国鉄改革のあゆみ 4
広域移動に対する各労組の考え方を綴っていきたいと思います。
最初は、当時最大の労組であり、国鉄分割民営化を最後まで反対した「国労」です。
国労は、戦後GHQの解放政策により結成された労働組合で、職員労組を前身とする組合でした。駅員から機関士に至るまであらゆる職種の人々が加入しており、機関士・運転士だけの動労などとは異なり寄り合い所帯の雰囲気があり、支持政党は社会党(現在の社民党)であり、国労内部では、右派と左派に分かれるという状態であり、国労自体は左派(民同左派)が主導権を握っていたこともあり、国鉄の分割民営化については原則的に反対、それ以前から行われていた出向にも消極的で、「辞めない」「休まない」「出向しない」という3ない運動を行っていました。
当時の国労秋山企画部長(当時の肩書き)によれば、
今回の広域移動は、生活の根幹に関わる部分であり、単なる人事異動とは言えない。
これを実施するには、条件など徹底的に労使が論議を尽くしてその中で合意を形成するべきであると主張しており。
葛西職員局長とは全く異なるスタンスをとっています。
よして、その理由として、「いくつかの要求を提示しないと団体交渉ができない状況だから。」と書かれています。
国労の内部事情として、各派の意見をとりまとめるといった作業があるのでしょうが、読み直してみても意味不明瞭な表現です。
また、当局側の見解に対しても,以下のような理由から納得できる話でないと突っぱねています。
国鉄の就職は以下に分類されており,法的根拠は別として採用に基づくルールは厳然と残されているといっています。
すなわち、
本社採用・・・・国鉄本社採用(いわば、キャリア組、全国転勤有り)
支社採用・・・・地方支社採用(国鉄末期には管理局に統合,いわば準キャリア組 基本支社内での異動)
地方局採用・・・管理局単位での採用(この採用が最も多く、基本的には採用職場からの移動なし、あっても管内の異動のみ)
とくに一般職の採用の場合は,ごく一部の特殊ケースを除いては、あっても管内異動だけですから、管外へそれも永続的に生活基盤自体を変更するのであるから、これはいわば特殊なケースであり解釈の問題ではない。
という風に、全く異なる見解を持っていました。
また、国労は総評に所属しており、同じ総評に所属する動労との意識統一をかなり気にしています。
「現時点では、統一できている部分とできていない部分がある。」
「動労は広域異動を基本的には認めているが、国労としては認める・認めない以前の問題として、広域異動のための条件を明記する必要がある。」
として、3月10日に総評で会議を開き動労と共闘できる条件を求めて会議を開くとしていたが結果的にはうまくいかなかったのは歴史が示す通りです。
とくに,会議の席で検討したいとしているのが、「異動に際して、不安のないような条件を整えようという考え方であり、その点では動労とは意見が一致している。」
ということであり、雇用を守ると言う点では一致しているのでしょうが、あくまで条件重視の国労、とりあえず組織を防衛したい動労との温度差を感じる話ではあります。
最後に、国労としても一番恐れていることとして、玉突き選択のよる国労組合員の解雇を警戒していると書かれていますが、この心配は結局広域異動よりも、地元に残った組合員を直撃することとなるのですがこの点はこの話から外れてしまいますので割愛させていただきます。