混乱のラプンツェル【掌編小説】
そのお姫様は堅固な城の、石造りの塔の上の小部屋にいた。窓に掛けられた長いはしごを上ると、彼女はその牢の部屋で、迷彩のオーバーオールを着て作業に没頭していた。
美しいはずの長い髪は無造作にくくられ、白く細いはずの指には機械油がこびりついている。お姫様らしいピンク色のドレスは椅子の背にかけっぱなしで、金のティアラのほうはテーブルに、それも食べかけのトーストや開いたままの雑誌になかば埋もれて置いてある。
「囚われのお姫様」は、自作のトラップの動作を入念にチェックしていた。彼女を