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幼き頃の、謎の線路との出会い。(ぼっち旅の原体験①)
ぼっち旅のことを思い出してるうちに、昔の思い出が蘇った。
忘れかけていた、幼い頃の体験だ。
正直、かなり記憶がおぼろげである。
記憶の断片をつぎはぎのようにつなぎあわせて、やっと、
「ああ、そんなことがあったかもな」くらいにしか思い出せない。
でもあれは、今の私の旅行好きに通じる、原体験だったような気がする。
それについて、何回かに分けて、つづってみようかな。
最初にお断りしておくと…
あやふやな記憶を思い出しながら書いたので、事実か虚構かも、かなりいい加減です。
また、大したオチもありません。
冒険小説的なスリルを期待されている方には、申し訳ないのですが。
※鉄道の軌道内に侵入するのは、違法行為です。ご注意ください。
本文も、あくまで虚構、フィクションとして、お読みいただければ幸いです。
転勤族の親のもとに生まれた私は、小学生の頃、ある地方都市に住んでいた。
主な交通は、路面電車とバス。
鉄道といえば、道路の中央を走っているもの。
それが、その街では普通に見られる光景だった。
いわゆる大都市圏で見られるような、柵に囲われた複線の軌道なんてものは、都市中央拠点駅かその沿線くらいでしか、見られない。
そんな都市の中にある、港に近いある町に。
私達、家族が引っ越してきて、しばらく経った頃のこと。
町の中に、長い土手が走っていた。
大きな川の河川敷で見られる土手のように、小高い丘になっている。
自宅から数百メートルくらいの場所に、だ。
だから、近いと言えば近いし、こどもの距離感でいえば、遠いと言えば遠い。
ある日。
その土手の近くをたまたま通りかかった時。
ふと気になった。
「この土手の向こうって、どうなってるんだろう?」
「川でも流れてるのかな?」
思わず、駆け上がって登ってみた。
川らしきものは、何もなかった。
土手の向こうも、なんの変哲もない、普通の町。
しかし、その土手のてっぺんに上がって初めて、意外なものが、足元に横たわってるのに気づいた。
線路だ。
一本の単線軌道が、ヒョローっと、遠くまで延々と伸びている。
「なに、これ?」
線路といっても、砂利など敷いてない。
年月が、線路と線路の間に土砂を累積させ、雑草まで生えている。
だから、パッと見ただけでは、線路が走ってくることすら、すぐにはわからない。
もちろん、架線などない。
柵もない。
駅らしきものも、見当たらない。
そもそもこの町にきて以来、列車の姿どころか音や気配すら感じたこともない。
だから、下から見上げてる限り、こんなところに線路があるなんて気づきようがなかった。
車道と隔絶された鉄路が延々と伸びる光景なんて、この街に越してきてからは、初めて見るものだ。
線路を発見した瞬間は、普通に驚いた。
とはいえ。
その日は、それ以上どうすることもなく、すんなり土手を降りた。
元来、私は、それほど冒険的な性格でもない。度胸も、さしてない。
むしろ、幼い当時から、臆病で慎重だった。
だから、多少不思議なものを見たからって、にわかに「冒険しよう!」とか「謎を突き止めよう!」なんて風には思わなかった。
ただ、それから、しばらくしてからだ。
結構な時間も経ち、冷静に考えるうちに、自分の中で、うすうすと、あの線路について疑問が湧くようになった。
「あの線路、いったい、何が走ってるんだろう?」
「あの線路、どこまで続いているんだろう?」
いつか、あの線路の行き先を知りたいな。
なんて、ぼんやりと憧れるようになった。
今回はここまで。
このあと、しばらく後に、その線路沿いを歩いてたどることになります。
長くなりますので、それはまた次回。
2024.10.11
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