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【アジャイル】これこれ仕事から思うこと(第六章)

市谷氏の「これまでの仕事 これからの仕事」(略して「これこれ仕事」)を読んで思ったこと・感じたことを何回かに分けて書いていこうと思います。

第五章は昨日書きました。今日は第六章を読んで思ったことを書きます。

「一人の知識」から「みんなの知識」へ

組織として知を残し、活かしていく仕組みは多くの企業では失われている。デジタルなツールやネットワークで情報がシェアしやすくなっているにも関わらず、社内にあるであろう情報はなかなか探せない。属人化されて誰がその情報や知識を持っているかわからないことも多いがそれ以上にどこにあるかがわからない。

多くの場合、デジタル化してデータベースがあっても部署毎の管理が厳しく多くの情報(知識)は非公開である。また、だいたい社内の検索システムは検索性が悪くGoogleのような感覚で検索しても探せない。そして仮に探し出せたとしてもその情報の鮮度は維持されていないことも多い。多くの方にはあるある事例だろう。

他の章にもあった効率化が行きすぎた場合、知識とくに暗黙知が誰がに共有されるための対話やコミュニケーションがムダと捉えられてしまう。SECIモデルの共同化のフェーズによって本来は組織やチームの知識となるはずが、効率化観点ではできるだけ個々で仕事を完遂することが求められてしまう。そのため知識は展開されない。

SECIモデルとアジャイル(スクラム)の記事を見たことがあるが、スクラムのイベントのあらゆるところでSECIモデルが回っている。本来はこうあるべきだ。

「ものわかり」でナリッジを表出化する

ナリッジを表出化する活動をこの本では「ものわかり」と表している。
一人でSECIモデルを回すことだ。これはアジャイルは一人から始められると市谷氏の他の本にも出てくるようにまず自分だけでも動いてみるというプラクティスだ。
(自分だけなら他の人と調整も要らないし、失敗の影響も自分だけなので)

ただ、本を読む限り、私にはものわかりの活動がふりかえりとの差があまり理解できなかった。ものわかりのプロセスは、ふりかえりのKPTそのもので最後に出てきた工夫や改善点に名前をつける。この名前をつけるところが「ものわかり」なのだろうか?(名前をつけることで他の人に共有しやすくなるとあるが、それが「ものわかり」のポイントなのだろうか??)

ものわかりでわかったことを連結化してさらに新たに分かることを増やしていく。
またこのものわかりのサイクルを仕事のタイムボックス(1〜2週間)の中に乗せていくことで仕事と学習のサイクルを一致させて一緒に動かすことでナリッジ化の負荷を下げていく。(仕事と別の動き方をすると負担に感じやすいため)

ハンガーフライトで越境する

また、得られたナリッジを自分の組織やチームの中だけではなく、外に展開していく(または外から取り込む)。
そのための方法としてハンガーフライトを挙げている。(既に市谷氏の別の本でも取り上げています)

自分の興味の範囲や他の人も興味がありそうな範囲の課題をテーマとして挙げて、集まる場をつくり、集まった人たちで自分の経験を共有していく場になります。いわゆるコミュニティ活動のようなものですね。

集まった全員で共有しそれを付箋などで書き出しておいて、反応が多かったものをピックアップしてグループに分かれ、さらに深めていくディスカッションをしていきます。これによりSECIモデルの内面化、つまり他の人や新たに気づけた知識(形式知)を自分のもの(暗黙知)にするプロセスが働くわけなのです。

協働で共同化

最後、暗黙知を組織やチームの中に広げる方法として「協働」があります。つまり一緒に働くということです。それはアジャイルそのものであり、組織やチームに協働を機能させるための動き方・あり方なのです。

ソフトウェア開発の現場のプラクティスとしてモブプログラミング、ペアプログラミングというものがありそれぞれ一つの仕事を3人以上でやること、2人でやることを表しています。この協働のプラクティスはソフトウェア開発に限らず適用可能です。私もモブワークと称して一緒に一つのことに取り組んだりもしていました。

これをやると効率が悪いなと感じることもありますが、そもそも効率を求めるものではなく創発を求めるものです。これは私自身も密かに非効率だなと感じていた部分があったのですが、正しく理解してなかったようです。
プラクティスを行うときは何を重視してそれを行うのか、認識を持っておくべきですね。


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