文学フリマ東京38にて頒布した『華焔』Vol.2に掲載の詩、「Noahの」について、数人の方から戴いた感想の中に、「難しい」という意見がありました。 折角読んで下さった方を混乱させてしまうのは本意ではないですし、多くの方にもっと気軽に詩を読んで貰いたいので、この機会に少しだけ説明します。 パレスチナ問題をどう考えるか、というのがまずあって、そこから回文を使って制作しました。 回文について述べます。 昨年、Espace Louis Vuitton Tokyoで開催され
怪物の夢に関する記録 十二月十日、と、私であるように思われる何者かは書いた気がする。 状況から判断するとそういう事になるが、書いた覚えはない。私は(否定する根拠がないので仮に私とするが)、ここに独りでいる。ここは部屋で、私は書き物机を前にして椅子に座っている。目の前の壁には風景写真入りのカレンダーが掛かっているが、風景は見知らぬもので、「鰭島/異客海岸」と右下の隅に印字されている。手前に白い砂浜、波打ち際に卓と二脚の椅子、その向こうに青い海と空がある。満ち潮なのか、卓