故郷に帰って
12年前に起こった地震と津波。多くの人々が被災しました。その中には、請戸小学校も含まれました。先生も生徒も、近くの山に逃げることで助かりましたが、校舎は「震災遺構」として残されました。
当時生徒の一人、今年の春、浪江町に帰還しました。大平山の高台に住むことになり、再び浪江での生活を始めました。
そんな折、久々に請戸小学校に立ち入る機会がありました。そこには、あの時と同じ姿で、彼を迎えてくれる教室がありました。そこには、震災前の彼たちの記憶と、震災後の記憶が、両方とも深く刻まれていました。そして、それらをつなぎ合わせてくれる、唯一の存在となっていました。