バッファローの歩き方
はじめに:バッファローはただの受験地にあらず
別途記事にしましたとおり、ニューヨーク州バッファローで3回、同州の司法試験を受けました。毎回数日前には現地入りしたは良いものの、過酷なプレッシャーから逃避するように、また試験後は開放感とともに、随分とこの街を歩いたものです。自分で言うのもなんですが、これほどバッファローの土地勘を得た日本人弁護士はなかなかいないのではないかと思います。控えめに言って、バッファローはとても味わい深い場所であり、ただの受験して帰るにはとても勿体無い場所です。今後この地を訪れる日本人(主にNY司法試験受験生)のために、この街の魅力と歩き方を残しておきたいと思います。
宿泊場所:ハイアットよりウェスティン
ハイアットリージェンシー
https://www.hyatt.com/en-US/hotel/new-york/hyatt-regency-buffalo-hotel-and-conference-center/buffa
受験生にとっては定番のホテルですね。利用するのであれば早めの予約必須です。このホテルは受験会場に隣接しているので、①集合時間直前まで自分の部屋で試験準備できる、②試験当日の昼休みに部屋に戻って勉強できる、といったメリットがあります。
一方、他のホテルも会場からそれほど離れていないので①の優位性はさほどないように感じます。また、昼休みはとにかくホテルのエレベーターがかなり混むため、部屋に戻るだけで時間と労力が削られる一方で勉強に充てられるのはせいぜい20分前後です。勉強道具は試験会場の別室荷物置き場なら持ち込めるので、②のメリットもあまりないというのが個人的な意見です。
ただ多くの友人の多くもここを利用したので、対面で励まし合えるのは精神的な助けになりました。また、2日目の試験終了日にはシャンパンを振る舞ってくれるのも粋なサービスです。加えて、1階のスタバは開放的な雰囲気で、部屋での勉強に疲れたらこちらで勉強するのも気分転換になるのではと思います。
ウェスティン
2回目の試験結果が分かるのが4月上旬なのですが、その際にはすでに、次の7月試験日程のハイアットリージェンシーは満室でした。2月試験は受験者が少ないため7月の試験結果発表後でも予約できたのですが、7月はすぐに部屋が埋まるので注意が必要です。
そこで、まだ空いていたウェスティンを予約しました。値段も高めな分、ホテルとしてのクォリティはとても良かったです。
ハイアットリージェンシーの部屋は、良く言えばクラシカル、悪く言えば古くて面白みのないものですが、ウェスティンはモダンな芸術性の高い内装で、試験前の緊張を程よくほぐしてくれました。レストランも洗練されており、受験生も少ないので独特の緊張感なく気分良く食事できます。
開放的なジムもあり、試験前日は軽く運動して良い睡眠を取ることができました。
会場までも徒歩10分はかからず、スマホを部屋に置いてきても(注;スマホは持ち込み禁止、会場に荷物室ありますがセキュリティは不十分)問題なく辿り着けます。総じて、大変満足のいく滞在でした。
おすすめレストラン:試験後は牡蠣とステーキで乾杯
Buffalo Chophouse(ステーキハウス)
このレストランが好きすぎて、受験後のディナーは毎回ここに行きました。計3回の訪問です。本場の分厚いニューヨークステーキを伝統的な建物とサービスの中で堪能できます。試験が終わるまではなかなかお祝い気分にもならないのですが、待ち時間が長くなる場合もあるので、事前の予約を推奨します。
ステーキだけでなく、オイスターも新鮮です。二日間の激闘の後、冷たいビールや白ワインと流し込んだ濃厚な牡蠣の味は、生涯忘れることはないでしょう。
Frankie Primo's +39 (イタリアン)
ランチで何回か訪問しました。アメリカでは当たり外れの激しいイタリアンですが、ここは間違いないです。いずれのパスタも繊細な味付けかつボリュームもあり、最後の追い込みのエナジーチャージをできました。店員さんのホスピタリティも素晴らしく、空いている時に行くとお菓子やデザートワインをサービスしてくれます。
観光:滝だけはない!
ナイアガラの滝
多くのバッファロー受験組は、試験後に訪問を計画していると思います。ホテルからウーバーで乗合すれば、さほど高くつかず到着できます。ただ、カナダ側から見た方がより美しいとも言われており、国境を越えるには事前に大学の署名済みI-20を用意しておく必要があります(帰りに再入国の扱いになるため)。私はこれを準備しておらず、残念ながらアメリカ側のみの観光となりました。
それでも、生まれて初めて見るこの壮大な滝は圧巻でした。滝の真下まで行けるクルーズ船にものり、大自然の雄大さを肌で感じることができました。
なお、2月受験の場合、凍結したナイアガラの滝をライトアップする催しもあるようです。しかしこれも見ることができるのはカナダ側からのみで、I-20の準備が必要のようです。
セオドア・ルーズベルト国立史跡
実はバッファローは、第26代大統領のセオドア・ルーズベルト(日露戦争後に両国を調停してポーツマス条約へ導いたことで日本史上にも登場します)がその就任式を行なった地としても有名です。当時の様子が忠実に再現されており、歴史が好きな方には、試験後に余裕があれば是非訪れていただきたい場所です。
おまけ:スーパーマーケット
早めにバッファロー入りした場合、食事を全てホテルで済ませると高くつくので、まずスーパーに行った方が良いです。ここのスーパーはこじんまりしていますが、清潔感あり基本的な食料品や飲料は(試験会場に持ち込める1Lのペットボトルやスナックも)ここで手に入ります。これ以外には、私の知る限り十分な品揃えのスーパーはありませんでした。
おわりに:I love Buffalo
以上、3回にもわたるNY Bar受験経験の副産物として蓄積された、バッファローの歩き方をシェアさせていただきました。西海岸留学では経験できない古き良きアメリカの空気感、また2月に遭遇した肺まで凍りそうな寒波でさえも今では忘れ難い良き思い出です。NY Barは(多くの人にとって)苦しい試験ではありますが、受験前でも少しだけ気分転換に、そして試験後には全力で、バッファローを堪能していただきたいと思います。受験される方が少しでもこの街を楽しむための一助となれば幸いです。