見出し画像

全員戦力化により企業価値の向上を目指す。その実現に向け「戦略人事」を実践したい。

近年、人材を「資本」と捉え、その価値を最大限に高める人材戦略を実践し、企業価値の向上につなげる人的資本経営が注目されている。さらに、2023年3月期決算以降は上場企業などで「人的資本の情報開示」が義務化されるとあって、情報開示がクローズアップされている。こうした流れの中、情報開示の重要性は認めるものの、人的資本経営の土台となる「戦略人事」の実践を怠ってはいけないと指摘するのが、人材マネジメント論の第一人者である学習院大学経済学部教授の守島基博氏だ。


前編では、日本企業における「戦略人事」の現状やその実現に向けて人事部が果たすべき役割、全員戦力化の必要性などを伺った。
【前編はこちらから】

■前編の目次

  • 全員戦力化に向けては、適所適材で考えるべき

  • データ活用は重要だが、むしろ現場感を大切にしてほしい

  • 人事はビジネスと人の心のバランスを考える必要がある


後編では、全員戦力化に向けた組織のあり方やその実現への流れ、「戦略人事」を巡る課題などを伺った。
【後編はこちらから】

■後編の目次

  • 「戦略人事」が徹底されていなければ、人的資本経営の開示に意味は

  • 「戦略人事」を考えるには難しい状況。マインドセットが全社レベルには浸透していない

  • 人事部の役割は制度や仕組みを作り、経営課題を解決すること

  • 戦略の実現には、全員戦力化が不可欠


守島 基博氏
学習院大学 経済学部 教授

80年慶應義塾大学文学部社会学専攻卒業。86年米国イリノイ大学産業労使関係研究所博士課程修了。人的資源管理論でPh.D.を取得。カナダ国サイモン・フレーザー大学経営学部助教授。90年慶應義塾大学総合政策学部助教授、98年同大大学院経営管理研究科助教授・教授。2001年一橋大学大学院商学研究科教授を経て、2017年より学習院大学教授。18・19年年同学副学長。2020年より一橋大学名誉教授。著書に『人材マネジメント入門』、『人材の複雑方程式』、『全員戦力化 戦略人材不足と組織力開発』、『人材投資のジレンマ』(以上、日本経済新聞出版)、『人事と法の対話』(有斐閣)などがある。