありました。
「喜柳」はそのとき「天ぷらがうまい」「おばちゃんと話してこそだ」という形で紹介されていたと記憶しています。
今の「喜柳」は男性店主で、天ぷらのメニューはありません。しかしお店にはうえやま先生の書いたイラストが飾ってあります。
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ネットで調べても書いてないのですが、一時期世襲制で生き残ったのであれば、今の店主は息子さんではないかと推測します(違ったらすいません)
▪️多様なメニュー!今回食べたもの
夜0時すぎに少し並んで入店。
寒かったので博多ラーメンはマストで決めていました。そのほかに名物「もちもち餃子」「鶏バーグ」なども頼みました。
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▪️屋台ならではのお客さんとの絡み
偶然なのですが私たちの隣にはドイツ人の若者と、独学でドイツ語を勉強した日本人の若者がいました。
その男の子がけっこう酔っ払っていて、気づいたら絡み芸。笑 なんか仲良くなり、一緒に喋っていました。
私も英語は軽く話せるので、ドイツ人の彼とも英語でコミュニケーションがとれました。
こういうのが屋台の楽しさですよね。
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しかし後半、6人ぐらいのドイツ人団体がやってくる。しかもハロウィンの仮装済みw
それを見たドイツ人君は「僕は日本が好きなんだよ、ドイツ人と絡みたくないんだ」とトイレに逃走。その間に酔っ払い日本人くんがドイツ語で話しかけると、ドイツ人たちは大喜び。
いろいろカオスな状況になっていたので、そのスキに私たちは帰りましたw 帰りにドイツ人君がトイレから戻ってきて、状況を伝えると「じゃ、俺も帰ろう(ドイツ人たちと絡みたくない)」という感じでした。笑
▪️おわりに
・余談〜帰り道〜
気づけば深夜1時過ぎ。ハロウィンの週末ということもあり、街中、特に天神駅の真横の警固公園は警察が徹底警備。
あとで知ったのですが、警固公園はかなり治安が悪いようですね。私が高校生のときは、クリスマスにみんながイルミを見にいくところだったのに……。
そこから10分歩いて赤坂のホテルに帰っている時、ナンパを数件見ました。女の子たちも断り慣れてますね。。
こんなんだったっけか、と自分の高校時代を思い出しながら歩いていました。30代になった今は、親父狩り・オバ狩り?を心配する始末です。
・博多の屋台を守る人々に感謝
話がそれてしまいましたが、博多の屋台事情はいかがだったでしょうか?
今もたくさんのルールがあり、お店の人は「朝4時までに全て撤収してないと営業停止」と言っていました。だから2時までにクローズして、その後片付けだそうです。
また、椅子もすきなところで座っていいわけでなく、のれんの下で食べることがルール。
これもドイツ人たちが好きなところに椅子を持って行こうとして、お店の人たちが大慌てでやめてくれと止めていました。
言うても屋台は、公衆の道路の上にあるわけです。
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公衆の場とは、みんなで使う場所。観光客のための特別な場所ではありません。
だからこそ、かつて衰退の危機もあったわけです。
今、こうして文化が継承されているのは、ルールを守って、他の人に迷惑をかけずに、一般市民の生活と共存ができているから。
博多の屋台に行くと、トイレが近くになかったり、並んだり、そういったルールもあって不自由にも感じるかもしれません。
しかし、その上でうまくやれているんだということ、忘れずに楽しんでいただければと思います!