私の夜食
基本的には夜食は食べない。お風呂に入った後に物を食べてはいけないと、そのように言われて育った。
でも大学生になって、バイトなんて始めて、帰りが遅くなるとたまには何かを食べたいと思ってしまう。学校の課題が夜中までかかるときだってそう。帰りにふらっとコンビニに寄って、こっそり何かを買って帰る。
カップ麺はダメ。お湯を沸かして用意している間に、母にバレてしまう。
サラダ類もゴミの処理が面倒。プラスチックの容器を洗わなきゃ、それでキッチンを使ったらまた母にバレてしまう。
で、どうなるかというと、私はお菓子に手を伸ばす。
あまり甘いのは買わない。こういう時に惹かれるのはポテト系のお菓子。小さい頃、ポテトチップスが私にとってお菓子の王様だった。
一度に食べきるか分からないから、袋じゃなくて筒状のチップスターとかにしておく。もしくはポテトスティック、ちょっと小さめのやつ。ガツンと味のついているやつが好き。
ストレスが溜まっているなら迷わず辛いもの。カラムーチョか、余裕があればローソンまで足を伸ばして、ハバネロのお菓子を買う。
多分これはローソンにしか売っていない。辛いものは好きで色々食べるんだけど、自分にしっくりくる辛さのものってあんまりない。これはどストライクだった。でも結構辛いよ、気を付けて。
家に帰ってこういうものを淡々とむしゃむしゃ食べる時、私は人間じゃなくなったような気分になる。美味しいとは思ってるんだけど、あまりに淡々としすぎていて、きっと端から見たら醜いんだろうなとまで思う。
ちなみに食べ方にはコツがあって、バリバリ食べていると音でバレてしまうかもしれないから、少しずつゆっくり噛み砕く。咀嚼音は最小限にするのだ。
食べ終わったら部屋においてあるウェットティッシュで指先を拭って、残っているペットボトルの水を飲み干して、何事も無かったように人間に戻る。いつもちょっとだけ、罪悪感がある。すぐに「でももうお腹に入っちゃったもんね」と開き直る。
次の日の朝ご飯に支障が出たことはないし、何となくこれが私の夜食の正解になってきている。母に「昨日部屋でなにか食べてた?」と言われたこともない。匂いもそんなに残らないんだろうか。
しかし、この前母に、
「夜中にあなたの部屋からすごいタイピング音が聞こえてさ……」と言われた。夜中に、noteを書いていた次の朝だった。ドアは閉めているから、それ越しに聞こえていたらしい。
え、そんなにタイピング音って響く?タイピング音っていうか、ドア挟んでも音って響くもの?
私この前、バイト先でもらったラスクを食べてたんだけど……。ラスクって静かに食べられないから、諦めて思いっきりザクザク食べてたんだけど……。
ひょっとしてそれ聞こえてた? 言われてないだけで、これまでの夜食バレてる可能性ある?
バレてるのかなあ、と思うけど、怖くて聞けていない。
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