プロ作家・脚本家たちが使っている シナリオ・センター式 物語のつくり方(新井一樹)
※ざっくりいうと
この書籍は、「シナリオ・センター」副社長の新井一樹氏が長年のノウハウをもとに、「シナリオ作りに悩んでいる人」や「これからシナリオを書いてみようと思う人」など幅広い方に向けてシナリオづくりの指針を示してくれる良書です。氏の祖父はシナリオ・センター創立者の故・新井一氏(97年没)。新井一氏が発表したシナリオ指導本は引用作品が古くなっていたり、時代背景が古くなっていることなどがネックに思えましたが、その部分を含めて、漫画原作やゲームシナリオなども少し言及するほど現代にアップデートされています。
創作の地図を手に入れよう
・創作は「何を書くか」×「どう書くか」
・創作術とは人間を描くためのもの
・「創作の地図」を持っていないと起きる7つの問題
物語の姿を知ろう
・才能があるのか、ないのか
・ドラマとストーリーを分けて考える
・面白い物語をつくるには
「正しく悩む」ために頭をつくり変える
「創作の地図」を頭に描け
物語の設定のつくり方
・物語の設定を考えるための3つの要素
・「テーマ」を使ったアイデアの出し方
・「モチーフ」を使ったアイデアの出し方
・「素材」を使ったアイデアの出し方
登場人物のつくり方
・観客・読者が登場人物を欲している
・登場人物が物語づくりを加速させる
・魅力的な登場人物に感情移入する
・登場人物の魅力をつくる
・正しい履歴書のつくり方
・登場人物の関係性のつくり方
・登場人物を描き分ける
物語の構成の立て方
・構成は型を破るためにこそ身につけるべし
・起承転結を使った構成の立て方
・起・承・転・結、それぞれの機能
・「箱書」は構成を立てる最高のツール
・箱書を使った構成の立て方
・「起」のポイント
・「承」のポイント
・「転・結」のポイント
シーンの描き方
・そもそもシーンとは何か
・人間が描けているか
・人間を描く上でのセリフの考え方
・次のシーンが見たくなるか
・画になるか
物語の活かし方
・シナリオを書きたい人、小説を書きたい人へ
・自分史やエッセイを書くときのコツ
・マンガ原作をつくるときのコツ
・ゲームシナリオをつくるときのコツ
※最後に
本書は、シナリオづくりの基本となる概念や考え方を極めて洗練された言葉で教えてくれます。他の類似した指南書では、読者のほうが読み替える必要があったり、言葉や考えの定義についてブレやすくなるのですが、この書籍ではブレがとても起こりにくい表現で「そもそも論」をすり合わせることができます。
また、箱書きや「ストーリー」「構成」「シーン」の構造を丁寧に理解させてくれる部分もおススメで、シナリオライターにとってはライバルが増えるのではないかと思わせられるほど、わかりやすく、要点を解説してくれます。何より、読みやすくて前向きで、クセが少ないのが素晴らしいです。
ハリウッドメジャーの三幕構成を学習したいと思っても、難解でなかなか習得できないという方にも、本書で基本的なとらえ方を身につけてみると良いと思います。
▼元祖とも言える新井一氏による、シナリオ作法入門。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?