マーケットでまちを変えるという話
福島県須賀川市の街中で、第70回という脅威の継続をしている噂のRojima(ロジマ)というマーケットイベントに行ってきました。
公式HPはこちら。
正直、想像以上の取り組みで、街中の空き地とかを使ってうまく回遊する仕組みを作っていて、ほんと素晴らしいなーと思いましたので、今回は、そのレポートです。
まずは、雰囲気を掴んでもらうために、イベント写真をいくつか貼ります。
私が、その辺りのイベントと一線を画してるなーと思ったのは、やりやすい広い一箇所の公園とかを借り切ってやるだけじゃなくて、“あえて”面倒な場所の交渉とかも乗り越えて、街中にこだわってるところ。主催者の並々ならぬ街への愛とエネルギーを感じました。
普段は、きっと寂れている街中もこの日ばかりは人が溢れるんだろうなーと思いました。
出店者の方が言ってた「今日は人少ないなー」が印象的でした。私の感覚では、これはかなり集客も出来ていると思ったくらい、人が歩きまくっていたからです。
私が行ったのが肌寒い雨もパラつく12月なので、もっと季節が良いときには、スゴいんだろうなと思いました。
私の学びや気付きを以下にまとめます。私も、こういうマーケットイベントの企画運営をやったことがあるので、マーケットをまちづくりに生かそうという実践者目線の話です。
・マーケットの規模と集客は比例するということ。
一つ一つのお店は、レベルの高いものから、正直イマイチなものまで玉石混交に感じましたが、その集積のパワーが出ていて、見ているだけで何かに出会えそうな多様性がありました。まさに“都市”に私たちが求めるワクワク感です。だからこそ、できるだけ大きなマーケットに育てることが大事なんだと思いました。
・集客ができるマーケットは、出店者が集まるということ。
結構、遠方からも出店者が来ているようで、私が寄ったコーヒーショップは、会津から来ていました。私のいわき市の友人もよく出店していると聞きます。きっと、出店料が多少高くても、あれだけ集客出来てたら、喜んで払ってくれることでしょう。つまり、うまく成長するマーケットは、集客力があるということです。集客力は、コンテンツが魅力的なことも必要ですが、簡単なのはまずは規模だと思いました。
・街中のマーケットは、人の動線上のお店が巻き込まれて面の広がりをつくること
出店者を良く見ると、どうも自分の固定店舗の目の前に屋台みたいなものを出しているパターンがあることに気付きます。また、屋台もなくて純粋に固定店舗自体を参加店にしているものも見受けられました。
・街中にはみ出すと、規模の制約が外れて、どこまでも拡張可能であること
これぞ街中を使うマーケットのパワーです。始めは小さくても、人気が出てきたらどんどん拡張していけます。ロジマも今は130店舗くらいらしいですが最初は20-30店舗くらいだったとどこかで見ました(継続は力なりですね)。需要によってマーケットは小さくなったり大きくなったりできるわけで、その辺りの可変性が街中でやる魅力かと。
・市役所の広大な無料駐車場と点在する会場をつなぐ回遊動線が、地方都市でのマーケットとして秀逸。
やはり地方でやるには広い駐車場が必須ですね。でも車を降りたら、その先には歩いて楽しい状態をつくっている。市役所から商店街を歩かせて、何箇所かある中規模会場を繋いで、飽きさせずにぐるっと回って歩く動線がきちんと考えられてる。たぶん半径200mくらい。
・回遊動線上にない店舗や広すぎる広場は、人が立ち寄らず苦戦してそう
明らかに飛び地の立地は人が来ていなそうでした。また、広い広場だとお客との距離が出てしまって立ち止まって貰えてなさそうでした。
・歩けばこそ、まちの既存コンテンツにも出会う
たまたま見つけた「ウルトラマンショップ」には、私も吸い込まれてしまいました笑。(須賀川は、ウルトラマンの産みの親円谷英二の故郷)
今回は、主催者にはお話を聞けていないので分かりませんが、マーケットの開催によって、まちの可能性に気付く出店者が出てきたりして空き店舗が埋まったり、駐車場にお店が建ったりするところまでいくと、「マーケットでまちを変える」ところまで出来たと言えるかなあと思うところです。ちなみに、仕掛け人は、私も参加した都市経営プロフェッショナルスクールの卒業生らしいので、またタイミングが合えばお会いしてみたいなーと思います。
そうそう、タイトルにもしてみた「マーケットでまちを変える」は、同名の書籍がありまして、こちらも良本でしたので紹介しておきますね。マーケットに関するあれこれや考察、自分でのやり方、ロンドンや日本のマーケットの事例たくさん出てくる本です。ロンドンでは、マーケットが定期開催されるまちは不動産価値が上がると調査結果が出て、観光戦略や都市戦略にも位置付けられているそうです。
久しぶりに、他都市の取り組みに触れて大いに刺激を貰った週末でした。やはり、なんとなく知っているのと現地で体験するのでは、気付くことが全然違いますねー。
ではでは。