世界のトップを譲る時

先日、世界のトップレベルで活躍してるパリのデザイナーと話をしていた時のこと。彼の師匠が、数多くの弟子の中から後任として彼を選んだのですが、その理由を聞いたらこう答えてくれました。

理由はわかりません。なぜですかね?でも、先生はとても素敵な人で、若い時に単身でパリにきて、その時に…
(ここからその「先生」の歩んできた軌跡を長時間、語り出しました。)

これが、その先生が後継者として彼を選んだ理由の一つではなかったのではないでしょうか。その先生の歩んで来た道をこれだけ語れる彼は、その人の軌跡を感覚として体験してる。つまり、先生の見てきたものを観て、感じてきたものを観じているのではないかと。

私は仕事柄、事業承継した経営者とお話をする機会が多いのですが、「父がなかなか経営を譲ってくれない。なぜなら、自分の役割がなくなるのが怖いから、存在価値がなくなるからです」という話を多く聞きます。

確かにそれも一理ありそうだなと思うのですが、本当にそうなのかな?とも思います。

先代が経営を譲りたくない、本人も気付いていない本質的な理由があるのではないかと考えてます。それは「自分の観ているものを後任が理解してくれていない不安と寂しさ」ではないかと。「父のやってきたことは素晴らしいと思うし、すごいとも思う。でも、これからの時代はそれではダメなんです」と事業承継をした社長。そうかもしれないけど、そうでないかもしれません。


先日のnoteで書いた、
「その人を見るのではなく、その人が見ていたものをみる」というサグラダファミリアの彫刻家:外尾悦郎氏の言葉を思い出しました。
https://note.com/joe_tsugu/n/n075663ab1604


この言葉は、事業承継に関わる人にとってはとても、とても重要な一言ような気がします。


秋山ジョー

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