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足跡が作り出すストーリー 嘉義溪口の伝統と風味

台湾の南部にある嘉義県、その一角の溪口という小さな町に足を踏み入れると、そこは静かで美しい田舎風景が広がっています。人々はゆったりと時間を過ごし、心地よい風が吹き抜ける道をゆっくりと歩きます。今回は、そんな溪口で一番のお散歩コースである「中正路-前段」をご紹介します。


この道は約8メートル幅で、かつては町と外界とをつなぐ唯一の道でした。道沿いには色褪せた美しさが残る古い薬局「張濟生中藥房」があります。昔、ここでは煎じ薬を作るための煙が木材を黒く染め上げていました。今もなお、その木材からは時の流れを感じられます。なんと、この建物が建てられた当時に引かれた電線が今も使われています。エアコンは接続できませんが、その代わりといえば、風通しがとてもいいのですよ。



さらに驚くことに、この薬局の床は、かつての「土」だそうです。何年もの間、人々が歩き続けることで固まり、現在の床になったのだそう。この木製の床には緑色の苔が生えており、その風合いがとても素敵です。


また、壁にはかつて油缶だったものが、巧みな手仕事で薬品の保存用ボックスに再利用されています。色々な動物の名前が書かれた箱が壁一面に並べられていて、なんともノスタルジックな雰囲気が漂っています。


この町でおすすめなのは、地元で大人気の「豚血スープ」。一杯のスープに豚の腸や肝臓がたっぷりと入っています。スープをすくうと、豚皮、脆い腸、豚の胃、肉、さらに豚の頭皮や耳まで出てきます。その豊富さに驚くこと間違いなしです。

そして溪口といえば、酸菜の名産地でもあります。オーナーの陳さんによれば、この豚血スープには酸菜が加えられ、その味を引き立てるそうです。
陳さんが言うには、「この土地は生命力と地元の美しさに溢れています。」。確かに溪口は小さな町ですが、その魅力は大きいです。その静けさと、伝統と歴史の香りが見事に融合し、訪れた人々に強い印象を残します。それこそが、この美しい嘉義溪口の魅力なのです。

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