グリーン車に、みどりが好きな小学生、ひとりで乗る。(はじめてのぼっち旅①)
「私ひとりで、大阪に行く!」(←9歳)笑。
またしても、そんな記憶を掘り出した。
「あー、そんなこと、あったあった」って。
忘れかけてた記憶って、まさに芋づるのようで。
一つの記憶を思い出すと、別の記憶がくっついてくる。
今回は、そんなお話。
今回も長くなりそうですね。数回に、分けます。
私が小学校4年生のときの、春休み直前のこと。
「大阪に住む親戚のところに遊びに行こう。」
しかも、今回はなんと。
「私ひとりで行く!」
と、来たもんだ。
一人で旅をするのって、どんな気分なんだろう。
何だか大人っぽくって、ワクワクする世界に入れそう。
そんな好奇心が、もうこの頃から、芽生えていた。
ちなみに、よくよく考えたら、これは私の生涯初めてのぼっち旅。
いわば、ぼっち旅・エピソードゼロである。
計画は、こうだ。
広島から、新幹線で、新大阪へ。
そのあと、難波へ。(たしか、地下鉄だったかな?)
最後は、泉北交通で「光明池」へ。
光明池には、叔母が住んでいる。そこで、ゴール。
て感じだ。
電車のことは、父親の出張が多い影響で、そこそこ知っていた。
そして、な、なーんと。
新幹線は、グリーン車!
しかも、
食堂車で、一番高いメニューを食べる!
小学4年生ひとりで、だ。
そんな、ぜいたくな、にくたらしい計画を立てた。
今だからこそ思いますが、親に感謝ですね・・・。
なまいきエピソード①グリーン車の小学生。
なんでグリーン車に乗りたがったんだろう。
そもそも、グリーン車ってなんなのか、知らない。
でも「グリーン」っていうくらいだから、緑色なんだろうな。
私、緑色、好きだし。
じゃあグリーン車に乗りたい!
こどもらしいというか、無邪気というか。
ちなみに、いちばん好きなのは、クリームソーダの緑色。
明治屋のシロップ(メロン味)なんて、もし、ビンごともらったら、そのまま飾りたくなっちゃうほどだ。
昔のグリーン車って、いすが、うぐいす色をしてたの。
ちょっとくすんだ感じの、緑色。
クリームソーダ色とは随分違うけど。
でも、
「緑色のいすなら、なんでもいい!」なんて、けろっとしていた。
我ながら、かわいらしいというか。単純というか。
さあ出発!広島から新大阪へ。
春休みに入った。
いよいよ出発の日。
所要時間は、2時間。あっという間だ。
でも、小学生にとっての2時間って、そこそこの長さ。
車内で、あれもしたい、これもしたいって、あれこれ想像していた。
母に見送られながら、プラットホームから新幹線が動き出した。
窓越しに、手を振る私。そして母。
のんきなものだ。
わずかな時間とはいえ、小学生の一人旅だってのに。
でもそのくらい、あの頃は、のどかな時代だったのだ。
平日のせいか、グリーン車は、ガラガラだった。
小学4年生くらいの体に対し、えらくイスが大きい。
疲れ知らずの元気な年頃。
グリーン車のありがたみなんて、正直、よくわかってない。
「なんだ、普通のイスかぁ」って感じ。
足元に変な板がある。
これ動くよ、なんで?
しかも、付け根から持ち上がったりする。
「フットレスト」なんて、当時の私はまだ知らなかったのだ。
当時の身長は、130センチちょい。
足の長さからして、フットレストには、やや届かない。
ぐーっと足を突っ張ってやっと届くかどうか。
余計なものがついてんだなー。
特に気にする様子もなく、かちゃかちゃ足で動かして遊んでた。
なまいきエピソード②都ホテルの食堂車で、最高級のステーキを食べる!
さあいよいよだ。
今回の旅のメインイベント!
食堂車で、最高級のメニューを食べるぞ!
お金もお財布に、しっかり入れている。
2万円、いや、3万円くらいかな。
小学生にとっては、大金だ。
「落としたら、たいへん、たいへん」
たしか、財布はズボンのおなかにはさんで。
「落としてないかな」って、数分ごしに、おなかを手でさすってた。
今回乗った列車も、食堂車で、わざわざ選んだくらいだ。
当時の新幹線には、食堂車っていうのがあって。
ホテルのレストランが数社、異なる編成ごとに入ってたんだ。
私が選んだのは、「都ホテル」の食堂車。
味も確かなのだそうだ。父から教えてもらった。
おなかは空いていたかどうか、覚えていない。
ただ、「一人で食べに行く」こと自体が、目当てだった。
小学生にとっては、なかなかの、どきどきなイベントだ。
・・・こどもだけで、入れてもらえるかなぁ・・・?
食堂車の自動ドアが、ガーッと開いた。
うわぁ。
ホントにレストランだ。
「いらっしゃいませ。」
ウェイトレスさん2人ほど、そろって声をかけてくれた。
すらっとしたおねえさん達。
私より、頭1個か2個分、背が高い。
え、こういう時、なんてセリフを言えばいいの?
とりあえず、
「すみません」
と、ウェイトレスさんの顔に呼びかけ。
「はーい」と返事はしてくれたものの。
特に、テーブルに案内してくれそうな様子もなく。
・・・え、この後、なんて言えばいいんだろう・・・・
どうやらウェイトレスさん、家族連れだと思ったようだ。
だから、親が来てから、受け付けようとしていたみたい。
「この子、先に、来たのかな?」って感じで。
だから別に、無視されたわけではなかったのだが。
ほんの少し、間があいた。
・・・やはり、こども一人じゃ、入れてもらえないのかな?
再度、ややヒソヒソした声で。
「すみませーん・・・・」
ウェイトレスさんも、間が空いてしまったのを詫びているように。
すぐさま、私の声に反応してくれる。
「いらっしゃいませ、何名様ですか?」
「自分ひとりです。」
えっ、って感じで、ちょっと目を丸くするお姉さん。
でも、やさしい声色は変えない。
「おひとり様ですね?」
「はい。」と私。
「はーい、こちらへどうぞー」
びっくりした気持ちを笑顔で隠し、案内してくれるウェイトレスさん。
「・・・この子、ひとりできたの?」
って驚きが表情に出てた。
小学生の私にもわかる。
それでも、小さなお客様に対し、どこまでも丁寧に案内してくれた。
お姉さんの背中を、ちょっと大人の気分で見つめながら。
背筋もひざも、ぴーんと伸ばして。
歩幅ばかりは大人に追いつかず、ちょこちょこついていった。
続きは次回。
2024.11.15
写真の引用元はこちら。
貴重なお写真を、ありがとうございました。2024.11.15